家族信託の受託者を交代するとき 辞任・解任と後任への引継ぎ

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家族信託の受託者は、辞めたいと申し出るだけで自由に管理を終えられるわけではありません。まず契約書の辞任・解任と後継受託者の条項を読み、必要な同意や後任の就任方法を確認します。

契約の交代手続きだけでなく、財産・帳簿、金融機関、不動産登記まで引き継いで初めて、管理を続けられる状態になります。ここでは、受託者が死亡した場合とは分け、生前の辞任や解任による交代を扱います。

目次

辞任か解任かを決める前に契約の交代条項を読む

合意や申請を文書に残す書類とペン

病気で管理を続けられないのか、家族が不適切な管理を理由に交代を求めるのかで、検討する手続きが違います。辞任と解任を同じ書面で済むと思わず、契約から該当条項を探します。

後継受託者と委託者の地位を確認する

契約書では、後継受託者の氏名や選任方法、辞任の条件、解任の条件、委託者の地位を誰が引き継ぐかを確認します。後継者の名前があっても、その人が引受けを承諾していなければ実際の管理が始まらないことがあります。

親が委託者兼受益者なら、親が同意できる状態かも重要です。親の死亡後は、契約上の委託者の地位の承継を含めて確認し、受益者だけで常に同じ手続きを使えるとは考えないでください。

交代と信託そのものの終了を区別する

受託者を別の子へ代え、信託を続ける場合と、信託そのものを終了して財産を戻す場合は別です。家族の都合だけで口座のお金を移し、信託が終わったことにする方法は避けます。

終了する条件が契約に置かれていることもあります。交代したい目的と、その条項が求める手続きが一致するかを、契約作成に関わった専門家等へ確認します。

信託を終了するか、別の制度へ変えるかも迷っている場合は、家族信託と遺言・成年後見の違いを確認します。交代して続ける案とは目的と手続きが異なります。

受託者が辞めるには同意か契約上の条件が必要になる

意思を残す書面と封筒

信託法では、原則として委託者と受益者の同意を得て受託者が辞任できます。ただし、契約に別の定めがあれば、その内容を確認する必要があります。

原則は委託者と受益者の同意を得る

同意が必要な場合には、誰がどの立場で同意したかを記録します。親が委託者と受益者を兼ねるときでも、本人が契約内容を理解して同意できることが前提です。

家族が親の名前を代わりに署名して同意を済ませることはできません。後任の承諾等で辞任できる条項があるか、別の法的手続きが必要かを検討します。

同意を得られない事情は裁判所への許可を検討する

やむを得ない事由がある場合は、裁判所の許可による辞任を検討します。病気の資料や、管理を続けるのが難しい事情を整理してください。単に負担があると述べれば必ず許可されるものではありません。

委託者が現にいない場合は、同意による辞任の規定の適用に制限があります。親が亡くなっている、意思能力を失っているなどの場合を一括りにせず、契約と法律の条件を照合します。

家族が解任を求めるときは合意と裁判を分ける

債務の内容を確認する契約書類

家族から受託者を代えたい場合には、合意による解任と裁判所による解任を分けます。兄弟の多数決だけで、管理権限を他の人へ移せるわけではありません。

委託者と受益者の合意や別段の定めを確認する

信託法には委託者と受益者の合意による解任の規定がありますが、契約の別段の定めや委託者が現にいない場合の扱いも確認します。不利な時期の解任では損害賠償が問題になることもあります。

重大な違反を理由にするなら記録を残す

受託者の任務違反で信託財産に著しい損害が出たことなど、重要な事由がある場合には裁判所への申立てを検討します。通帳、帳簿、説明を求めた記録等から、何が問題なのかを具体化します。

不正が疑われるときは、証拠の保全と管理を途切れさせない対応が必要です。一方的に口座の認証情報を変えるなどして対抗せず、権限や必要な裁判手続きを弁護士へ相談します。

後任の就任承諾と財産の引継ぎを文書にする

記録を保管するファイルと資料

交代の根拠を確認できたら、後任の就任承諾と引継ぎを文書にします。交代時の残高と未了事項が分かると、旧受託者と新受託者のどちらが対応するかを整理できます。

残高と未払い費用を交代日で照合する

預金、不動産、未収家賃、敷金、未払管理費などを財産目録へまとめます。帳簿と通帳の残高を照合し、立替費用の清算や受託者報酬が残る場合も引継書へ記載します。

契約書、登記情報、領収書、申告資料、管理会社との連絡記録も渡します。書類を渡した日と、後任が確認して引き受けた内容を双方で残してください。

賃借人や管理会社にも権限の変化を伝える

賃貸物件なら、管理会社や取引先へ今後の連絡先と権限を伝えます。家賃の振込先を変える場合は、金融機関の手続きと合わせて、いつから何を変えるかを明確にします。

旧受託者に任せていた支払いや更新期限も一覧にします。後任が決まったから全て自動で移ると考えず、家賃回収と費用支払いが続くことを確認します。

引き継ぐもの交代時に照合する点
財産目録・通帳残高、未収家賃、敷金、立替金
帳簿・税務資料いつまでの収支が記録済みか、未提出書類があるか
契約・連絡先賃借人、管理会社、保険、支払期限
交代の文書必要な同意、辞任等の根拠、後任の承諾
登記・口座の届出誰が申請し、どの変更が未完了か

不動産登記と金融機関の変更手続きを済ませる

開いた書類ファイルとチェックマーク

契約上の交代ができても、不動産登記や口座の手続きが別に残ります。金融機関には信託契約書と交代の資料を示し、その口座で必要な変更方法を確認します。

辞任と死亡では登記申請の方法も異なる

不動産の受託者変更では、交代原因に応じて申請方法が変わります。辞任や合意による解任の場合は、原則として前受託者と新受託者による共同申請を検討します。

死亡等の一定の法定事由で新受託者が単独申請できる仕組みを、生前の円満な辞任へそのまま当てはめないでください。必要書類と申請者は司法書士や法務局へ照会します。

後任が決まらないまま管理を放置しない

受託者が欠け、新受託者が就任しない状態が1年間続くと、信託の終了原因となります。契約による選任が進まない場合も、法定の選任方法等を早めに検討します。

最初の作業は、辞任・解任・後継受託者・委託者の地位の条項を抜き出すことです。それを基に、交代の決定から口座と登記の完了までの担当を決めてください。

よくある質問

相続の疑問を確認する本と資料

親が認知症なら兄弟の同意だけで受託者を代えられますか

当然には代えられません。信託契約の別段の定め、委託者と受益者の関係、必要な意思能力や裁判所の関与を確認します。兄弟の多数決で決める制度ではありません。

受託者を代えると家族信託は終了しますか

交代して信託を続けることは可能です。ただし、契約の終了条項や後任選任の状況を確認します。受託者不在が1年継続する場合等は終了原因になります。

辞任届を出せば不動産の登記も終わりますか

終わりません。受託者変更の登記や口座等の手続きが別に必要です。辞任と死亡では登記の申請方法も異なるため、原因に合う書類を準備します。

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