成年後見の申立てに必要な書類 診断書と財産目録の準備順

成年後見の申立てでは、戸籍や診断書を集めるだけでなく、本人の財産と暮らしを裁判所の様式へ整理します。最初に本人の住所地を管轄する家庭裁判所の書式とチェック表を選ぶと、古い様式や不足書類による手戻りを減らせます。
ここでは、本人情報シートから診断書へ進む順序と、財産目録や収支予定表を資料へ対応させる方法を説明します。裁判所による追加資料や類型ごとの違いもあるため、全国共通の一覧だけで提出を終えないことが大切です。
- 申立先の書式と証明書をそろえる順序
- 本人情報シートと診断書の役割
- 財産と収支を証拠資料へ対応させる方法
本人の住所地の家庭裁判所で書式一式を選ぶ

申立先は、原則として本人の住所地の家庭裁判所です。申立人である子の住所地や、不動産の所在地から選ぶのではありません。本人が施設へ移っている場合などは、実際の住所と提出先を裁判所へ確認してください。
裁判所のサイトから、申立書だけでなく、手引、必要書類一覧、事情説明書、親族関係図、財産目録、収支予定表、候補者の資料、診断書の様式を一緒に入手します。保佐・補助では、同意や代理を求める行為の目録も確認します。
| 準備の束 | 主な内容 |
|---|---|
| 自分で作る書類 | 申立書 事情説明 親族関係 財産/収支 候補者資料 |
| 取り寄せる証明 | 戸籍 住民票又は戸籍附票 登記されていないことの証明 |
| 医療と生活の資料 | 診断書 本人情報シート 健康状態の資料 |
| 目録の裏付け | 通帳 不動産 負債 年金 施設費等 |
全国案内では、本人の戸籍、住所資料、診断書などに発行から3か月以内という条件が示されています。地域の手引にある必要範囲と発行期限を一覧へ写し、提出予定日から逆算して取得します。個人番号が記載されていない住民票等を用意する点も確認してください。
費用も別に見込みます。後見開始の全国案内は申立手数料800円、登記手数料2,600円に郵便料等が必要としています。保佐・補助で権限付与を同時に求める場合などは異なるため、申立ての組合せに合う案内を使います。
本人情報シートを診断書の作成につなぐ

本人情報シートは、本人の日常の生活状況を医師へ伝え、判断能力の評価に役立てる資料です。本人を職務上支援している福祉関係者等へ相談し、裁判所の手引に沿って作成を進めます。
例えば「認知症だから何もできない」と一括せず、買物の支払いはできるが預金の解約条件を理解することが難しい、といった具体的な状況を伝えます。できること、援助があればできること、困っていることを分けると、必要な支援を説明しやすくなります。
家族が書いた説明で医師の診断書を代用することはできません。現行の診断書様式と本人情報シートを医療機関へ示し、診察や作成に必要な期間を確認します。既存の病名の診断書をそのまま出せば足りるとも限りません。
最終的な後見・保佐・補助の判断は家庭裁判所が行います。医師の診断結果と家族の希望が違う場合も、希望する類型に合わせて事実を変えず、本人が困る行為と必要な支援を説明してください。鑑定が必要な場合は、裁判所からの案内へ対応します。
財産目録と収支予定表を証拠資料へ対応させる

財産目録は、本人名義の財産と負債を、裏付ける資料へつなぐための一覧です。家族の通帳と混ぜず、口座番号や地番などで対象を特定します。残高の基準日が資料ごとに違う場合は、その日付も残します。
| 目録の行 | 添える資料と点検 |
|---|---|
| 普通預金/定期預金 | 金融機関 支店 口座番号 残高日を通帳等と照合 |
| 土地/建物 | 所在 地番/家屋番号 持分を登記事項等と照合 |
| 借入れ等 | 残額 返済先 毎月返済を契約や明細で確認 |
| 定期収入 | 年金等の通知と入金額、月額/年額の換算 |
| 生活の支出 | 施設費 医療費 税 保険料等の定期/臨時を分ける |
| 分割前の相続財産 | 本人の固有財産と別に遺産の範囲と資料を示す |
仮に年金が2か月ごとに入るなら、その入金額を毎月の収入欄へそのまま写さないようにします。施設費が月額、固定資産税が年額の場合も、様式に合わせた換算の根拠を残してください。本人の財産を調べた結果と、今後の収支の予測は別です。
通帳では表紙だけでなく、口座を特定する頁や所定の取引範囲が必要になります。どの期間をコピーするかは手引で確認し、資料番号を目録の行へ付けると、裁判所から照会された際に同じ数字を探せます。
家族が把握できない口座や負債を、推測した金額で埋めないでください。「照会中」「資料を取得できない理由」「確認先」を記し、不足をどう扱うか裁判所へ相談します。申立て後に分かった財産も報告できるよう、調査の記録を残します。
候補者と親族の意向を整理し提出前に照合する

候補者がいる場合は、本人との関係、これまでの援助、財産管理上の事情を所定の書類へ記します。候補者を挙げても、その人が必ず選ばれるわけではありません。裁判所は本人の利益や財産、必要な支援に応じて後見人等を選びます。
親族の意見書や同意書も、地域の書式と提出対象を確認します。全員の賛成を得ることが常に申立ての法律上の条件、という意味ではありません。反対する人や連絡が取れない人がいる場合は、経緯と分かっている連絡先を伝えます。
提出前は、本人の氏名・住所、親族関係、申立ての目的、財産額、資料番号を横断して照合します。目録には預金100万円、添付通帳には別の日の90万円とあるなら、残高日やその後の支出を説明できるようにしてください。
裁判所から補正や追加資料を求められたら、質問と回答、提出日を一覧に残します。申立てをすれば家族がすぐに口座を使えるわけではないため、当面の本人の生活費や支払いで困る事情も、申立ての段階で具体的に相談します。
最初の準備として、本人の住所と支援が必要な行為を確認し、裁判所のチェック表へ取得先と担当者を書き込みましょう。診断書の依頼と財産資料の収集を並行させると、提出までの見通しが立てやすくなります。
手続きの状況や相談したい内容を整理する際は、相続の相談窓口もご利用ください。
よくある質問

診断書はどの病院の様式でもよいですか
裁判所所定の現行様式を確認し、医療機関へ依頼してください。病名だけの一般的な診断書で足りるとは限りません。
親族全員の同意がなければ申し立てられませんか
全員同意が常に申立要件というわけではありません。裁判所が求める意向資料を確認し、反対や連絡不能の事情も説明します。
分からない預金は財産目録から外してよいですか
把握できた事実と未確認事項を区別し、調べた経緯や照会先を示してください。推測でゼロとせず、不足資料の扱いを裁判所へ相談します。