農地の贈与税納税猶予を使う前に 承継する農地と継続条件を確かめる

農地の区画と確認資料を照合するイメージ

農地の贈与税納税猶予は、親の農業を引き継ぐ推定相続人の1人へ一定の農地等を一括贈与し、営農や申告・担保等の条件を満たす場合に、贈与税の納付を猶予する制度です。農地を受け取れば直ちに無条件で非課税になる制度ではありません。

親が亡くなると猶予中の贈与税が免除される一方、対象農地は原則として親から相続したものとみなされ、死亡日の価額で相続税を確認します。生前の贈与税猶予と、その後の相続税の手続きは分けて準備します。

この記事でわかること
  • 一括贈与の対象農地と親・後継者の主な要件
  • 申告、担保、3年ごとの継続届まで含めた準備
  • 贈与者死亡時の贈与税免除と死亡日価額による相続税算入
目次

生前の農地の一括贈与は相続税の猶予と別制度

送金と受領を確かめる口座の資料

親が元気なうちに農業を渡す場面で対象となるのは、贈与税の猶予です。農業相続人が死亡後に農地を取得する場合の相続税の猶予とは、税目、取得の時点、確認する要件が異なります。

免税が確定する贈与ではない

贈与税を払わずに済んだ状態が、何の条件もなく続くわけではありません。営農をやめたり、土地を処分・転用したり、必要な届出をしなかったりすると、猶予税額の全部または一部と利子税の納付が必要になることがあります。

親と後継者と全農地の要件を贈与前に照合する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

令和8年7月の国税庁のあらましでは、贈与する親は贈与日まで3年以上引き続いて農業を営んでいること等が必要です。過去の農地贈与や相続時精算課税の利用歴により、この特例を受けられない場合もあります。

贈与相手は農業を引き継ぐ推定相続人の1人

受け取る人は、推定相続人のうちの1人で、贈与日に18歳以上、贈与日まで引き続き3年以上農業に従事し、贈与後速やかに農業経営を行うこと等が求められます。一定の農業経営の基準もあり、農業委員会の証明が必要です。

確認するもの主な内容贈与前に示す資料
後継者推定相続人1人、年齢・従事歴・経営基準等戸籍、従事歴、経営計画
贈与の範囲農地全部と採草放牧地・準農地の所定範囲の一括贈与全農地の一覧・面積・権利
対象の土地区域や用途等による対象外も確認地番、区域指定、利用状況

親が持つ田の一枚だけを選んで贈れば使える、という制度ではありません。農地の全部、採草放牧地・準農地の原則3分の2以上等の要件があり、対象外の農地や過去の贈与に関する例外も確認します。自分の家の全農地を一覧にして照会してください。

申告と担保と継続届出まで承継計画へ入れる

取引記録を保管するファイルと資料

適用には、贈与税の申告書へ必要な証明等を添え、提出期間内に申告し、猶予税額と利子税に見合う担保を提供する手続きがあります。贈与税の支払が猶予されることと、申告しなくてよいことは違います。

売却や転用で猶予税額と利子税が生じ得る

猶予期間中は、原則として贈与税の申告期限から3年ごとの継続届出が必要です。農業委員会等の確認書類の取得も含め、期限と担当を記録します。

売却、貸付け、転用、営農廃止等を検討するときは、先に税務署と農業委員会へ相談します。一定の貸付けや買換え等で継続できる場合もありますが、要件・申請期限があるため、処分後に届出すれば常に元へ戻せるとは考えないでください。

親の死亡時も免除と相続税の手続きを確認する

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

贈与者である親が亡くなった場合、猶予されていた贈与税の免除と、対象農地を相続等で取得したものとみなす相続税の扱いを、別々に確認します。贈与税が免除されたので、その農地を相続税からも外してよい、という意味ではありません。

贈与税の免除と相続税への算入を分ける

措置法70条の5第1項による相続税算入の価額は、贈与時の価額ではなく、贈与者が死亡した日の価額です。相続時精算課税の一般的な算入基準と混同しないでください。一定の要件を満たせば、次に農地の相続税納税猶予を検討できることがあります。

まず贈与前に、地番ごとの全農地、親と後継者の営農歴、将来の利用予定を農業委員会と税理士へ示します。過去の申告・担保・継続届も保管し、生前の承継から死亡時まで手続きを引き継げるようにします。

関連する確認:農地の相続税評価 4区分と宅地造成費の計算。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

農地を子へ贈れば贈与税は非課税ですか

一律非課税ではありません。推定相続人の1人への一定農地等の一括贈与、営農、期限内申告、担保等の条件で納付を猶予する制度です。

親の死亡時は贈与した日の評価額を使いますか

この特例で相続等による取得とみなされる対象農地は、原則として贈与者死亡日の価額で相続税へ算入します。贈与時価額と混同しないでください。

贈与後に農地を貸しても猶予は続きますか

貸せば常に継続するわけではありません。猶予打切りの事由と、一定の貸付け等の特例・届出条件を、契約や実行の前に確認します。

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