家族信託の費用と内訳 契約や登記と継続管理の見積もり

家族信託の費用と内訳 契約や登記と継続管理の見積もりのイメージ

家族信託の見積もりを比べるときは、契約を作る報酬だけでなく、公正証書、銀行の口座、不動産の登記、契約後の管理まで確認します。同じ財産額でも、任せる業務と契約の設計によって総額が変わります。

親の判断能力が低下した後も実家の売却や賃貸管理を続けたい、という目的なら、どの財産を信託へ入れ、誰が何をできるようにするかを先に決めます。料金の安さだけで範囲を狭めると、必要な手続きが残ることがあります。

この記事では、初期費用と継続費を分け、同じ依頼内容で比較する方法を整理します。全国共通の固定料金としてではなく、家族の目的と見積もりの根拠を確認する材料にしてください。

この記事でわかること
  • 設計料と公正証書や登記など初期費用の内訳
  • 2025年改定後の公証手数料と現行の登録免許税
  • 毎年や終了時の費用と見積もりで確認する業務範囲
目次

家族信託の費用は設計と実費と継続費に分かれる

家族信託の費用は設計と実費と継続費に分かれるに関する資料のイメージ

家族信託は、親等の財産を受託者となる家族が契約に沿って管理し、受益者のために使う仕組みです。家族信託という名前の一律の役所手続きに、固定の料金を払う制度ではありません。

段階主な費用確認したい内容
開始前相談と設計や契約書作成の専門家報酬対象財産と管理権限や銀行調整まで含むか
契約と財産移転公証人手数料と口座や登記の実費等財産の種類や金融機関で必要な作業
運用中専門家の支援と監督や税務等の費用毎月毎年の契約と受託者報酬
変更や終了契約変更と財産の引渡しや登記等受託者交代や死亡時の処理

見積もりの財産額が何の評価か確かめる

専門家の報酬は、信託する財産額に一定率を掛ける方式や最低報酬を置く方式などがあります。どの財産が対象で、不動産を時価、固定資産評価額等のどれで算定するかによっても変わります。

親の全財産を必ず信託する必要があるとは限りません。日常の生活資金をどう使うか、実家を将来売るか、賃貸物件を管理するかを整理し、対象と報酬計算の基準を一致させます。

報酬の税込表示と国や銀行への実費を分ける

広告の金額が税込みか、実費込みかを確認します。「設計料一式」の中に公証人手数料や登記の税金が含まれるとは限らず、後から別に請求されることがあります。

見積もりでは、専門家へ支払う報酬、役所や銀行へ支払う実費、運用後の支払いを別欄にしてもらいます。初期費用だけを並べるより、家族が用意する資金が分かりやすくなります。

契約の設計料は依頼内容で比較する

契約の設計料は依頼内容で比較するに関する資料のイメージ

家族信託の設計や契約書作成に、全国統一の専門家報酬はありません。率と最低料金だけでなく、作ってもらえる書類と調整の範囲を比較します。

契約書の納品までか実際に管理できるまでかを確認する

家族への希望の聞取り、財産調査、権限の設計、契約書案、公証役場との調整、口座開設、不動産登記、運用説明を、誰が担当するか確認します。税務の確認は別の税理士へ依頼する場合もあります。

親が委託者兼受益者、子が受託者となるなら、子は自分の財産として自由に使うのではなく、親のために契約の範囲で管理します。売却、修繕、施設費の支払いなど、必要な行為を契約でどこまで扱えるかが大切です。

公表料金は業務範囲をそろえて読む

今回確認したアンド・ワン司法書士行政書士法人の公表例は、家族信託の報酬が55万円から、導入後サポートが年4万4000円からです。公証人手数料や登記税は別とされています。

一方、ミラシアは開始後の相談を終了まで追加費用なく扱う案内があり、新たな登記等の実務や実費は別です。これらは各事務所のサービス例で、全国相場の統計ではありません。継続相談を含む料金と、別契約の料金を同じ条件で比べます。

出典:アンド・ワン司法書士行政書士法人 公表料金

出典:司法書士法人ミラシア 費用と契約後の相談

公正証書と信託口口座の費用を確認する

公正証書と信託口口座の費用を確認するに関する資料のイメージ

信託契約を公正証書にすることが、全ての家族信託で法律上必須とは限りません。ただし、利用する金融機関が公正証書や専門家の作成を条件とする場合があるため、契約を完成させる前に確認します。

公証手数料は2025年10月改定後の料金で算定する

日本公証人連合会の現行案内では、目的価額に応じた基本手数料に加え、信託財産の価額が1億円以下の信託公正証書には1万3000円が加算されます。古い記事の料金表や、加算のない説明をそのまま使わないでください。

仮に基本手数料の目的価額が3000万円の単純な信託であれば、基本2万6000円に信託加算1万3000円を加えた3万9000円が、他の加算等を除く計算例です。証書の枚数や交付方法、契約の内容等に応じた費用は別に確認します。

この例を、専門家の設計報酬まで含む契約総額にはできません。公証人が目的価額をどう算定するかも、契約案を示して見積もりを受けてください。

信託口口座の手数料と開設条件を先に確認する

銀行等には家族信託用の口座を扱うところがありますが、全ての支店や金融機関が同じサービスを提供するわけではありません。営業地域、契約案の事前確認、公正証書、専門家の関与等の条件を調べます。

