管理不全土地の管理命令 隣地の被害と申立て

不動産の条件を整理する住まいと土地の資料

相続した自宅の隣地から土砂が流れ込み、所有者に連絡しても改善されない。誰の土地かは分かっていても、管理を求める方法に困ることがあります。

管理不全土地管理命令は、こうした状態で裁判所が管理人を選ぶ制度です。雑草があるという印象だけでなく、どの権利がどう害され、どの管理が必要かを説明します。ここでは土地の管理を求める場面を扱います。

この記事でわかること
  • 隣地の状態と自分への被害を資料でつなぐ
  • 現行申立書の利害・侵害・管理内容を書き分ける
  • 処分の同意と管理費用の予納を別に確認する
目次

管理されない隣地の被害を土地と権利から整理する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

民法264条の9は、所有者による土地の管理が不適当なために、他人の権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合を対象とします。そのうえで、管理命令の必要性と、申立人の利害関係が問題になります。

例えば、隣地の土砂が雨のたびに流れ込み、自宅側の排水をふさいでいると仮定します。隣地の所在・地番と、自宅との位置関係、流入した場所と撮影日をそろえると、「困っている」という話を具体的な支障へ結び付けられます。

所有者又は所在が分からないことを要件とする所有者不明土地管理命令とは、入口が異なります。所有者が分かり、連絡が取れる場合でも対象になり得ますが、返事が悪いだけで当然に命令が出るわけではありません。

申立書へ利害関係と侵害のおそれを分けて記載する

取引記録を保管するファイルと資料

東京地裁が現在掲載する汎用申立書では、申立人の利害関係、権利侵害等を基礎付ける事情、発令の必要性、必要とされる管理行為の具体的内容などを分けて書きます。同じ事情を各欄へ繰り返すより、書面ごとの役割を考えて整理しましょう。

説明する内容土砂流入の仮例で対応する資料
自分の利害関係自宅の登記資料、隣地との位置図
侵害やそのおそれ降雨時の写真、排水への影響や確認日の記録
管理の必要性所有者へ連絡した経過、現在も続く支障
求める管理の範囲排水や土留め等の検討資料、範囲の分かる見積

写真の範囲と見積の対象が違う場合は、何の工事を求めているかが伝わりません。専門業者の調査でまだ判断できていない点は、未確認として残し、調査や見積の結果を創作しないでください。

市区町村の空き家担当部署による指導・勧告と、この民事の管理命令も別です。行政へ連絡した記録は経過の資料になり得ますが、勧告を受けたことだけで地裁の管理人が自動的に選ばれるものではありません。申立書の副本が所有者側へ送られることも踏まえ、事実に即して記します。

必要な管理と売却や解体を同じ権限と考えない

合意の内容を確認する契約書類

管理人は、保存行為と、土地等の性質を変えない範囲の利用・改良を行えます。その範囲を超える行為には裁判所の許可が必要で、土地を処分する許可には、所有者の同意も必要です。選任さえされれば土地を売って全ての費用を回収できる、という制度ではありません。

所有者不明土地の制度と異なり、管理不全土地では管理・処分権が管理人だけに専属するわけでもありません。所有者が分かっている制度の条件を、別制度の売却例から置き換えないようにします。

土地上の物についても、命令の効力が及ぶ動産には所有者等に関する限定があります。第三者の物を含めて何でも処分できるとは考えないでください。また、土地の命令だけでその上の建物まで自動的に解体できるものではなく、建物を対象とする申立てや必要な許可は別に確認します。

所在地の地裁へ費用と緊急性を伝える

支払内容を確かめる領収書と計算道具

申立先は、対象土地の所在地を管轄する地方裁判所です。東京地裁の案内では、一筆の土地の申立手数料は1,000円とされ、郵便料や個別に定める予納金等は別に必要です。管理の範囲や対象数を示して、現在の受付条件を確認してください。

民法は管理に必要な費用や報酬を所有者の負担としていますが、それは申立人が事前に資金を用意しなくてよいという意味ではありません。管理費用等の予納や追加の負担があるかを照会し、回収見込みだけで予算を組まないことが大切です。

危険が迫っている場合は、安全を確保したうえで自治体や関係機関にも状況を伝え、申立てでは写真と具体的な緊急性を示します。命令まで全国一律の日数で終わる保証はありません。選任後も、どの支障が解消されたかを記録し、管理の終了や命令取消し等は裁判所と管理人の手続きに沿って進めます。

関連する基本事項は、相続した空き家の管理と処分 住まない実家の負担を減らす方法も参考にしてください。

契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

所有者が分かる土地でも管理命令を求められますか

求められる場合があります。所有者の管理が不適当で他人の権利や法律上保護される利益が侵害される等の要件と、管理の必要性、自分の利害関係を確認します。

管理人が選ばれれば隣地を売却できますか

選任だけでは決まりません。保存等の範囲を超える行為には裁判所の許可が必要で、土地の処分許可には所有者の同意も必要です。

費用は所有者負担なので申立人の資金は不要ですか

不要とは限りません。法的な費用負担と、申立時の予納金等は別の問題です。必要な管理内容と見積を示し、申立先へ確認してください。

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