親の土地に家を建てる前に 使用の合意と住宅ローンの担保を確認

親の土地の名義を残したまま、子が家を建てる計画は検討できます。ただし、土地を使わせてもらう合意、土地を住宅ローンの担保に入れる合意、建築費を誰が負担するかは、それぞれ別に決める必要があります。
土地は父、新築する家は子の所有にするなら、父にも土地を使う条件と担保のリスクを理解してもらいます。建築契約を結ぶ前に、土地と建物を分けた確認表を家族、金融機関、工事・登記の担当者へ示してください。
- 父名義の土地と子が取得する建物を分け、土地を使う目的・期間・費用を合意する
- 住宅ローンの担保提供と連帯保証は別に確認し、父の土地のリスクも共有する
- 建築費3000万円の負担と建物名義をそろえ、土地の将来相続は別に備える
父の土地を使う条件を建築契約の前に決める

最初に土地の登記事項証明書を取り、父が単独で所有するのか、母や兄弟等との共有なのか、抵当権が残っているのかを確認します。家族が「父の土地」と呼んでいることと、父だけの判断で計画を進められることは同じではありません。
父から地代も権利金も払わず土地を借りる場合は、使用貸借としての利用を検討します。国税庁は、この場合の土地を使用する権利の価額をゼロとし、借地権相当額の贈与税は課されないと説明しています。土地そのものを子へ贈与する場合とは別です。
| 確認するもの | 父の土地を残して子が建てる計画での確認 |
|---|---|
| 土地 | 所有者と共有者、使う範囲、既存の抵当権、使用の目的や期間 |
| 新築する建物 | 建築費を負担する人、完成後の所有者と持分、借り入れる人 |
| 土地の使用と費用 | 地代・権利金の有無、税金等の負担、建替えや第三者利用、終了時の扱い |
使用の合意では、「子の自宅を建てる」目的に加え、いつまで使うか、税金等を誰が負担するか、建替えや第三者へ貸す場合にどう相談するかを整理します。固定資産税相当額を子が負担する約束があっても、その支払いを建築費の出資と混ぜないようにします。
民法上、使用貸借は期間や目的、借主の死亡等による終了の定めがあります。家を建てれば土地を永久に使えると考えず、父子の予定に合う条件と終了時の扱いを専門家へ確認し、双方で記録を残してください。
住宅ローンでは土地の担保と父の責任を確かめる

土地を使う了解があっても、住宅ローンに必要な担保の条件まで決まるわけではありません。金融機関へ、土地の所有者、既存の抵当権、建物の取得予定者と借入予定者を伝えて相談します。
例えば住宅金融支援機構の【フラット35】の案内では、親の土地を使用貸借して住宅を建てる場合、敷地も親が担保提供し、機構のために第一順位の抵当権を設定する条件が示されています。この商品の条件を、全ての金融機関に共通する条件として扱わないでください。
担保提供者は、自分の土地等を借入れの担保として提供する人です。子が返済できず担保が実行されれば、父の土地を失うおそれがあります。土地名義が父のままであることは、そのリスクを避けられるという意味ではありません。
一方、担保提供と、子の債務について連帯保証をすることは別です。SBI新生銀行の父の土地に子が新築する例では、父の収入を合算する場合を除き、父が連帯保証人になる必要はないと案内しています。父にも保証を求めるかは、商品、収入合算、借入形態等の条件と契約で確認します。
父が何を担保にし、どの責任を負うかを理解して同意できることが前提です。既存の借入れがある土地や、共有地全体を担保にする計画は、既存金融機関や共有者の確認も必要になります。土地を使う合意書だけを持って、融資が必ず受けられると考えないようにします。
父の建築費は贈与と持分取得と貸付を分ける