たとえば飯能信用金庫の公表案内では口座開設5万5000円税込み、契約変更3万3000円税込みです。これは同金庫の条件であり、全国共通の口座手数料ではありません。振込等の通常手数料や、銀行側のコンサルティング料が別にある場合も確認します。

出典:日本公証人連合会 現行の手数料と信託加算

出典:飯能信用金庫 家族信託口口座

不動産を信託する場合は登記費用が加わる

不動産を信託する場合は登記費用が加わるに関する資料のイメージ

不動産を信託するときは、所有権移転と信託の登記が必要になります。登記の登録免許税と、司法書士へ支払う登記業務の報酬を分けて見積もります。

土地と建物では信託登記の税率を分ける

信託の設定に伴う所有権移転登記は、原則として登録免許税の非課税の扱いがありますが、信託登記の登録免許税は別に必要です。所有権移転と信託について通常の売買税率を二重に掛ける計算ではありません。

信託登記の税率は本則0.4%で、土地については現行の軽減により2029年3月31日まで0.3%です。建物も同じ0.3%になるとは限りません。登記時の価額等を基に計算します。

たとえば対象の土地の固定資産評価額が2000万円、建物が500万円で、現行の土地軽減を使える単純な例なら、土地6万円と建物2万円で、信託登記の登録免許税は計8万円です。登記報酬や証明書の実費は含みません。

不動産の数と借入があるかで作業が増える

複数の土地、別の法務局の管轄、不動産の追加等では、報酬や実費が増える場合があります。物件の数え方と、契約に含む登記の範囲を確認してください。

住宅ローンや賃貸物件の融資が残る場合、信託により登記名義を変えてよいかを金融機関へ先に確認します。親子の合意だけでローン契約の制限や保証、担保の問題まで解消するわけではありません。

出典:国土交通省 土地の信託登記に係る現行税率

出典:国税庁 登録免許税の税額表

契約後の管理と終了時の費用も見込む

契約後の管理と終了時の費用も見込むに関する資料のイメージ

契約を作った後は、受託者が信託財産を自分の財産と分けて管理し、入出金等の記録を残します。家族が無報酬で管理する場合も、仕事そのものがなくなるわけではありません。

継続費が生じる役割とサービスを確認する

受託者の報酬を契約で定めるか、信託監督人や受益者代理人を置くか、税理士や専門家の継続支援を使うかで、毎年の費用が変わります。必ず毎月一定額がかかる制度でも、必ず維持費ゼロの制度でもありません。

賃貸物件を含めるなら、所得税申告、信託に関する計算書等の提出要否も確認します。建物の修繕や固定資産税、保険料など、不動産を持つこと自体の支出は、信託しただけで消えません。

受託者の交代と終了時の仕事も見積もる

子が先に亡くなったり、病気で管理できなくなったりした場合に備え、後継の受託者と交代方法を決めます。銀行の手続きや変更登記、契約の見直しに費用がかかることもあります。

親の死亡などで信託を終了させるなら、残った財産を誰へ渡し、誰が清算や登記を行うかを確認します。終了時の課税や税率は設計と帰属者等で変わるため、開始時と同じ費用で済むと決めつけないでください。

出典:弁護士・司法書士西田幸広 家族信託の継続費

費用だけでなく親の目的に合う仕組みかを判断する

費用だけでなく親の目的に合う仕組みかを判断するに関する資料のイメージ

家族信託が向いているかは、親が困りそうな場面から考えます。将来の財産管理なのか、死後の分け方なのか、医療や施設の契約まで代理が必要なのかで、比較する制度が変わります。

遺言や後見と目的の違いを比べる

死後の財産の承継先を定めたいだけなら、遺言等で目的を果たせる場合もあります。生活や療養に関する契約、信託に入らない財産まで管理する必要があるなら、任意後見や法定後見等との組合せも検討します。

家族信託が自動で相続税を減らすわけではありません。親が財産を出し子が管理しても、誰が利益を受けるかが重要で、対価なく別の人が受益権等を得る場合には贈与税が問題になります。

親本人の意思と運用できる家族がいるかを確かめる

契約には親が内容を理解して判断できることが必要です。認知症という診断名だけで一律に可否を決めず、本人の状態と意思を確認します。既に判断能力が失われた後で、子だけが契約書へ署名して同じ対策を作ることはできません。

相談の前に、親の希望、家族関係、対象財産と借入、管理を引き受ける人、毎年払える支援費をまとめます。親が元気なうちの相続準備も参考に、初期費用の差だけでなく、契約後に使い続けられるかを確認してください。

出典:国税庁 新たに信託の設定等を行った場合

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

家族信託の費用は全国共通ですか

全国共通ではありません。専門家へ任せる範囲、信託財産と不動産の数、公正証書や銀行の条件、契約後の支援で変わります。

家族信託では毎年必ず専門家報酬がかかりますか

必ずではありません。受託者報酬、監督人等の設置、継続支援や税務の依頼内容によります。初期費用と運用中の費用を分けて見積もります。

家族信託の契約書を作れば銀行や登記の費用は不要ですか

契約書作成とは別に、口座開設や不動産の信託登記等が必要になる場合があります。利用先の条件と実費を契約前に確認してください。

相続対策について問い合わせる
目次