受け取り忘れた配当金を相続するには 株主名簿管理人と請求の手順

親の株式を証券会社で移管しても、受け取っていない配当金の相続手続きが別に残っていることがあります。配当金領収証や通知を見つけたら、銘柄ごとの株主名簿管理人へ確認します。
請求の実務では、入金済みか、領収証で未受領かを調べます。税務ではさらに、死亡日の時点で配当が確定していたか、配当期待権という段階だったかを分ける必要があるため、基準日と効力発生日等の資料も残してください。
配当の通知と支払先から未受領分を洗い出す

配当の通知があっても、既に振り込まれていれば同じ金額を未受領として請求することはできません。銘柄、配当の年分、株数、支払方法、実際の入金を最初に照合します。
配当金領収証と入金記録を照合する
配当金領収証、配当計算書、銀行や証券の入金記録を集めます。領収証で窓口へ受け取りに行く方法と、銀行や証券口座へ振り込まれる方法では、未受領となる原因が違います。口座が閉じられて返戻された可能性も、名簿管理人へ確認してください。
会社ごとの株主名簿管理人を確認する
株主名簿管理人は配当計算書などに記載され、発行会社の公式IR情報でも確認できます。証券会社で相続した株式の名義が変わっても、過去の未受領配当がすべて自動処理されたとは限りません。銘柄ごとに受付先と調査結果を残します。
配当以外の財産も不明な場合は、親の財産を調べる資料と照会先を参照し、証券の通知も調査資料として保管します。
株主名簿管理人へ相続の受付と必要書類を問い合わせる

三菱UFJ信託銀行などの公式案内には、未受領配当金のみの相続手続きができるケースが示されています。株式移管の手続きと同じ書類が必ず使えるとは限らないため、状況を説明して受付を確認します。
株主番号と株式移管の状況を伝える
連絡時は、亡くなった人の氏名と届出住所、銘柄、株主番号、分かる年分を伝えます。株式が証券会社口座か特別口座か、株式の移管が済んだかも知らせます。相続関係や取得者の証明は、遺言や分割状況に応じた案内を受けます。
領収証の取扱期間後は再交付等を相談する
配当金領収証の銀行窓口での取扱期間を過ぎていても、直ちにすべて請求不能とは限りません。名簿管理人へ、相続の手続きと併せて再交付や振込等の方法を尋ねます。なくした領収証を自作したり、故人本人の署名を代筆したりせず正規の受付を使います。
受取期限は領収証の期間と会社の定款を分けて確認する

古い配当では、領収証を銀行へ持ち込める期間と、発行会社が支払義務を免れる期間の定めなどを区別します。「3年」という説明を見ただけで、すべての配当の権利が一律に消えるとは判断できません。
発行会社の配当金支払義務の扱いを調べる
会社の定款に、支払開始から一定期間を経過した未受領配当金について支払義務を免れる定めがある場合があります。該当会社の現行定款、対象年分、名簿管理人の回答を確認します。一般の債権の時効と、定款による扱いも同一視しないでください。
未受領の年分と金額を一覧にする
問い合わせでは「古い配当はあるか」だけでなく、年分ごとの未受領額と現在の支払可否、必要手続きを確認します。返答待ちのものを回収確定額へ入れず、保留理由を記録します。会社再編や名簿管理人の変更がある場合は、現在の承継先を調べます。
死亡日の権利の段階で未収配当と配当期待権を分ける

相続税では、死亡時に持っていた権利を評価します。株式本体の価額とは別に配当に関する権利を確認し、死亡後に入金されたという事実だけで一律に扱わないことが大切です。
配当基準日と決議や支払開始日を記録する
基準日後で配当がまだ確定していない段階には、配当期待権を検討します。財産評価基本通達193は、予想配当から源泉徴収される所得税等相当額を控除して評価するとしています。確定した未収配当とは段階が違うため、基準日、決議、効力発生日、支払開始日を分けます。
株式の価額と別に計上する権利を確認する
死亡前に既に入金され、そのまま残っていれば、現金預金として把握することになります。これを未受領配当として重ねて計上しないでください。配当金額の確定や所得税の収入時期は実入金日と同義とは限らないため、会社の通知資料を税理士へ渡します。
| 照合する日付と資料 | 区別したいこと |
|---|---|
| 配当基準日 | 配当を受ける株主を定める基準 |
| 決議と効力発生日等 | 配当の確定と所得税上の収入時期 |
| 死亡日 | 相続開始時に持つ権利の段階 |
| 支払開始日と実入金日 | 請求方法・未受領・入金済みの確認 |
請求結果と分割や申告への反映を同じ表へ残す

請求を担当した人と、配当を取得する人が同じとは限りません。遺言や協議書の対象範囲を確かめ、受領の窓口を担当した人が当然に全額取得すると扱わないようにします。
取得者と入金先の合意を確認する
入金があったら、対象銘柄と年分、源泉徴収等、手取額、受取口座を記録します。未受領のまま残ったものは理由と次の照会先を記載します。申告後に見つかった財産なら、申告内容の是正や追加の分割が必要かを確認してください。
申告後の発見は修正の要否を確認する
相続税で配当期待権を評価したから、後の配当所得の課税や源泉税の扱いも自動的にゼロになるとは考えません。所得税の収入時期と申告方法を別に確認します。まず配当通知と通帳を銘柄ごとに並べ、株主名簿管理人へ未受領分を問い合わせます。
よくある質問

証券会社の相続手続きが終われば配当も終わりですか
未受領配当の手続きが別に残る場合があります。株主名簿管理人へ、株式移管済みで未受領分を確認したいと伝えてください。
領収証の銀行取扱期間を過ぎると受け取れませんか
直ちにそうとは限りません。名簿管理人へ再交付や振込などの方法と、発行会社の支払可否を確認してください。
死亡後の配当はすべて未収配当金ですか
すべて同じではありません。死亡時点の確定状況や基準日から、配当期待権等を区別して税務を確認します。