公社債の相続税評価 利付と割引や個人向け国債を区分

相続した債券は、全てを額面どおりに相続財産へ入れるわけではありません。利子の付く公社債、割引発行の公社債、個人向け国債では、使う価格や計算が異なります。
証券会社から届く残高証明を、銘柄と額面、死亡日価格、利息の単位へ分けて読みましょう。ここでは通常の円建て公社債を中心に、評価資料を依頼するための区分と計算例を説明します。
- 利付と割引や個人向け国債を銘柄で区分する
- 100円当たりの価格と税引後利息を保有額面へ換算する
- 証券会社の評価資料と死亡日の基準を一致させる
銘柄を利付と割引と個人向け国債へ分ける

国税庁は、公社債を銘柄ごとに、券面額100円当たりの単位で評価する扱いを示しています。「100万円保有」と「価格97円」は単位が違うため、残高の額面と評価用の単価をまず区別します。
| 分類する商品 | 調べる情報 | 通常の利付債と分ける点 |
|---|---|---|
| 利付公社債 | 銘柄、利払日、利率、上場と参考統計値の対象 | 価格に税引後の既経過利息を加える区分 |
| 割引発行の公社債 | 発行価額、償還額、発行日と償還日、価格資料 | クーポン付き債券の利息を機械的に足さない |
| 個人向け国債 | 商品区分、額面、死亡日での中途換金額 | 一般の国債の価格や額面に置き換えない |
商品名に国債や社債とあるだけでは、どの価格を使うかまで確定しません。銘柄コードと商品資料を取扱金融機関へ示し、上場銘柄か、売買参考統計値が公表される銘柄かを確認します。外貨建て、転換社債、複雑な仕組みの商品等は、以下の通常例だけで評価を終えないでください。
利付債は上場価格と参考統計値を区分する

利付公社債の価格は、次の三つに分かれます。どの場合も、既経過利息は所定の源泉所得税相当額等を控除した金額を確認します。受領前の利息を全て額面に含むと考えたり、税引前利息を加えた後に二度税を引いたりしないようにします。
| 利付公社債の区分 | 基にする100円当たりの価格 |
|---|---|
| 金融商品取引所に上場 | 死亡時の最終価格。参考統計値も公表される銘柄は最終価格と平均値の低い方 |
| 上場以外で参考統計値の公表銘柄 | 死亡時の平均値 |
| その他 | 発行価額 |
各価格に、100円当たりの税引後既経過利息を加え、保有する券面額÷100円を掛けます。源泉税相当額には、所定の地方税と復興特別所得税の相当額も含まれます。
説明用に、額面100万円、上場最終価格98円、参考統計の平均値97円、税引後既経過利息は100円当たり0.4円と仮定します。両価格を比べる対象銘柄なら、低い97円を採り、(97円+0.4円)×100万円÷100円=97万4,000円です。
税引後利息の単位を証明書で確かめる
この例の0.4円は100円当たりで、保有全体では4,000円に当たります。金融機関の資料が全保有分4,000円を表示しているなら、その4,000円を単価97円へ足して再び額面倍するものではありません。価格に利息が含まれる表示かも確認してください。
割引債と個人向け国債は別の方法を当てる

割引発行の公社債は、額面より低い価額で発行され、償還差益が利子に相当する商品です。上場なら最終価格、参考統計値も公表される対象銘柄ならその低い方、上場以外の所定銘柄は平均値という区分を確認します。
その他の割引発行債では、発行価額に、発行日から死亡時までの日数に対応する償還差益を反映する計算を確認します。発行価額、券面額、全償還期間と経過日数を取扱先へ示し、利付債用の既経過利息を同じように上乗せしないでください。差益に係る源泉税相当額がある場合は、その控除も照合します。
個人向け国債はさらに別で、死亡日に中途換金したとすれば、取扱金融機関から支払いを受けられる価額で評価します。実際に死亡日に売却するという意味ではなく、評価のためにその日の受取可能額を求めます。
仮に額面100万円について金融機関が計算した死亡日中途換金額が99万4,000円なら、その仮定では99万4,000円を使います。額面との差は全商品共通ではないため、商品条件を調べず100万円や一定率へ置き換えないでください。
死亡日価格と額面と計算根拠を銘柄ごとに残す

金融機関へは、口座全体の合計だけでなく、各銘柄の評価根拠が分かる資料を依頼します。依頼した証明書が残高のみなのか、相続税評価用の金額まで含むのかも先に聞いてください。
| 評価明細へ残すこと | 確認する意味 |
|---|---|
| 銘柄コードと商品区分 | 異なる債券の計算を混ぜない |
| 保有額面と100円当たりの価格 | 単価と全体金額の取り違えを防ぐ |
| 価格の日付と採用する価格 | 最終価格/平均値/発行価額の区分を説明 |
| 利息と税相当額 | 税引前後、全体と単位、含有済みかを確認 |
| 個人向け国債の受取可能額 | 死亡日仮定の計算であることを残す |
死亡日が休日、価格の公表がない、売買が成立していない場合も、都合のよい月の安値を自分で選ぶことは避けます。対象銘柄の規定と価格資料を確認し、採用日の理由を税理士と照合します。
移管や償還が後日に終わっても、その時の受取額がそのまま死亡日の評価額とは限りません。相続の名義手続きと、相続税の価格を決める作業を分け、銘柄が評価一覧から漏れていないかも最後に確かめましょう。
相続の資料をそろえる際は、相続税申告に必要な書類 財産別の一覧と集め方や不足時の対応も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。
ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

公社債は額面で相続税を申告しますか
すべて額面ではありません。利付・割引発行、上場や参考統計値の有無、個人向け国債などの区分に応じた評価方法を確認します。
上場債券は死亡日の最終価格だけでよいですか
売買参考統計値の公表銘柄でもある利付公社債等では、最終価格と参考統計値の平均値の低い方を使う取扱いがあります。
個人向け国債も他の利付債と同じ評価ですか
個人向け国債は、課税時期に中途換金した場合に取扱機関から受け取れる価額により評価します。一般の利付債の式と分けて確認します。