遺言書の日付はどう書く 吉日や作成日のずれを確認する

遺言の原本と照合用の資料を重ねて確認するイメージ

自筆証書遺言の日付は、遺言を作る本人が、具体的な年月日を手書きします。「令和8年10月吉日」では日を特定できないため、作成日を「令和8年10月30日」のように記載します。日付だけを印刷したり、家族に書き入れてもらったりする方法は避けてください。

迷いやすいのは、何日かに分けて書いた場合や、日付の誤りに後から気付いた場合です。作成した日と資料の発行日を区別し、完成前に点検する手順を説明します。

この記事でわかること
  • 年月だけや吉日を避けて本人が特定の年月日を書く
  • 遺言の作成日と資料の発行日や保管申請日を区別する
  • 日付の誤記や作成日のずれを一律に有効・無効と決めない
目次

日付は本人が具体的な年月日を手書きする

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

西暦と和暦のどちらでも年から日まで明確にする

現在の民法968条は、遺言者が全文・日付・氏名を自書し、押印することを自筆証書遺言の要件としています。日付には、本人の意思能力や複数の遺言の前後などを確かめる意味があります。自分にとって分かる略し方ではなく、ほかの人が読んでも特定できる書き方にします。

自分で日付を書くときの確認例
記載方法作成時の確認
令和8年10月30日和暦で年・月・日を明記する
2026年10月30日西暦でも具体的な年月日を明記する
令和8年10月吉日特定の日を示していないため使わない
2026年10月日まで書き、年月だけで終えない
印刷した日付・日付スタンプ日付も本人が自書する要件を満たす方法で作る

縁起のよい日を選んで作ること自体は構いませんが、日付欄を「吉日」で済ませないことが要点です。時刻までの記載が一律に必要というわけではありません。元号や数字を短く省略するより、年・月・日が読み取れる形が分かりやすいでしょう。

パソコン等で作った財産目録を添付できる例外は、日付欄を印字してよいという意味ではありません。目録と遺言本文の要件を分けて点検します。

遺言の作成日と添付資料や保管申請の日を区別する

取引記録を保管するファイルと資料

封筒や残高証明の日付だけに頼らない

遺言の周りには、通帳や残高証明、財産目録、保管の申請書など、日付のある書類が並びます。それぞれの日付が何を示すかを区別すると、どの日を遺言に書くか迷いにくくなります。

日付のある書類の役割
書類その日付が主に示すもの
自筆証書遺言本人が遺言を作成した日
残高証明書等財産の残高を示す基準日や証明の発行日
保管申請書法務局へ保管を申請する日など
遺言を入れる封筒封入等の記録。本文の日付の代わりにできると決めない

例えば10月30日に遺言を完成させ、11月に保管申請するなら、申請日へ合わせるためだけに遺言の日付を後から変える必要はありません。法務局の保管は、過去に作成した遺言の内容や作成日を新しくする手続ではないからです。

封筒にだけ日付がある書類の効力は、本文との一体性などが問題となる場合があります。これから作る人はその解釈に頼らず、遺言書の中へ作成日を明記しましょう。法務局へ預ける場合は、封筒を使わない等の様式上の案内も別に確認します。

何日かに分けて作るときは作成の経過をそろえる

合意の内容を確認する契約書類

全文を書いた日と押印した日がずれた場合は個別確認する

下書きを始めた日、清書した日、署名や押印をした日が違うことがあります。新しく作るなら、内容を確認して完成させる流れの中で、正確な作成日を自書します。書き始めた日を機械的に写したり、将来の日付を先に書いたりしないようにします。

仮に10月28日に内容を下書きし、30日に清書して日付・署名・押印を整えたなら、作成日を30日として確認する例が考えられます。これは一日で全作業をしなければ必ず無効、という意味ではありません。

法務省の部会資料は、全文・日付・氏名を自書した後に押印した事案について、日付がずれているだけで直ちに無効になるものではないとした判例を紹介しています。ただし、個別の事情を踏まえた判断であり、押印日が後でも常に問題ないとは言えません。

すでに日がずれた原本がある場合は、いつ何を書き、いつ押印したのかを相談用のメモにします。メモは本人が作る原本の要件の代わりにはなりません。原本へ家族が日付を足して解決しようとせず、本人が作り直せる状況かも含めて相談してください。

日付の誤りに気付いたら本人が原本を点検する

支払内容を確かめる領収書と計算道具

家族が後から日付を埋めて完成させない

日付がない、日を特定できない、年の数字を書き誤った、という事情は同じではありません。誤記であることと真実の作成日が容易に分かる場合についての判例もあり、数字の違いだけで自動的に有効・無効と決められるわけではありません。

まだ本人が作り直せるなら、誤りを残したまま解釈に頼るより、内容を確認して正しい作成日で全文を作り直す方法を検討します。部分的に訂正する場合には、単に二重線を引くだけではなく、民法968条3項の変更方式の確認が必要です。

完成した原本で点検すること
点検欄確認する内容
日付本人が自書し、具体的な年・月・日が分かる
本文と氏名本人が必要な箇所を自書している
押印と財産目録現在の押印要件、非自書目録の各頁の署名押印を確認する
作り直した前の原本新旧の内容と保管先を整理し、家族が混同しないようにする

亡くなった後に家族が空白の日付を埋めたり、誤りと思う箇所を直したりすることはできません。死亡後に不備が見つかった場合は、書類の状態をそのまま保ち、有効性や手続について法律相談を受けます。

2026年10月時点では、押印を任意にする改正は公布後の施行を待つ段階であり、現在の要件と分けて扱います。改正の話を聞いたことだけで、今作る遺言から押印や日付の自書を省かないでください。

関連する手順は、遺言書の書き方 自筆証書の記載例と無効を防ぐ確認点で確認できます。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

日付は西暦で書いてもよいですか。

西暦でも構いません。本人が、作成した年・月・日を特定できるよう明確に自書します。年月だけや吉日という記載で済ませないでください。

何日かに分けて書いた遺言は無効ですか。

数日に分けたことだけで一律に無効とは言えません。全文・日付・署名・押印をいつ整えたかという作成経過を確認し、不明点がある原本は個別に相談します。

遺言の日付の誤りは家族が直してよいですか。

家族が本人に代わって原本の日付を直したり補ったりしないでください。生前は本人による作り直しや適切な訂正を検討し、死亡後は現状を保って法律相談を受けます。

まず原本の日付欄を見て、年月日が本人の手書きで読めるかを確認してください。作成日のずれや誤記があるなら、原本を勝手に変更せず作成経過を別紙にまとめて相談しましょう。

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