労災の遺族補償年金を請求するには 受給順位と必要書類

医療費の支払いと立替精算の記録を示す資料

業務上の災害で家族が亡くなった場合、遺族補償年金は相続人が法定相続分で分ける制度ではありません。死亡当時の生計維持、年齢や障害の条件を満たす遺族を調べ、その中で最も先の順位にある人が受け取ります。

ここでは業務災害の遺族補償年金を中心に、請求する人と証明資料を整理します。通勤災害の遺族年金や複数業務要因災害の給付、年金事務所へ請求する公的遺族年金は、給付名と様式を分けて確認してください。

この記事でわかること
  • 受給資格のある遺族と最先順位の受給権者を分ける
  • 死亡と生計維持の資料を請求書へ対応させる
  • 一時金や公的遺族年金との違いと期限を確かめる
目次

相続人の取り分でなく労災年金の受給資格と順位で判定する

家族関係を整理する戸籍と図の資料

受給資格者は、死亡した労働者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹のうち、死亡当時、その収入によって生計を維持していた一定の人です。全員が同時に年金を受けるのではなく、最先順位の受給権者へ支給されます。

例えば、生計維持等の要件を満たす妻と15歳の子がいる場合、妻が先順位となります。子も受給資格者として年金額の算定に関わる場合がありますが、妻と子で遺産のように半分ずつ分ける意味ではありません。同順位の受給権者が複数いる場合の配分も、法定相続分とは区別します。

妻と夫では年齢条件が同じではない

妻以外には、死亡当時の年齢又は一定の障害の条件があります。年齢による主な順位は次のとおりです。一定の障害に該当する人は、年齢の条件だけで除外せず別に判定します。事実上の婚姻関係にある配偶者も、事実関係の証明を確認します。

順位年齢による主な対象
1妻又は60歳以上の夫
218歳に達する日以後の最初の3月31日までの子
360歳以上の父母
418歳に達する日以後の最初の3月31日までの孫
560歳以上の祖父母
6上記の子と同じ年少の条件又は60歳以上の兄弟姉妹

さらに、死亡時55歳以上60歳未満の夫、父母、祖父母、兄弟姉妹には、この後に続く順位の特例があります。この特例で受給権者になっても、原則として60歳になるまで年金の支給は停止されます。「55歳なら直ちに支給」と見込まず、障害の要件や順位を含めて確認してください。

死亡と生計維持の資料を遺族補償年金の請求へ対応させる

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

生計維持は、死亡した労働者の収入だけで暮らしていた場合に限りません。厚生労働省の案内では、収入の一部によって生活を維持していた共働きの場合も含まれます。ただし、戸籍上の家族や同居という事実だけで、すべての要件が自動的に認められるわけではありません。

業務災害では、所定の「遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書」等の様式第12号を使います。通勤災害は第16号の8など別の様式です。ダウンロード元の現行様式と裏面の注意事項を読み、請求する給付に合うものを選びます。

証明する内容様式第12号裏面が挙げる資料の区分
死亡の事実死亡診断書等の記載事項についての市町村長の証明又は代わる書類
死亡労働者との身分関係戸籍の謄本・抄本等。事実婚の場合はその事実の資料
死亡時の生計維持労働者の収入によって生計を維持していたことを証する書類
一定の障害や同一生計等該当する人の診断書や、請求人との生計関係を証する資料

別居の親へ送金していたなら送金記録と生活の状況、同居で共働きなら実際の家計の負担を整理するなど、事実に応じて窓口へ示します。これは証明資料の整理例で、表の全書類が全件で必須になるという意味ではありません。個人番号を提出する場合の住民票添付等の扱いも、裏面の注意に従ってください。

会社の証明を得られない場合も労基署へ相談する

請求先は所轄の労働基準監督署です。会社が協力しない、事業主証明を得られないという場合も、その事情を伝えて相談してください。会社から労災でないと言われたことだけで、請求できないと決めつけないようにします。

一時金と公的遺族年金を同じ金額表に混ぜない

税額の計算を確かめる資料と計算機

死亡時に遺族補償年金を受けられる遺族がいない場合等には、遺族補償一時金の対象を調べます。一時金は年金と受給できる遺族の範囲や順位が異なり、年金の条件を満たさないから何の請求もできないとは限りません。

また、名称に「一時金」とあっても、遺族特別支給金、年金の前払一時金、年金を受ける遺族がいない場合等の遺族補償一時金は別の給付です。支給通知や請求書では正式な給付名を控えます。

同じ死亡による公的遺族年金は労災側の調整を確かめる

同一の死亡事由で公的遺族年金と労災年金を併給する場合、公的年金は全額、労災年金は所定の調整率を掛ける取扱いがあります。厚生労働省の案内では、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方なら0.80、厚生年金のみなら0.84、基礎年金のみなら0.88が示されています。

これらを葬祭料やすべての給付へ一律に掛けるわけではありません。調整後の合計に関する配慮もあるため、家族が単純な掛け算だけで最終支給額を決めず、公的年金の請求状況と支給額を労基署へ申告します。

給付名と期限を控えて労基署と年金窓口へ別々に請求する

相談に持参する書類と封筒

厚生労働省の現行請求案内では、遺族の年金は死亡日の翌日から5年を経過すると時効により請求権が消滅するとされています。死亡日、災害の状況、家族の年齢、請求中の給付を早い段階で整理してください。葬祭料や前払一時金等の期限まで一律5年と考えないことも必要です。

会社へ死亡を知らせたり、公的年金を請求したりしても、労災の請求が自動的に済むわけではありません。公的年金側の窓口や未支給年金の整理は、年金受給者が亡くなったときの手続きも参考に、別の予定として管理します。

遺族の給付と相続財産を分けて相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

遺族補償年金は妻と子で相続分どおりに分けますか

相続分で分ける制度ではありません。要件を満たす受給資格者のうち、最も先の順位の受給権者へ支給されます。遺族数による額の算定とも区別します。

共働きだと生計維持の要件を満たしませんか

共働きで収入の一部によって生活を維持していた場合も含まれます。死亡当時の家計の負担等を資料にして、個別の要件を確認します。

遺族厚生年金を受けると労災年金は全額なくなりますか

全額なくなると一律にはいえません。同一死亡による併給では労災年金側の調整があるため、年金の種類と支給額を労基署へ伝えて確認します。

相続対策について問い合わせる
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