土地の使用と担保の条件が分かったら、新築する建物の代金を整理します。以下は、土地の名義は父に残し、建築費3,000万円を子2,000万円・父1,000万円で用意する架空例です。父の1,000万円を何として出すかによって、建物の所有や返済の扱いが変わります。
| 計画 | 父の1000万円の意味 | 建物と返済の確認 |
|---|---|---|
| A 子に贈与する | 子が受け取って建築費に充てる | 子の単独所有と贈与税の特例・申告を検討 |
| B 父も所有する | 父自身の持分取得代金として負担する | 実際の取得関係に沿い子2/3・父1/3等を検討 |
| C 子に貸す | 子が父へ返す義務を負う | 子の単独所有と、1000万円の真実の借入れを確認 |
Aは、子が受け取った贈与資金で自分の建物を取得する計画です。Bは、父が自分の持分の取得代金を出す計画で、父の支払いが全て子への贈与になるわけではありません。Cは、子の建物を取得するための借入れで、子に返済義務が残ります。いずれも、建物の資金計画だけで父の土地名義は変わりません。
実際の資金負担と登記持分が異なると、贈与税の問題が生じることがあります。父が工事会社へ直接払った場合も、支払先だけで判断せず、誰の建物を取得するための支払いかを照合します。
Aで住宅資金の非課税特例を使うなら、親子であることと金額だけでは足りません。受け取る人や住宅、取得・入居の期限、申告の条件は、住宅資金贈与の非課税条件で確認してください。土地を無償で使うこと自体の扱いとは別の制度です。
Cを選ぶ場合は、借用書だけでなく、子の返済能力と返済条件、実際の入出金を確認します。詳細は親から借りたお金と贈与税の確認へ進み、形式だけの貸付けにしないようにします。
支払いの変更と完成後の所有関係を記録する

契約後も、頭金、中間金、残代金ごとに、誰のどの資金で払ったかを残します。合計額だけが合っていても、追加工事を父が立て替えたことで、最初の計画と実際の負担が変わる場合があるためです。
| 記入する欄 | 計画時に置く内容 | 支払後に残すもの |
|---|---|---|
| 頭金・中間金・残代金 | 期日、予定額、資金を出す人 | 請求書、振込控え、実額 |
| 借入資金 | 債務者、金融機関、実行予定日 | 契約、入金、返済開始の記録 |
| 父の支払い | A贈与/B取得/C貸付の区分 | 合意書と送金先、父子双方の記録 |
| 最終確認 | 総工事費と取得する持分 | 変更契約、精算書、登記へ渡す資料 |
追加代金が発生したら、父の贈与を増やすのか、父の持分取得代金なのか、子が返す立替えなのかを確認します。当初の三計画のどれかを、後から帳尻を合わせるためだけに書き換えないでください。変更契約、請求書、送金記録と当事者の合意をそろえます。
完成時は、土地は父、建物は子の単独所有なのか、父子の共有なのかを別々の登記で確認します。土地を使う合意と担保契約も一緒に保管し、建物を取得したから父の土地も自動的に自分のものになる、と誤解しないようにします。
将来父が亡くなれば、土地はその時の相続の対象となり、子が家を所有していることだけで土地の取得者が決まるわけではありません。土地評価と貸主・借主の死亡後の関係は、使用貸借の土地を相続するときの確認も参考にしてください。今の利用合意と、将来の相続方針は分けて備えます。
まず土地と建物の二行に、所有予定者、使用の合意、担保、建築費の負担を書いてみてください。父と認識が違う欄や金融機関へ未確認の欄を残し、工事を発注する前に確認する相手を決めることが出発点です。
よくある質問

土地を無償で借りると親の土地も子名義になりますか
使用貸借だけで土地の所有権は移りません。父名義の土地と、子が新築して取得する建物を別々に確認します。
父が土地を担保に入れると必ず連帯保証人にもなりますか
担保提供と連帯保証は別です。金融機関や商品、収入合算等の条件と契約で確認してください。連帯保証をしなくても、担保の土地を失うおそれは残ります。
建築費に住宅資金の非課税を使えば土地の条件も解決しますか
住宅資金の非課税は建築等の資金に関する税務の制度です。土地を使う合意、担保提供、土地と建物の所有関係や将来の相続を代わりに決めるものではありません。