寄与分の証拠を整理する記入例 介護三日分と立替精算を資料で照合

介護の日誌に「一日中対応」と書いてあっても、同じ日に訪問介護を使っていたなら、自分がした作業を分けて説明する必要があります。立て替えた医療費も、介護の時間と同じ欄へ合算しないようにします。
ここでは、子Aが父を介護した2026年5月11〜13日の三日分と、医療費10万円の精算を架空例として照合します。日付や金額は記入方法を示す仮定で、寄与分の認定額や実際の相談事例ではありません。
- 三日分のメモをサービスと入退院へ照合する例
- 10万円の支払いと6万円の返金を分ける精算
- 除外と未確認を残して相談範囲を決める表
三日分のメモと七つの資料を同じ日付へ並べる

Aは父の共同相続人で、自宅で介護していたとします。手元のメモには三日とも「介護」とだけ書かれていますが、実際には在宅サービスと入退院がありました。最初はメモを直さず、照合元を資料番号で固定します。
| 番号 | この例で用意する資料 | 照合する対象 |
|---|---|---|
| D01 | ケアプラン | 父に必要な支援と予定 |
| D02 | 訪問介護の実績 | 5月11日13〜14時の利用 |
| D03 | 入退院の記録 | 12日入院、13日退院 |
| D04 | 当時の家族メッセージ | 11日の朝と午後と13日夜の具体的な作業 |
| D05 | Aの支払口座と領収書 | 医療費10万円の支払い |
| D06 | 父からAへの返金記録 | 同じ医療費の精算6万円 |
| D07 | 父の家計と対価の記録 | 親資金の支出、報酬や生活上の利益 |
資料番号は公的な様式ではなく、相談用に付けたものです。原本の内容を変えず、作成日と入手先、原本か写しかも記録します。D01の予定とD02の実績は異なるため、計画上の時間だけで実際の介護時間を決めません。
父の医療費をAが出した話は、日誌の欄から分けておきます。まず三日分の作業を確かめ、次に金銭の精算を追う順にすると、同じ負担を二つの名目で数える誤りを避けられます。
サービス時間と入院日を照合して自分の作業を絞る

D02〜04を日誌の横へ置き、各日を「残す作業」「重複として除く時間」「未確認」に分けます。以下の表は、法律上の寄与分が認められたという結果ではなく、相談に渡す前の整理です。
| 日付 | 資料から分かること | メモからの修正と保留 |
|---|---|---|
| 5月11日 | D02の13〜14時は訪問介護。D04にAの朝8〜9時と午後14〜15時の介助 | サービス1時間をAの介助に重ねない。朝と午後の作業内容を残す |
| 5月12日 | D03で入院。Aは面会した記憶がある | 病院の看護をAの介護日数に置換しない。家族がした具体的作業は未確認 |
| 5月13日 | D03で退院。D04に21〜23時の移乗・排泄の介助 | 夜の具体的作業を残す。待機だけの時間と混ぜない |
除外したことと何も貢献していないことは違う
12日に家族が具体的な介助をした資料が後から出れば、追加で検討できます。現時点で不明だから一日介護と数えるのでも、入院していたから家族の役割は必ずゼロとするのでもなく、何を確かめるかを残します。
三日分を整理できても、それを一年全体へそのまま引き延ばせません。父の状態、利用サービス、担当者が変わった期間は分け、同じ方法で実際の資料へ対応させます。
ケアプランや認定資料は介助の必要性を、実績やメッセージは誰がしたかを示す材料です。父に必要な支援があったことだけで、その全てをAが担った証拠になるわけではありません。
立替十万円と六万円の返金を別の精算表へ移す

D05の領収書と口座でAが医療費10万円を払ったと確認できても、D06に6万円の返金があれば、未精算は4万円です。返金の摘要だけで同じ支出か分からない場合は、家族の説明や精算表も照合します。
| 精算表の行 | 金額 | この例での扱い |
|---|---|---|
| Aが支払った医療費 | 10万円 | D05と対応する支出の総額 |
| 父からの精算 | 6万円 | D06が同一支出の返金と確認できた分 |
| 差額 | 4万円 | 未精算額。返還請求か無償出資かは未確定 |
4万円は計算上の残額であり、寄与分の認定額ではありません。父への貸付や立替えの返還なのか、返してもらわない無償の支出だったのかを、当時の約束と記録から確認します。
この4万円を返してもらう請求と、同じ支出を寄与分として重ねて取得する計算はしません。介護の労力を評価する欄にも、医療費10万円をそのまま加えないでください。
対価と親の支出も残す
D07には、父自身が払った施設費や、Aが受けた介護の報酬等を記します。生活上の利益があればその事情も含め、無償性や特別な貢献を判断する資料にします。有利な支出だけを抜き出さず、精算済みの分も一緒に見せましょう。
除外と未確認を残して相談する範囲を決める

この例の最後の欄には、確定した寄与分の額ではなく、相談する事項を入れます。13日夜等の裏付けのある介助と、12日の未確認作業、未精算4万円の法的な性質は、別の問いとして渡します。
| 相談項目 | 今ある根拠 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 残した介助の評価 | D01〜04 | 通常の扶養を超えるか、父の財産の維持へどうつながったか |
| 入院日の作業 | D03と本人の記憶 | 当日の連絡や病院側の記録の有無 |
| 費用4万円の扱い | D05〜06 | 立替返還か無償の出資か、当時の合意 |
| 対価と他期間 | D07 | 受領した報酬と、状態が違う期間 |
相続人の寄与分には、民法904条の2の特別な財産への貢献という条件があります。相続人でない親族の特別寄与料とは制度も期間も違います。日当を自己設定して三日分に掛ければ決まるものではありません。
相続開始から10年後の分割では具体的相続分を原則考慮しない規律もあるため、記録整理と期限確認を並行します。2023年4月1日前の相続は10年と2028年3月31日の経過の遅い時までの猶予、期限前の家裁請求、満了前6か月以内のやむを得ない事情と解消後6か月以内の請求等の例外を確認してください。全員合意の調整は別に検討できます。
まず三日分だけでも、元のメモ、照合元、修正理由を並べてみてください。何を残し、何を除き、どこが未確認かが分かれば、寄与分と精算の相談を具体的に進められます。
手続きの状況や相談したい内容を整理する際は、相続の相談窓口もご利用ください。
よくある質問

サービスを使った日は自分の介護を全部除きますか
全部とは限りません。サービスの実績時間と、自分が別の時間に行った具体的な作業を分けて記録します。
10万円を立て替え6万円戻ったら寄与分は4万円ですか
4万円は未精算の差額です。立替返還か無償出資かなどの法的な扱いと、寄与分の認定は別に確認します。
記憶だけの入院日も介護一日として足せますか
そのまま足すのは避けます。病院の看護と家族がした作業を分け、未確認の内容と次の照会先を残します。