遺留分の内容証明を準備する 記載事項と配達記録の確認手順

遺留分の通知を内容証明郵便で出すときは、権利を行使する意思が文面に表れ、誰へいつ届いたかを残せるよう準備します。「遺産を調べてください」という依頼だけにしないことが大切です。
2019年7月1日以後に開始した相続の金銭請求を主に、文面の要素、郵便局へ持参する文書、配達後の記録を整理します。金額が未確定の場合も、請求先と文言は事情に合わせて確認してください。
- 調査依頼と遺留分の権利行使を文面で分ける
- 内容証明と一般書留や配達証明の役割を区別する
- 発送日だけでなく到達とその後の対応を記録する
対象相続と相手と権利行使を文書で明確にする

最初に、どの相続について、自分が誰へ、どの権利を行使するのかを別紙にまとめます。相手は単に相続人全員ではなく、遺留分侵害額を負担する受遺者や受贈者等の関係を確認します。
| 文面の要素 | 照合すること |
|---|---|
| 被相続人 | 氏名と死亡日等で対象相続を特定 |
| 請求人 | 氏名、住所、相続人としての立場 |
| 相手方 | 氏名と送付先、問題とする遺贈等との関係 |
| 権利行使の意思 | 遺留分侵害額請求権を行使する旨を明確にする |
| 現時点の確認 | 判明している遺言等と、金額や財産の未確定部分 |
| 連絡方法 | 回答や資料を受け取る連絡先 |
意思を表す部分の例は「私は、父○○の相続について、貴殿に対する遺留分侵害額請求権を行使します」です。これは文面の要素を示すもので、これだけを全ての事案の完成文として使うものではありません。
死亡日によって旧制度が適用される相続や、相手が複数いる場合は、通知の内容と対象を弁護士へ確認します。別の相手へ出した通知が全員への権利行使になるとは考えないでください。
金額未確定と未確認の事実を区別して書く

不動産評価や贈与の調査が途中なら、金額が未確定であることを明示し、請求する意思と区別します。推測の額を、双方が合意した確定額のように書かないようにします。
「この金額以外は請求しない」「相続について一切異議がない」などの文言は、残すつもりの権利に影響するおそれがあります。調査中の通知に、意図していない清算や放棄を混ぜないでください。
受遺者二人へ通知する場合は、それぞれの取得財産や負担順序を踏まえて内容を確認します。計算が未了であることを理由に、宛先を曖昧にした一通だけで済ませるのではなく、各相手を整理します。
内容証明の原稿と謄本を郵便局の条件へ合わせる

内容証明は、いつ、どの内容の文書を、誰から誰へ差し出したかを証明するサービスです。書かれた事実が真実であることや、主張が法的に正しいことまで郵便局が証明するわけではありません。
窓口で出す場合は、相手へ送る内容文書と、その謄本2通、差出人と受取人の住所氏名を書いた封筒等を、取扱郵便局の案内でそろえます。一般書留による内容証明と、配達を証明する配達証明の役割を分けて依頼します。
| 横書きの謄本で選べる規格 | 確認する上限 |
|---|---|
| 1行20字以内 | 1枚26行以内 |
| 1行13字以内 | 1枚40行以内 |
| 1行26字以内 | 1枚20行以内 |
この字数・行数の規格は謄本についてのものです。内容文書そのものには同じ制限がありませんが、両者の内容を照合しやすい形にそろえます。訂正や複数枚の契印、記号の数え方も日本郵便の案内で確認してください。
図面や返信用封筒等を内容文書と一緒に同封することはできません。別送資料がある場合は分け、e内容証明を使う場合も窓口の規格とは異なるため、選んだサービスの最新の作成条件へ合わせます。
発送日ではなく到達を確認して記録する

意思表示は原則として相手へ到達して効力を生じます。期限当日に投函したという記録だけで足りると考えず、配達に時間がかかることも見込みます。
遺留分の権利行使には、相続開始と侵害する贈与又は遺贈を知った時から1年、相続開始から10年という制限があります。実際の起算日や期間計算を自己判断せず、通知準備と並行して確認してください。
発送後は受領証、差出人保管の謄本、追跡、配達証明を一組にします。不在、受取拒否、転居等で返送されたら、到達していない又は届いたと一律に決めず、封筒と経過を保存して弁護士へ対応を相談します。
通知後の回答と調査を管理する

通知で求めた回答日と、法定の権利行使期限を別に管理します。内容証明を一度出せば、その後の金銭債権の時効や訴訟対応を含む全ての期限が無期限になるわけではありません。
家庭裁判所へ調停を申し立てただけでは、相手に権利行使をする意思表示にならないという裁判所の案内があります。交渉や申立てを進めていても、別に通知が必要な状況を確認します。
相手の回答、提示資料、金額の計算、次の返答予定を記録します。合意へ進むときは、通知時の仮の額と最終合意額、未解決の財産を分けて残し、支払いと清算の範囲を改めて確認してください。
よくある質問

遺留分の金額がまだ分からないと通知できませんか
権利行使の意思と金額の未確定を分けて準備します。相手、法的根拠、文言は個別事情に合わせ、調査を待って期限を過ぎないよう確認します。
内容証明だけで相手に届いたことも証明されますか
内容を証明することと配達の証明は別です。配達証明や追跡を確認し、謄本と発送・配達の資料を一組にして保存します。
調停を申し立てれば通知は不要ですか
裁判所は、調停申立てだけでは意思表示にならず、別に内容証明郵便等で権利行使をする必要があると案内しています。