保佐人の同意がない贈与 取消しと返還の確認

合意の内容を確認する契約書類

保佐人が付いている親が、知らない間に甥へ多額のお金を贈っていた。同意していないから当然に無効なのか、誰がどのように取り消すのかが問題になります。

保佐人の同意を欠く行為は、初めから全て自動的に無効になるわけではありません。贈与の時点、同意や許可の有無、取消しの意思表示、返還と期間を順に整理します。

この記事でわかること
  • 保佐開始と贈与の約束・送金の日を確認する
  • 自動無効と取消可能な行為を区別する
  • 返還の範囲と追認・期間を相手方の事情も含めて考える
目次

保佐開始と贈与の約束と送金の順序を確かめる

送金と受領を確かめる口座の資料

民法13条は、贈与をすることを保佐人の同意が必要な行為に含めています。日用品の購入などの日常生活に関する行為は除外されますが、本人から財産を大きく減らす贈与を、その例外と安易に同じにしないでください。

例えば、保佐開始後に親が甥へ200万円を贈ると約束し、送金したという仮定なら、保佐の審判と効力、贈与契約の日、送金の日を分けます。送金の記録だけから、契約した日も同じだったと決めないことが大切です。

確認する記録分けて見る内容
審判書・登記事項証明書等本人が保佐を受ける時期と権限の内容
贈与契約や連絡誰が誰へ何を渡すと決めたか、その時点
通帳や送金記録実際の履行日と受取人、金額
同意や許可の資料保佐人の同意又は家裁の代わる許可があるか

保佐開始前の行為や、契約時に意思能力がなかったかという問題は、同意を欠く行為の取消しとは別に検討します。認知症の診断日だけを基準に、全ての贈与の有効・無効を分けるものではありません。

同意と家裁の代わる許可と取消権者を照合する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

保佐人の同意が必要な行為について、その同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可を得ずにしたものは、取り消すことができます。「保佐人が知らなかったから、何もしなくても契約はなかったことになる」と考えないでください。

家裁の代わる許可は、本人の利益を害するおそれがないのに保佐人が同意しない場合に、本人の請求により与えられるものです。親族の多数が賛成したという事情を、同意や許可の代わりにはできません。

取消しは、民法120条に定める本人、保佐人等の取消権者によって行います。保佐人が本人のあらゆる契約を代理できるわけではないことと、同意を欠く行為を取り消せることは別の問題です。家族であるだけの人が当然に取消しを通知できるとは考えず、自分の立場を確認しましょう。

本人が、行為能力の制限がないと相手に信じさせるため詐術を用いた場合には、21条による制限もあります。争いがあるときは、贈与の内容と当時のやり取りを削除せず、弁護士へ示してください。

取消しの意思表示と受領した財産の返還を整理する

取引記録を保管するファイルと資料

相手方が確定している場合、取消しは相手方への意思表示によって行います。どの贈与を取り消すかが分かるようにし、通知の内容と到達を後で確認できる方法を相談します。家族間の話し合いで不満を述べただけで、取消しまで済んだと判断しないでください。

取り消された行為は、初めから無効であったものとみなされ、原状回復が問題になります。ただし、受取人が使ったと言えば返還ゼロ、又は必ず全額返る、と一律にはいえません。無償の給付を受けた人には、民法121条の2第2項の条件を確認する必要があります。

その人が給付を受けた当時、取消し前には取消可能と知らなかった等の所定の場合は、現に利益がある限度で返還する扱いになります。現金がなくても、購入した財産や支出の状況を含めて検討するため、残高だけで結論を出さないことが大切です。

同条3項は、制限行為能力者等である本人側が給付を受けた場合の別の規定です。贈った親が被保佐人だからといって、受領した甥にも当然に3項を適用するわけではありません。誰が何を受け取ったかを分けて相談します。

追認と5年20年の期間を別々に確認する

支払内容を確かめる領収書と計算道具

取消権は、追認できる時から5年間行使しないと時効により消滅し、行為の時から20年を経過したときも同様です。単に送金日から5年だけを数えるものではありません。追認できる時の判断には、本人の状態や、誰が追認するかなどが関係します。

また、追認や、所定の履行等による法定追認があれば、取消しに影響します。保佐人が後から承認した書面、一部の履行に関する連絡、相手方から追認するかを求める催告も、原本のまま保管してください。催告には別の期間と効果があるため、回答を放置しないようにします。

返還が実現した場合の贈与税の申告や訂正も、民事上の取消しとは別に確かめます。取消通知、返還の送金、当初の贈与と申告の資料を対応させ、法律専門家と税務担当へ同じ経緯を伝えましょう。

関連する基本事項は、認知症の親から生前贈与はできるか 意思能力の確認と財産管理の方法も参考にしてください。

契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

保佐人の同意がない贈与は自動的に無効ですか

自動的に全て無効となる扱いではなく、所定の取消権者が取り消せる行為になります。同意又は家裁の代わる許可、贈与の時点や追認等も確認します。

贈与を受けた人がお金を使うと返還不要ですか

使ったという事情だけで返還不要とはいえません。無償受領者の認識や現存利益などを確認します。制限行為能力者本人側の規定と受領者側の規定も別です。

取消しは送金から5年以内にすればよいですか

単純に送金日から数えるだけではありません。追認できる時から5年、行為の時から20年という期間と、追認や催告の事情を分けて確認します。

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