任意後見契約を解除するには 監督人の選任前後で手続きを分ける

任意後見を頼んだ相手を変えたいときは、任意後見監督人が既に選任されているかで、解除の方法が変わります。本人と受任者が話し合って了承したことだけで、どの段階でも終えられるわけではありません。
まず契約書と登記、家庭裁判所の審判書を確認します。法定の成年後見人が辞任する手続きとは分けて、契約の解除、終了登記、次の支援の引継ぎを進めます。
- 監督人選任の前後で異なる解除の条件
- 合意解除と一方的解除で残す書面と到達の証拠
- 終了登記と別契約や預かり物の引継ぎ
監督人の選任を契約書と裁判所の資料で確かめる

任意後見契約は、将来の代理を任せる契約を公正証書で作り、任意後見監督人の選任によって効力が生じる仕組みです。公正証書を作った日と、任意後見が始まった日を同じ日として扱わないでください。
| 手元の資料 | 分かること | まだ分からないこと |
|---|---|---|
| 任意後見契約公正証書 | 当事者、契約内容、代理を任せる範囲 | 監督人が既に選任されたか |
| 後見の登記事項証明書 | 契約や選任等の登記内容 | 実際の引継ぎが済んだか |
| 家裁の審判書等 | 監督人の選任や解除許可の内容 | 別の財産管理契約まで終わったか |
たとえば、子が父の通帳を管理していても、別の財産管理委任に基づく管理で、監督人はまだ選任されていない場合があります。通帳を預かっているという外観から判断せず、どの契約のどの権限で支援しているかを明らかにします。
選任前は認証を受けた書面と相手への到達を準備する

監督人の選任前は、本人又は任意後見受任者が、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって解除できます。口頭で「もう頼まない」と伝えたり、普通のメールを送ったりするだけでは、この法定の方式を満たすものとして扱えません。
双方で解除する合意ができる場合と、一方が解除の意思を相手へ通知する場合を分けます。一方的に解除する場合は、認証を受けた解除書面に加え、その意思表示が相手に到達したことを示せるようにします。内容証明と配達証明は、書面の内容と配達を確認する役割が異なります。
| 準備する記録 | 合意解除 | 一方的解除 |
|---|---|---|
| 意思表示の書面 | 双方の合意内容と認証の方式を公証役場へ相談 | 解除の意思表示を記載し認証を受ける |
| 相手との関係 | 合意した当事者と日付を特定 | 相手への到達を確認する |
| 終了登記に用いる資料 | 認証された書面等を現行案内へ照合 | 認証書面と到達資料等を照合 |
本人から解除する場合は、解除という法律行為を理解できる状態かも問題になります。家族が本人名義の解除書面を作れば済むとは考えず、本人の状態と希望を公証人や法律専門家へ伝えます。
選任後は正当な事由と家庭裁判所の許可を確認する

監督人の選任後は、本人又は任意後見人が、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て解除します。この段階で双方が合意しても、許可の条件を飛ばせるわけではありません。
任意後見人が支援を続けられない事情があるなら、病状や生活状況などの根拠、現在の事務、本人へ及ぶ影響、後の支援案を整理して相談します。単に「辞めたい」と書けば許可されるとせず、提出先や必要資料は担当の家庭裁判所へ確認してください。
不正な支出などが疑われる場合は、契約当事者による解除だけの問題とは限りません。任意後見人の解任は別の規定に基づく手続きです。支出資料を保存し、監督人や家庭裁判所へ事実を示して、必要な対応を相談します。
終了登記と別契約を点検し次の支援へ引き継ぐ

解除後は、任意後見の終了登記を別途進めます。任意後見人の代理権の消滅は、登記をしなければ善意の第三者に対抗できないため、解除書面だけを保管して作業を終えないでください。
申請の際は、解除を示す書面、選任後なら許可審判書等と確定証明書、申請する人の資格等を現在の東京法務局の案内へ対応させます。住所が登記と異なる場合や、代理人が申請する場合の資料も照合します。解除の登記と、新しい支援者への権限付与は同じ手続きではありません。
| 引継ぎ対象 | 終える前に整理すること |
|---|---|
| 通帳・証書・印鑑・鍵 | 所有者、預かり物の一覧、返却先と受領記録 |
| 財産管理の記録 | 最終残高、未払費用、支払期限、処理中の契約 |
| 財産管理委任・見守り等 | 任意後見と別の契約か、それぞれの終了条件 |
| 次の支援 | 本人の意思と状態、利用可能な代理や後見、支援の空白 |
任意後見契約を解除しても、別に結んだ見守りや財産管理委任、死後事務の契約まで当然に全て終わるとは限りません。一方で、権限が消滅したのに旧受任者が口座操作を続けることも避けます。契約ごとの終期と、本人の次の支払いを誰が支えるかを一緒に決めます。
ここでは2026年10月時点で施行されている解除の規定を説明しています。改正法の公布と施行は別なので、将来の制度変更を現在使える手続きとして先取りしないでください。
関連する基本事項は、親の相続準備 元気なうちに確認する書類と進め方も参考にしてください。
契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

任意後見契約は本人と受任者の合意だけで解除できますか
監督人選任前でも公証人の認証を受けた書面等の方式を確認します。選任後は合意があっても、正当な事由と家庭裁判所の許可が必要です。
解除の通知を出せば終了登記は不要ですか
不要ではありません。代理権消滅を善意の第三者へ対抗するには登記が必要です。解除の書面と必要な添付資料を現行の案内へ照合します。
任意後見を解除すると財産管理委任も終わりますか
別契約なら当然に同時終了するとは限りません。各契約の終了条件、処理中の支払い、預かり物と記録の引継ぎを分けて確認します。