成年後見制度とは 親の財産管理でできることと申立ての注意点

成年後見制度とは 親の財産管理でできることと申立ての注意点

成年後見制度とは 親の財産管理でできることと申立ての注意点のイメージ

成年後見制度は、認知症などで判断能力が十分でない人の契約や財産管理を支える仕組みです。親の預金で介護費用を払い、自宅の扱いを決めたいときなどに利用を検討します。

ただし、子が自由に親の財産を動かしたり、相続税を減らすために贈与したりする制度ではありません。本人のために必要な支援は何かを整理してから、使える権限と続く負担を確認します。

この記事でわかること
  • 後見は子へ財産を移す制度ではなく本人の生活と権利を守る仕組み
  • 後見と保佐や補助では権限が違い家族が選ばれる保証もない
  • 成立した改正法と現在利用できる制度を分けて考える
目次

成年後見制度は判断能力が低下した本人を支える制度

成年後見制度は判断能力が低下した本人を支える制度に関する資料のイメージ

財産を守ることと家族へ残すことを分ける

親が契約の意味や結果を理解できなくなると、子であっても当然に親の代理人にはなりません。本人の財産から生活費を支払う場合も、金融機関などが代理権を確認できる必要があります。

成年後見は、その人の意思や利益を考えて契約や財産管理を支えるための制度です。将来相続する子の取り分を増やすことを優先して、本人の生活資金を減らすものではありません。

親のお金をどう使うかで家族の意見が違うなら、誰が得をするかではなく、本人の生活と医療や介護に何が必要かを具体化します。必要な支出と契約が明らかになると、相談すべき内容も絞れます。

診断名だけで利用の類型は決まらない

認知症と診断された人でも、理解できる範囲や必要な支援は同じではありません。医師の診断や家庭裁判所の判断などを通じ、現在の判断能力に合う支援を検討します。

親が自分で理解して決められる部分まで、家族がすべて代わってよいわけではありません。認知症の親の意思能力と財産管理も参考に、契約ごとに必要な理解と支援を整理します。

法定後見と任意後見は利用を始める方法が違う

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法定後見は家庭裁判所が支援する人を選ぶ

現行の法定後見には、後見、保佐、補助の3つの類型があります。本人の判断能力の程度に応じ、代理や同意、取消しの権限が異なります。

後見では原則として広い代理権がありますが、保佐や補助ではすべての契約を一律に代理できるわけではありません。どの行為について権限が必要かを申立てで特定する場面があります。

家族を候補者として挙げることはできますが、選ぶのは家庭裁判所です。財産や家族関係などによって弁護士、司法書士、社会福祉士などが選ばれる場合もあり、子が必ず後見人になれるわけではありません。

任意後見は元気なうちの契約と監督人選任が必要

任意後見は、本人に判断能力があるうちに、将来支援を頼む相手と内容を公正証書で契約する方法です。契約を作った直後から任意後見人として何でも代理できる仕組みではありません。

判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任して契約が発効します。本人が元気な時期の事務を頼む契約とは役割が違うため、預金管理などをいつから頼むのかも区別します。

制度利用の出発点権限を決める仕組み
法定後見判断能力が低下してから家庭裁判所へ申立て類型と必要な審判に従う
任意後見判断能力があるうちに公正証書で契約契約内容に従い監督人選任で発効
家族信託契約内容を理解できるうちに契約信託した財産の範囲で受託者が管理

家族信託も、医療や介護に関する契約全般を代理できる制度ではありません。家族信託が必要な場合と不要な場合でそれぞれの守備範囲を比べ、名前の印象だけで選ばないようにします。

後見人ができることとできないことを分ける

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預金管理や介護契約も本人の利益が基準

後見人などは、与えられた権限の範囲で預金の管理や支払い、施設入所などの契約を支援します。本人の財産と家族のお金を分け、支出の資料を残すことも必要になります。

一方、後見人というだけで医療行為への包括的な同意権が与えられるわけではありません。介護そのものを後見人が必ず実施する制度でもなく、身上保護のための契約と実際の介助を区別します。

