死亡年の住宅ローン控除 死亡日の残高と団信を確認する手順

住宅ローン返済中に父が亡くなったら、死亡年の控除を確認する資料を集めます。最初の確認は、死亡日までの居住と、申告に使う借入残高の基準日です。
年末予定額や団信の弁済通知を一つの数字にまとめると、対象額を取り違えかねません。銀行へ尋ねる項目を絞り、父の準確定申告と相続人自身の申告を分けて準備しましょう。
- 死亡年の居住と残高資料の基準日
- 団信について契約資料から確認する問い
- 父の控除と相続人自身の借入れの分け方
死亡した日までの居住と適用年を確認する

国税庁は、住宅ローン控除を受けていた人が亡くなった年について、死亡日まで引き続きその住宅に居住していれば、その年の居住要件を満たす取扱いを示しています。年末まで生存して住んでいないという理由だけで、直ちに控除を外す必要はありません。
ただし、これは死亡年の居住の確認であり、団信を含む全条件への回答ではありません。対象となる借入れ、所得、控除期間など、ほかの要件も合わせて確認します。
家族は、父の入居日、死亡日、死亡までの居住状況、前年の申告や勤務先へ出した控除資料を並べます。途中で転居した、入院や施設入所があったといった事情は、家族の判断で省かず担当者に伝えてください。
控除率や限度額は入居年や住宅の区分等によって違います。死亡した年の新規入居者向けの数字を、以前から適用していた父にそのまま当てはめず、父に適用されていた制度を確認します。
年末予定額ではなく死亡日残高の資料を取り寄せる

残高資料を依頼するときは、準確定申告に使うため死亡日時点を確認したいと伝えます。年末の予定残高と、死亡日の残高は別の数字です。
国税庁の調書方式のQ&Aでは、2年目以降の年末残高調書は提出時点の年末予定額で提出することとされ、提出後に債務者が死亡した場合も、金融機関に特段の修正は求めていません。一方、申告する側は死亡日の残高等を踏まえる必要があるとされています。
| 手元の資料 | そのまま転記する前の確認 |
|---|---|
| 前年の年末残高証明書 | 前年の申告資料。死亡年の基準日ではない |
| 死亡年の年末予定額が載る証明書・調書情報 | 死亡日残高と同じかを金融機関へ確認 |
| 死亡日を指定した残高資料 | 対象債務、基準日、団信処理との関係を確認 |
| 団信による弁済の通知 | 対象範囲と契約上の債務の扱いを確認 |
調書方式へ移った金融機関でも、死亡など特定のケースでシステム対応が難しい場合は、従来の証明書方式を認めるQ&Aがあります。ただし家族が任意に方法を決めるのではなく、銀行がどの資料を用意できるかを尋ねます。
団信の対象債務と消滅時点を契約資料で確認する

団信は、死亡等に際して保険金により住宅ローンを返済する仕組みです。加入していたという事実だけで、父の控除対象額を家族が確定することは避けてください。返済の対象となる借入れや保障割合、債務がどのように扱われるかを契約資料で確かめます。
ここまで挙げた国税庁の公表Q&Aは、死亡までの居住と死亡日残高の申告を説明するもので、団信がある場合の準確定申告の可否を直接回答したものではありません。団信で消滅する債務の扱いまで、この二つだけから一律に結論づけることはできません。
| 確認する資料 | 銀行や税務の担当へ残す問い |
|---|---|
| 借入契約と契約番号 | どの債務が父本人の借入れか |
| 団信の加入・保障内容が分かる書類 | 誰の死亡で、どの借入れの何割が対象になるか |
| 弁済通知と適用約款 | 契約上いつ、どの範囲で債務が消滅する扱いか |
| 死亡日時点の残高資料 | 団信の処理を踏まえ、準確定申告の対象額をどう確認するか |
保険金の支払日だけで残高を認定しない
保険金が10月に支払われたので、9月の死亡時点には必ず全額の対象借入残高があった、という推測では足りません。銀行の事務処理日と契約上の債務消滅の扱い、税務上の対象額を分け、上の資料をまとめて税務署や税理士へ照会します。
ペアローンや連帯債務では、父の死亡で家族の借入れがすべて消えるとは限りません。父の契約と母自身の契約、団信の対象と対象外を行ごとに分けると、確認する範囲を具体化できます。
相続人の返済と父の控除を別の申告へ分ける

団信の対象外の債務などを子が承継して返済しても、父が使い残した住宅ローン控除を子へそのまま引き継ぐ制度ではありません。
国税庁は、父子で住宅持分を共有しそれぞれ控除を受けていた例で、父の持分と借入金を子が相続しても、その相続した住宅と借入金について控除は適用できないと回答しています。相続した借入金は、子が住宅を取得するために借り入れたものではないためです。
母や子がもともと自分の取得持分に対応する対象ローンを持っている場合、その本人分まで父の死亡だけで一律に否定する話ではありません。「父の死亡年分」「相続した父の債務」「家族自身の従前の借入れ」の三つに分けて確認してください。
銀行の回答と控除資料を申告書の対象額へつなぐ

銀行から資料が届いたら、ローン契約番号、父の持分、死亡日、証明された残高、団信の対象範囲を読み合わせます。分からなかった点は照会表へ残し、年末予定額で埋めて完成させないようにします。
住宅ローン控除は税額控除なので、残高が確認できても同額の税金が戻るわけではありません。父の所得税額や適用期間、他の控除との関係を含めて申告書の計算へ反映します。利息や手数料まで借入元本へ足し込まない確認も必要です。
申告が必要な場合の準確定申告の原則期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。銀行の調査待ちの資料と、すでにそろった申告資料を担当者へ早めに共有します。
なお、準確定申告は父の所得税、相続税の債務控除は遺産に関する別制度です。団信の資料は双方で使うことがありますが、一方の結論をもう一方へ自動的に当てはめず、何の申告の対象額かを明確にします。
相続に伴うほかの確認は、相続税の債務控除の対象一覧 借入金や未払金を差し引く条件も参考に、今回の申告資料と分けて整理してください。
よくある質問

死亡した年は住宅ローン控除を使えませんか
死亡した日まで引き続き居住していれば、居住の要件は満たし得ます。対象借入残高や入居年の他の要件も確認します。
団信に入っていれば残高証明は不要ですか
加入だけで申告の対象残高を決めず、弁済範囲と債務消滅の取扱いを確認します。死亡日を指定した資料と契約書を準備してください。
相続人が返済すれば父の控除も引き継げますか
相続で承継した借入れについて、父の残りの控除をそのまま使うことは原則できません。相続人自身の別の借入れとは区分します。