供託金を相続したら 還付と取戻しの払渡請求書類

親の書類から供託書や供託通知書が見つかっても、銀行預金と同じように解約すれば受け取れるものではありません。親が供託した側なのか、供託されたお金を受け取る側なのかで、請求の種類と必要な証明が変わります。
供託金を受け継ぐ場合は、払渡しを受ける権利と、その権利を相続したことを別々に確かめます。供託番号、相続の形、現在の請求者を、所管の供託所の案内へ対応させて準備しましょう。
- 故人の立場から還付と取戻しを見分ける
- 払渡しの根拠と相続の証明を分けてそろえる
- 一人取得と法定相続分の請求で資料を確認する
供託番号と故人の立場から請求の種類を調べる

供託の払渡しには「還付」と「取戻し」があります。還付は、供託関係に基づく権利者である被供託者へ払い渡す手続です。取戻しは、供託原因の消滅などによって供託者へ払い渡す手続をいいます。
| 故人の立場 | 請求の入口 | 先に確かめること |
|---|---|---|
| 家主の父へ支払う家賃が供託され、父が被供託者 | 還付 | 父の受取権と、誰がどの範囲を承継したか |
| 父自身が供託し、父が供託者 | 取戻し | 供託の種類と取戻原因、取戻しが制限されないか |
供託書等で、供託所、年度を含む供託番号、供託者・被供託者、金額、原因を控えます。書類を持っている人が受取人とは限りません。「親が亡くなったから供託の目的もなくなった」とせず、故人の立場と供託の内容から進めます。
払渡しの根拠と相続の証明を二つに分ける

還付には、被供託者が確定し、実体上の請求権が確定していることなどが必要です。条件付きの権利なら、その条件が成就しているかも問題になります。例えば被供託者が「甲又は乙」となっているときは、戸籍で甲の相続人と分かるだけで、甲側に還付する権利が確定するとは限りません。
取戻しについても、供託が錯誤で無効である、供託後に原因が消滅したなど、該当する理由を確認します。弁済供託では、相手が供託を受諾した場合や、供託を有効と宣告する判決が確定した場合など、取り戻せないことがあります。
弁済供託を取り戻すと、供託が初めからなかったものとみなされ、債務が消滅しなかった扱いになることにも注意してください。故人の債務や他の相続手続へ影響しないかを確認してから請求します。
そのうえで、請求者が故人の払渡請求権を承継した資料をそろえます。法務省Q48は、通常の払渡しに必要な資料に加え、戸籍や法定相続情報一覧図などの相続を証する書面が必要になると案内しています。請求権の根拠と、相続人であることの証明は、どちらか一方で代わるものではありません。
一人取得と法定相続分の請求で資料を分ける

京都地方法務局の現行添付一覧は、相続人が死亡時に一人の場合と、払渡請求額が法定相続分どおりの場合には、遺産分割協議書を不要としています。一方、遺産分割で特定の相続人が取得する場合は、その取得を示す協議書等を確認します。
ただし、権利の帰属自体に争いがある供託などで、割合だけ示せば必ず受け取れるという意味ではありません。被供託者の表示、供託原因、遺言や協議の状況を供託所へ伝え、自分の請求範囲を確かめてください。
| 京都の添付案内で区別する資料 | 確認する役割と時点 |
|---|---|
| 故人の戸除籍、除票等、相続人の戸籍 | 死亡、相続人の範囲、供託書上の故人との同一性 |
| 払渡請求者の住所資料と印鑑証明書 | 請求する人の確認。印鑑証明書は払渡請求日前3か月以内の取得 |
| 分割取得を示す協議書と全員の印鑑証明書 | 全員が実印を押印。印鑑証明書は協議書作成前3か月以内又は作成後の交付 |
| 法定相続情報一覧図 | 戸籍等を省略できる範囲と、住所記載による住民票省略を確認 |
二つの印鑑証明書の基準日を、どちらも請求日から3か月と取り違えないでください。また、法務省Q42は、個人の請求で所定の本人確認書類を提示し写しを添付できる場合などの省略も案内しています。郵送や代理人の場合を含め、実際の提出方法に応じて照会します。
法定相続情報一覧図で一部の戸籍を省略できても、故人の住所と供託書の住所が違う場合などには追加資料が必要になることがあります。放棄、遺言、調停・審判が関係するなら、その内容も最初に伝えましょう。
供託された供託所へ現行請求書と資料を出す

提出先は、相続人の自宅に近い法務局とは限らず、供託がされている供託所です。現行の供託金払渡請求書では、請求者、代理人を使う場合の表示、還付・取戻しの区別と事由、供託番号、金額、希望する払渡方法等を記載します。供託が複数あれば、年度や番号の取り違えに注意します。
京都の案内では、供託書正本や供託通知書の添付は不要ですが、番号を記入するため窓口へ持参するよう示されています。添付不要という扱いを、供託を特定する情報も不要という意味にしないでください。見つからない場合は、分かる当事者や時期を伝えて照会します。
申請手数料は不要ですが、証明書の取得費や専門家への報酬等は別です。審査期間も内容によって異なり、提出した日に必ず入金する制度ではありません。必要な時効の確認を含め早めに相談し、補足資料の提出、払渡しの認可、実際の入金を分けて記録しましょう。
家族の死亡後の届出を整理する場合は、死亡後の役所手続き一覧も参照してください。相続の資料や相談先は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

供託書があれば相続人が必ず受け取れますか
書類の所持だけでは決まりません。故人に払渡請求権があることと、請求者がその権利を承継したことを確認します。
相続人が複数なら全員の協議書が必要ですか
法定相続分どおりの請求なら協議書不要とする公式案内があります。ただし、権利の帰属に争いがある場合等もあるため、供託内容と請求範囲を供託所へ確認してください。
近くの法務局へ払渡請求できますか
供託がされている供託所へ請求します。供託番号と供託所を調べ、窓口・郵送等の方法と添付書類を確認してください。