死亡後の傷病手当金を請求するには 相続人と必要書類

療養していた家族が亡くなっても、生前に受け取ることができた未支給の傷病手当金は、相続人が請求できる場合があります。すでに入金されたお金と、まだ申請していない給付を分け、最後の療養期間から確認します。
必要なのは、本人の支給要件と、相続人として請求するための書類の両方です。ここでは会社の健康保険の被保険者を主な対象に、請求期間、申請欄、保険者ごとの承継書類を整理します。
- 最後の療養期間と支給済みの日を照合する
- 被保険者と相続人の情報を書く欄を区別する
- 所定の承継書類と日ごとの請求期限を確認する
最後の療養期間と既に支給された日を並べる

傷病手当金は、療養のため仕事ができないなどの要件を満たす被保険者に支給される給付です。死亡したという理由で新たに遺族へ支給される埋葬料等とは異なります。
本人が生前に受給できた未支給分を確かめるため、最後の支給決定通知と申請書の控えを探します。例えば、前月末まで支給済みで今月20日に亡くなった場合は、今月分をすでに申請していたか、まだ申請していないかを確認します。
| 期間の区分 | 調べる資料 | 確認する内容 |
|---|---|---|
| 支給済みの前月分 | 支給決定通知、通帳 | 今回の申請に重ねて含めない |
| 今月1日から死亡日までの未申請分 | 勤務・賃金の記録、療養の資料 | 支給要件を満たす日と申請の有無 |
| 死亡日の翌日以降 | 死亡日と申請期間 | 将来の手当を相続人が受け継ぐものではない |
この日付は整理のための例です。死亡日までなら全日支給されるとは限らず、待期、労務不能、報酬との調整、同一傷病の通算1年6か月等を確認します。退職後なら、資格喪失後の継続給付の要件も別に調べてください。
被保険者の情報と相続人の請求欄を分ける

まず、療養時に加入していた保険者を確認します。協会けんぽと健康保険組合では、申請書や死亡後の記入方法が同じとは限りません。現在使っている様式と、相続人による請求の案内を取り寄せます。
故人の氏名がある場所をすべて子の氏名へ置き換えると、誰の療養に対する請求か分からなくなります。故人の被保険者情報や療養期間と、相続人の申請者情報・受取口座を、案内に従って書き分けてください。
| 確認する内容 | 資料を確かめる相手 |
|---|---|
| 本人の記号番号や加入履歴 | 保険者、勤務先、資格情報の書類 |
| 未申請期間の勤務と給与 | 勤務先の出勤簿・賃金台帳等 |
| 療養のため仕事ができなかった期間 | 療養を担当した医師等と所定の意見欄 |
| 相続人の申請者情報と口座 | 死亡後の申請についての保険者の案内 |
死亡前から申請中だった場合は、提出済みの内容を保険者に伝えます。申請を初めからやり直すのか、承継の届出等を追加するのかを確認し、重複申請を避けます。医師や勤務先へ依頼する証明も、足りない期間を特定して頼むと整理しやすくなります。
保険者の承継届と戸籍の条件を確認する

未支給の傷病手当金は、原則として民法上の相続人が請求するものとして、保険者が相続関係を確認します。未支給の公的年金のように、生計同一の遺族が法定の順位で自己の権利として請求する制度を、そのまま当てはめないでください。
例えば、東京都情報サービス産業健康保険組合(TJK)は、各給付の申請書に「権利継承届兼誓約書」と戸籍謄本等を添える方法を案内しています。2026年4月の所定様式には、請求者の住所・氏名・電話番号、故人との続柄、故人の氏名と死亡年月日等を記載する欄があります。
戸籍の省略や原本の扱いは加入先の条件で決める
TJKの案内では、複数の給付を請求する場合でも、権利継承届兼誓約書と戸籍謄本は1部でよいとしています。また、死亡時に被扶養者だった人が請求する場合は、戸籍謄本を不要としています。これは同組合の取扱いで、どの保険者でも同じとは限りません。
同組合は、コピー可の記載があるもの以外は原本を求め、提出書類を返却しないと案内しています。未成年の相続人については法定代理人が請求し、その資格や本人確認の資料も必要です。ほかの手続きにも使う戸籍等は、提出前に必要通数と返却の有無を確かめます。
相続人が複数いる場合の代表者や承諾書類は、実際の相続関係と保険者の案内で確認します。「子の中で年長だから」という理由だけで、ほかの相続人の権利も処理できると決めないでください。
日ごとの請求期限と提出後の補足を管理する

健康保険給付の権利は、行使できる時から2年で時効により消滅します。傷病手当金についても、死亡日から全期間をまとめて2年と数えるのではなく、対象となる日ごとの請求期限を保険者へ確認してください。
古い療養期間が残っているなら、戸籍がすべてそろうのを待つ間にも、対象期間と不足書類を窓口へ伝えます。提出後は、追加証明を求められた期間、提出日、決定された支給日数、振込額を控えと対応させます。
埋葬料や高額療養費、保険料の還付もある場合は、それぞれの給付名で書類と入金を分けます。役所の手続きは、死亡後の役所手続き一覧も参考に、加入していた制度ごとに確認してください。
未請求の給付と相続書類を整理したい方は、相続サポートの相談窓口をご利用ください。
よくある質問

死亡後も傷病手当金を請求できますか
本人が受給できた未支給分について、相続人が請求できる場合があります。死亡日までの支給要件を確認し、死亡後の将来分を受け継ぐものとは区別します。
故人の傷病手当金は未支給年金と同じ家族が受け取りますか
同じとは限りません。傷病手当金は民法上の相続関係を確認して請求します。未支給年金の生計同一や遺族順位をそのまま適用しません。
死亡日から2年以内なら過去の分をすべて請求できますか
一律にはいえません。対象の日ごとに権利を行使できる時からの時効を確認し、古い未申請期間は早めに保険者へ相談してください。