相続した財産を寄付すると相続税はどうなるか 期限と受贈先を確認

相続人が相続した財産を一定の団体等へ申告期限までに寄付すると、所定の要件と申告手続きにより、その財産を相続税の課税対象から外せる特例があります。寄付した額を相続税額から直接引く制度ではありません。
相続した財産そのものか、寄付先が対象か、期限までに寄付が完了するかを先に確かめます。親が遺言で団体へ渡す遺贈寄付とは、財産を渡す人も手続きも異なります。
- 相続財産の寄付と親による遺贈寄付の違い
- 申告期限・寄付先の資格・財産の同一性の確認
- 受領資料と非課税特例の申告準備
子が相続した財産の寄付と親の遺贈寄付を分ける

本稿は、子などの相続人がいったん財産を相続し、その財産を寄付する場面です。親が遺言で団体へ直接渡す場面とは、相続人による取得を挟む点が違います。団体から案内を受けるときも、どちらの方法かを伝えます。
相続税額から寄付額を直接引く制度ではない
説明用に、対象となる相続財産のうち現金500万円を要件に合う形で寄付した場合、その500万円を課税対象に含めない扱いを検討します。500万円の税金が返る、あるいは納付税額から500万円を差し引けるという意味ではありません。
財産が手元から出るため、税が減ることだけで家族に残る財産が増えるわけではありません。寄付で支えたい目的と、相続人自身の生活費・納税資金を分けて考えます。
寄付先の資格と申告期限内の贈与を先に確認する

原則として、寄付をする人の相続税の申告期限までに寄付を完了する必要があります。通常の相続税申告は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内ですが、各人の事情で期限を確認してください。申込書を送っただけで寄付が完了したとは限りません。
団体名だけで対象を判断しない
対象は国、地方公共団体、一定の公益法人や認定NPO法人等であり、寄付を受けるすべての法人や団体が該当するわけではありません。認定の有無と時期、対象事業、受領書類を寄付先に確認し、税理士へ示します。
寄付者や親族等が特別の利益を受ける場合などは、特例を適用できないことがあります。返礼や関係者への便益がある計画も含め、実態を隠さず確認してください。
相続した財産と寄付した財産を対応させる

特例の対象は、相続または遺贈で取得した財産を寄付した場合です。預金を相続して寄付するなら、相続時の残高、払戻し、寄付先への送金が分かるようにします。自分の従前の貯金から払った寄付と混同しないためです。
売却代金の寄付を同じと決めない
| 寄付の予定 | 先に確認する点 | 記録の例 |
|---|---|---|
| 相続した現金・預金を寄付 | 相続した資金との対応、完了日 | 残高証明、入出金、受領書 |
| 相続した不動産や株式を現物寄付 | 受入可否、対象財産の特定、別税目 | 登記・銘柄明細、寄付契約 |
| 相続した土地を売って代金を寄付 | 相続財産そのものの要件と異なる | 売買契約、資金移動を示し事前相談 |
土地等を換金して寄付すれば、当然に土地をそのまま寄付したのと同じ特例が使えるわけではありません。また、現物寄付には譲渡所得の課税等が別に問題となる場合もあるため、受入先との合意前に確認します。
受領と公益利用を示す書類を申告に添える

寄付をした財産の明細、受領を証する書類等をそろえ、所定の相続税申告書へ添付します。団体の資格を示す書類の要否も寄付先と税理士に聞き、寄付日・対象財産・金額の記載を照合します。
税額ゼロでも手続きを省かない
寄付の特例を使って納付税額がなくなる場合でも、特例に必要な申告を省いてよいとは限りません。もともと申告が必要かという判断と、特例を使うための申告要件を分けて確認します。
寄付後2年以内に対象団体に該当しなくなった場合や、財産を一定の公益目的事業に使っていない場合などには、課税対象となる扱いもあります。まず寄付先へ「相続財産を期限内に寄付し、この特例を検討している」と伝え、受入日程と必要資料を確認してください。
関連する確認:遺贈寄付の始め方 遺言の作成と税金の注意点。
よくある質問

相続財産を寄付すれば相続税額から全額引けますか
税額から直接引く制度ではありません。一定の要件を満たす寄付財産を課税対象に含めない特例であり、手元の財産自体も減ります。
相続した土地を売って現金で寄付しても同じですか
当然に同じ扱いとはできません。相続で取得した財産そのものを寄付する要件と、売却に伴う所得税等を確認し、実行前に相談します。
申告期限までに寄付を申し込めば足りますか
申込みだけで足りるとは限りません。期限までに寄付が完了することと、受領を証する資料・所定の相続税申告を確認します。