子への贈与や相続税対策は、本人のための支出とは別の問題です。家族全員が賛成しても、後見人が本人の財産を自由に渡せるという結論にはなりません。

居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可を確認する

後見人などが本人に代わり居住用不動産を売却する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。本人が入院や入所で現在は住んでいなくても、対象になることがあります。

処分には売却だけでなく、賃貸借やその解除、抵当権の設定、取壊しなども含まれます。保佐人や補助人の場合は、その不動産を処分する代理権があることも必要です。

家族が売却を先に決めてから許可を求めるのではなく、本人に必要な理由と価格資料などをそろえて事前に相談します。親の介護費が必要という理由があっても、手続きを省略できるわけではありません。

家庭裁判所への申立てと費用を確認する

家庭裁判所への申立てと費用を確認するに関する資料のイメージ

診断書を依頼する前には、裁判所が案内する様式と本人情報シートの準備方法を確認します。一般の診断書が手元にあっても、申立てに必要な内容を満たすかは別に確かめます。

困っている契約と本人の財産を整理する

申立て先は、原則として本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立書、診断書、本人情報シート、財産目録や収支資料など、必要な書類は裁判所の案内で確認します。

まず、どの口座や契約で何が止まっているかを書き出します。自宅売却だけが目的でも、その後の財産管理や裁判所への報告が続くことを踏まえて申立てを検討します。

本人の意思、生活状況、親族関係なども判断材料になります。財産額だけを並べるのではなく、本人がどのような暮らしを望んでいるかを伝えられる資料を整理します。

申立ての実費と開始後の報酬は別にかかる

費用には申立ての手数料や登記の費用、郵便料、必要な場合の鑑定費用があります。専門家に書類作成などを頼む場合は、その報酬も別です。

選任後の後見人や監督人への報酬は、家庭裁判所が決め、本人の財産から支払われます。家族が後見人なら必ず費用ゼロとも、全国一律で月額いくらとも言えません。

費用負担が難しい場合は、市区町村の成年後見制度利用支援事業などを相談できます。対象や助成額は自治体で異なるため、地域の相談窓口へ確認します。

現在の制度と成立した改正法の施行時期を区別する

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改正法が成立しても直ちに新制度にはならない

2026年6月に成立した民法等改正法は、法定後見を補助へ一元化するなどの見直しを含みます。ただし、法律の成立と新制度の利用開始は別です。

2026年10月17日に確認した法務省の案内では、成年後見の見直しは公布日から2年6カ月以内の政令で定める日に施行する区分です。遺言の見直しには別の施行区分があるため、同じ年に全部が切り替わるとは扱いません。

現時点の申立ては、現在施行されている制度と裁判所の案内に沿って進めます。改正後は目的が済めば自由に終了できると先回りせず、施行日と経過措置の確認が必要です。

目の前の支払いと将来の準備を分けて相談する

現在の制度では、きっかけとなる不動産売却や預金手続きが済んでも、家族の都合だけで当然に終了できません。選任後の継続管理と報告も含めて考えます。

まずは、親がいま判断できること、止まっている契約、必要な支払いを一枚にまとめます。その資料を持ち、地域の成年後見相談窓口や家庭裁判所の手続案内で、必要な支援範囲を確認することから始めてください。

よくある質問

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子供なら必ず親の後見人になれますか

必ずではありません。候補者を挙げても家庭裁判所が選び、専門職が選任される場合もあります。

後見人は親の自宅を自由に売れますか

居住用不動産の処分には家庭裁判所の事前許可が必要です。保佐人や補助人は必要な代理権も確認します。

改正された成年後見制度はもう使えますか

成立だけで利用開始にはなりません。施行日と経過措置を確認し、申立時点で施行中の制度に従います。

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