相続税は兄弟で別々に申告できるか 手続きと税額の注意点

相続税は兄弟で別々に申告できるか 手続きと税額の注意点

相続税は兄弟で別々に申告できるか 手続きと税額の注意点のイメージ

相続税の申告書は、相続人が共同で提出することも、各人が別々に提出することもできます。兄弟が一緒に手続きできないからといって、自分の申告まで待つ必要はありません。

ただし、別々に出す場合も自分が受け取った額だけで税金を計算するわけではありません。遺産全体と相続人の情報を確認し、共通の計算に使う資料をできる範囲でそろえます。

この記事でわかること
  • 申告書を別々に提出できても基礎控除が各人に別枠で付くわけではない
  • 遺産全体の評価と取得額が食い違わないよう共通資料を確認する
  • 遺産分割や他の相続人の申告を待っても10か月の期限は延びない
目次

相続税は共同でも別々でも申告できる

相続税は共同でも別々でも申告できるに関する資料のイメージ

共同提出は一人が全員の税金を払うという意味ではない

同じ被相続人から財産を取得した人が共同して申告書を提出する方法があります。複数人の情報をまとめて作成しても、基本的には各人について申告義務や納税額を確認します。

共同提出をしない相続人は、別に申告書を作成し提出できます。税理士を全員同じ人にそろえなければならないという決まりでもありません。

共同で作る範囲と各人が提出する範囲を伝える

一部の相続人だけで共同提出し、別の人が単独提出することもあります。誰を申告書の提出者として扱うかをあいまいにすると、全員分が出ているつもりで一人分だけ未提出になるおそれがあります。

国税庁は、複数の相続人等がいる場合の申告書作成方法を案内しています。共同提出者の扱いは、書面かe-Taxかに応じた現在の作成案内で確認してください。

別々に提出しても遺産全体から税額を計算する

別々に提出しても遺産全体から税額を計算するに関する資料のイメージ

遺産全体と法定相続人から相続税の総額を求める

相続税は、課税価格の合計額から基礎控除を引き、法定相続分で取得したと仮定して総額を計算した後、各人の実際の取得割合等から税額を求めます。別申告でも、この基本の計算は変わりません。

たとえば法定相続人が子2人で、ほかに取得者がいないなら、基礎控除は4200万円です。各人の受取額からそれぞれ4200万円を引けるわけではありません。

土地の評価と生前贈与の情報が食い違うと計算も変わる

一人が土地を3000万円、もう一人が2000万円と扱えば、遺産全体の課税価格や総税額が一致しなくなります。評価資料の共有が難しくても、同じ財産についてどの評価を採用するかを確認する必要があります。

基本計算を確認したい場合は相続税の計算方法と家族ごとの税額を参照し、共同提出かどうかという形式と税額の計算を分けてください。

兄弟の受取額が基礎控除内でも納税が生じる例

例として、相続人は国内居住の子2人だけで、対象遺産6000万円を兄4000万円、弟2000万円で取得し、ほかの贈与や債務、税額控除等はないとします。基礎控除4200万円を引いた課税遺産総額は1800万円です。

法定相続分で900万円ずつ取得したと仮定すると税額は各90万円で、相続税の総額は180万円です。その総額を実際の取得割合2対1で配分するので、兄120万円、弟60万円となります。

別申告でも結果は同じです。二人とも受取額が4200万円を下回ることを理由に、各人の申告を省く計算にはなりません。

共有する資料と自分で取得できる資料を分ける

共有する資料と自分で取得できる資料を分けるに関する資料のイメージ

同意が得られない点と事実資料を切り分ける

遺産の分け方が対立していても、死亡日残高や登記内容など、客観的な事実資料まで異なる必要はありません。共有できる資料の一覧を送り、評価が一致しない財産と区別して記録します。

相続人として銀行等へ資料を請求できる場合もありますが、請求できる範囲や必要書類は機関ごとに確認します。他の家族のIDや口座へ無断でアクセスして資料を集める方法は取りません。

共通して確かめる事項自分の申告で確かめる事項
戸籍による相続人と法定相続分自分が取得した財産と債務の負担
預金や不動産等の死亡日評価自分に関係する対象贈与と税額控除
遺産分割が成立している範囲自分が提出者となる申告書と添付資料
全体の課税価格と相続税総額自分の納税額と納付方法

複数の税理士へ同じ不明点を伝える

別々の税理士に依頼する場合は、遺産一覧の作成日、資料の更新、分割協議の進捗をそれぞれへ伝えます。一方だけへ追加口座を伝えて、もう一方の計算が古いままになることを避けるためです。

相続税の税務代理と、争っている遺産分割の代理交渉は同じ業務ではありません。資料の開示や権利に関する紛争は弁護士への相談も検討します。

分割が決まらなくても申告と納税の期限は延びない

分割が決まらなくても申告と納税の期限は延びないに関する資料のイメージ

未分割なら法定相続分等による仮の計算が必要

相続税の申告と納付は原則10か月以内です。遺産分割が決まっていない財産は、原則として民法上の相続分や包括遺贈割合によって取得したものとして申告します。

預金をまだ受け取れないことと、納付期限が延びることは別です。手元の資金が不足するなら、納税資金の準備や所定の延納等を申告準備と並行して相談します。

未分割で使えない特例と後日の手続きを確認する

未分割財産には、通常、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使えません。所定の分割見込書等を添付し、期限内に分割するなどの要件を満たせば、後から更正の請求等を検討できます。

分割見込書は、申告や納付を待ってもらう書類ではありません。分割後の請求期限と承認が必要な場合は、適用する特例に応じて確認してください。

別申告に進む前に伝える事項と提出後の対応

別申告に進む前に伝える事項と提出後の対応に関する資料のイメージ

相手が申告するか分からなくても自分の期限を管理する

共同で出すのか別に出すのか、提出予定日、共通資料の確認状況を文書で伝えます。返事を待っている間に期限が過ぎないよう、税理士や税務署へ未確認の事情を説明してください。

父の死亡後の申告全体を整理する場合は父が亡くなったときの相続税と期限も参考になります。相手の対応と、自分が今できる財産調査や申告の準備を切り分けます。

提出後に分かった財産や分割結果も共有する

後から口座が見つかったり遺産分割が成立したりすると、各人の計算が変わる場合があります。別申告をした人へも資料を共有し、修正申告や更正の請求が必要かを個別に確認します。

別々の申告は、納税関係が完全に無関係になることでもありません。相続税には一定の連帯納付義務もあるため、未納を把握した場合には自分の負担の範囲と所定の取扱いを専門家へ確認します。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

兄弟が同じ税理士へ依頼しないと申告できませんか

同じ税理士でなくても申告できます。ただし、遺産全体の評価と相続人の情報を共有し、計算の食い違いを確認する必要があります。

自分の取得額が基礎控除以下なら申告は不要ですか

自分の取得額だけでは決まりません。遺産全体の課税価格と基礎控除等を確認して、自分の申告義務を判断します。

分割協議が終わるまで申告を待てますか

原則として待てません。未分割でも通常の期限内に申告と納付をし、分割後に必要な訂正や更正の請求を検討します。

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