成年後見の住所変更 登記申請と家裁への報告

成年後見の本人が施設へ移ったり、後見人が引っ越したりしたときは、市区町村への転居届だけでは終わりません。後見登記に記録された住所の変更と、監督をする家庭裁判所への連絡を、それぞれ進めます。
同じ「住所変更」でも、誰の住所を変えるのか、登記記録と実際の居所がどう違うのかで記載が変わります。手元の登記事項証明書と転居の資料を使い、申請する内容を順に確かめましょう。
- 本人と後見人の住所変更を分けて整理する
- 東京法務局への申請と住所移転日の記載がわかる
- 住民票等の添付省略と家裁への別の報告を確認する
本人の住所と後見人の住所を区別して変更を拾う

成年後見登記には、本人や成年後見人等の事項が記録されています。本人が転居したなら本人の住所、後見人自身が転居したなら後見人の住所について、どの記録が変わるかを特定します。後見人が引っ越したことを、本人の住所変更として書くものではありません。
施設に入ったという事情だけで、必ず住所を移したことになるわけでもありません。住民票上の住所を移す場合と、一時的な入院・入所で居所だけが変わった場合を分けて、家裁へ現在の生活場所と連絡先を伝えます。
| 起きたことの例 | 登記の確認 | 家裁への連絡 |
|---|---|---|
| 本人の住民票を施設へ移した | 本人の住所変更と移転日 | 本人の新住所、居所、施設の連絡先 |
| 後見人が別の住まいへ転居した | 成年後見人の住所変更と移転日 | 後見人の新住所と送付先等 |
| 本人が短期間入院し住所は変えていない | 住所変更が生じたと決めつけない | 入院先や期間、必要な連絡方法を相談 |
これは成年後見等の登記の話です。本人が持つ不動産の所有者住所を直す登記とは別で、不動産の所在地を基準に窓口を選ぶ手続きではありません。未成年後見も同じ登記制度として扱わず、家裁の案内を確認します。
変更登記は東京法務局後見登録課へ申請する

全国の成年後見登記を扱うのは、東京法務局の後見登録課です。東京法務局の住所変更案内は、他の法務局、支局、出張所では対応していないとしています。近所の窓口で後見の証明書を取得できることと、変更登記の提出先を混同しないでください。
申請方法には窓口や書留郵便・信書便による提出が案内されています。オンライン申請を利用する場合は、その専用の操作・添付方法に従います。ここでは紙の「登記申請書(変更の登記)」に沿って、必要な情報を説明します。
申請人と変更対象者を別の欄へ書く
様式の「1 申請人等」は提出する人の欄です。「2 登記の事由」では変更の対象者と変更事項を選び、「3 登記すべき事項」へ住所移転日と新住所を書きます。後見人自身の転居を届けるなら、対象者も成年後見人になります。
「4 登記記録を特定するための事項」の本人は、成年被後見人等を指します。後見人の住所変更でも、ここへ後見人の氏名だけを書いて終わらないようにします。登記番号が分からない場合の記載方法は、同欄と記載要領に従ってください。
変更登記の手数料は不要と案内されています。ただし、戸籍や住民票、変更後の登記事項証明書を取得する費用まで、すべて無料という意味ではありません。
住所移転日と旧住所からのつながりを示す

住所変更の事実を示す添付は、登記上の住所から現在の住所へ移った経緯の分かる住民票の写しや戸籍の附票です。転居が複数回ある場合は、最後の転居先だけが載った書類でつながりを説明できるか確かめます。
法務局が住民基本台帳ネットワークで住所変更を確認できるときは、住民票等の添付を省略できます。ただし、省略する場合でも、申請書への住所移転日の記載は必要です。「法務局で調べるから日付も空欄でよい」とはしないでください。
おおむね5年以内でも追加提出になる場合がある
東京法務局は、住基ネットで確認できる範囲を、現在からおおむね過去5年以内の住所変更履歴と説明しています。一方で、5年以内でも確認できない場合があり、その際は住民票等の追送を求めることがあるとしています。事前に電話で確認可否を調べてもらえるという取扱いでもありません。
例えば、本人は2026年9月1日に施設へ転居し、後見人は2024年4月1日に自宅を移していたと仮定します。二人の変更日と履歴を混ぜず、本人・後見人のそれぞれについて、今の登記がどの住所まで反映しているかを見ます。
代理人へ委任する場合や、申請人・代理人が法人である場合には、委任状や代表者の資格を証する書面等も関係します。住基ネットによる住所確認ができることだけで、別の資格資料まで一律に不要とは考えません。
家裁の連絡先と変更後の証明を更新する

法務局への変更登記と、家庭裁判所への住所変更の報告は別の手続きです。家裁の事件番号、誰の何が変わったか、現在の住所・居所・連絡先を、担当家裁が案内する連絡票や報告方法で伝えます。監督人がいる場合は、その人への連絡も確認してください。
東京法務局の住所変更案内では、登記が完了しても申請人へ完了の連絡はしないとしています。申請書の控え、郵送の記録、追加提出を求められた内容を残し、必要な場面では変更後の登記事項証明書を取得します。
後見人として銀行や契約先へ示す情報も、変更後の内容にそろえます。郵便物の転送だけで登記と家裁の双方が更新されたと考えず、提出した日と未処理の手続きが分かる記録を残すと、次の定期報告にも引き継げます。
関連する基本事項は、家族信託は必要ないか 向かないケースと遺言や成年後見との違いも参考にしてください。
契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

成年後見人の住所変更は近くの法務局へ出せますか
成年後見の変更登記の提出先は東京法務局後見登録課です。近くの法務局で証明書を取得できることとは分け、郵送等の申請方法を確認します。
住民票を省略するなら住所移転日も不要ですか
住所移転日の記載は必要です。住基ネットで変更を確認できる場合に住民票等の添付を省略できても、日付まで省略する取扱いではありません。
変更登記をすれば家裁への報告も終わりますか
別の手続きです。家裁にも、本人や後見人の変更内容、現在の住所・居所・連絡先を、担当家裁の案内に沿って報告してください。