特別口座の株式を相続するには 銘柄ごとの照会と振替先の準備

親の株式資料に「特別口座」とあれば、証券会社での相続とは別に管理機関の手続きが必要になることがあります。信託銀行から届く封筒を一つにまとめるだけでは、保管先や残る配当は確定しません。
A社は特別口座、B社は証券会社、C社は不明という例で、銘柄ごとに照会し、振替先と完了を確認する方法を説明します。
- 通知の差出人と実際の保管先を区別する
- 銘柄と死亡日に合う様式を選び振替先を準備する
- 株式と未受領配当の完了を別々に確かめる
通知の発行会社と実際の保管口座を銘柄ごとに分ける

信託銀行から株主総会や配当のお知らせが届いても、その株式が同じ銀行の特別口座にあるとは限りません。発行会社の株主名簿を管理する仕事と、株式を保管する口座の仕事は別だからです。通知にある銘柄を手掛かりに、どの口座で管理されているかを確かめます。
特別口座は、株券電子化の際に証券保管振替機構へ預託されていなかった株式などを管理するための口座です。証券会社の「特定口座」とは異なり、そこから通常の市場売買をする取引口座ではありません。
| 銘柄の架空例 | 見つかった資料S01 | 最初の仕分け |
|---|---|---|
| A社 | 特別口座の残高が確認できる通知 | 管理機関へ相続と振替を照会 |
| B社 | 証券会社の残高報告書 | 保管する証券会社へ照会 |
| C社 | 信託銀行差出しの株主総会通知だけ | 保管先は未確認として調べる |
Aの窓口が分かったからといって、Cも同じ場所と決めません。三井住友信託銀行の案内も、証券会社口座で所有する株式はその証券会社へ問い合わせること、同行では取引証券会社を調べられないことを示しています。
株主番号と死亡日を伝え銘柄に合う様式を取り寄せる

発行会社名、株主番号、亡くなった人の氏名、死亡日、照会者との関係をまとめて管理機関へ連絡します。株主番号は配当や議決権の通知等と照合し、不明なら推測で別銘柄の番号を転記しないでください。
手続き用紙は死亡日や上場時期等によって異なる場合があります。たとえば三井住友信託銀行は、2009年1月4日以前と同月5日以後で上場会社株式の相続用紙を分けています。2009年1月5日以後に上場した会社では、それぞれ上場日前日・上場日を基準とする注記もあります。これは同行の案内であり、全社共通の一枚の申請書があるという意味ではありません。
| 銘柄表S02の欄 | 記録する内容 |
|---|---|
| 管理機関と窓口 | 特別口座があるかの回答と確認日 |
| 株主番号と死亡日 | 原資料と様式選択の条件 |
| 取得する相続人 | 遺言や協議等の根拠と対象株数 |
| 必要書類 | 様式名、原本/コピー、返却方法、不足分 |
| 配当等 | 未受領配当金や単元未満株の有無 |
同じ銀行が複数の会社の名簿を管理していても、会社と株主番号を区別します。公的書類を共用できる範囲や必要通数は、銘柄一覧を示して窓口に確認してください。郵送した日と不備なく受け付けられた日も別に残します。
相続人の証券口座と振替条件を先にそろえる

株式を保有し続ける場合や市場で売却する場合は、受け入れる証券会社の口座と振替条件を確認します。特別口座の管理機関だけへ書類を送り、移す先が未定のままにしないことが大切です。
口座名義人が異なる振替は、通常の振替と相続による振替で取扱いが違います。松井証券は原則同名義としながら、相続や遺贈による異名義の振替は可能と案内しています。故人の特別口座を必ず一度子名義に変えてからでなければ、子の証券口座へ移せないと一律には決めません。
| A社の振替準備S03 | 確認すること |
|---|---|
| 取得者 | 長女が何株取得するかと根拠資料 |
| 受入先 | 証券会社、名義、加入者口座コード等の指定情報 |
| 受入可能な商品 | その銘柄や単元未満株を扱えるか |
| 税務の資料 | 取得費が分かる過去資料と受入区分を別確認 |
特別口座から移せることと、特定口座へ受け入れられることは同じではありません。SBI証券のタンス株の案内では、特別口座に記録された本人名義株式の振替は一般預りと説明しています。受入先の条件を確認し、どの会社でも自動的に特定口座へ入ると考えないようにします。
振替後の株数と配当を銘柄表で完了まで追う

A社株の振替完了をS04で確認したら、依頼株数と入庫株数を合わせます。B社の証券会社手続きや、C社の保管先調査が残っていれば、同じ完了欄にはまとめません。
未受領配当金は株式の振替と別の手続きになる場合があります。三井住友信託銀行も、証券会社での相続が済んでいても、同行の特別口座の株式等や未受領配当金があれば同行での手続きが必要と案内しています。配当の通知をS05として残し、受領者と受領状況を確かめます。
単元未満株の買取請求を選ぶ場合も、市場売却の振替とは方法が違います。買取りの用紙、対象株数、代金と費用を確認してください。最終的には銘柄ごとに、保管先、株式の処理、未受領配当、未回答事項の四つを確認して終了にします。
相続に伴うほかの確認は、親の財産の調べ方 預貯金や不動産の照会先と必要書類も参考に、今回の申告資料と分けて整理してください。
よくある質問

特別口座は税金を計算する特定口座ですか
別の制度です。特別口座は株主の権利保全のための口座で、市場売買用の証券取引口座や特定口座とは区別します。
信託銀行からの封筒があれば特別口座ですか
必ずではありません。株主名簿管理人として送付している場合もあるため、銘柄ごとに保管先を確認します。
相続した株をすぐ市場で売れますか
特別口座から直接の市場売買はできません。相続と証券口座への振替の方法、単元未満株の別手続等を確認します。