贈与を受けた人が死亡したら 相続人が出す申告と期限

贈与を受けた人が申告を済ませる前に亡くなっても、その贈与が自動的に非課税になるわけではありません。一定の場合には、亡くなった人の相続人等が、本人に代わって贈与税を申告します。
まず、亡くなったのが財産を渡した人か、受け取った人かを分けます。ここでは受け取った人の死亡について、年の途中と翌年の申告期限前という二つの例から、申告する年分と期限を確認します。
- 贈与者死亡と受贈者死亡の申告を分ける
- 年の途中と翌年期限前の未提出を確認する
- 相続人の10か月期限を所得税の4か月と区別する
贈与した人と受けた人のどちらが死亡したかを分ける

父から財産を受け取った子が亡くなった場合と、財産を渡した父が亡くなった場合は、同じ手続きではありません。父が死亡した場合の相続税への加算等を、受贈者である子が死亡したケースへそのまま使わないでください。
相続税法28条2項は、受贈者が年の途中に死亡した場合や、申告期限前に未提出のまま死亡した場合について、相続人等による申告を定めています。暦年課税か相続時精算課税かと、対象になる年分を先に調べます。
本人が出していない年分と申告義務を調べる
死亡した人が贈与を受けていたというだけで、少額の贈与まで必ず申告するとは限りません。暦年課税では同じ年の贈与を合算し、控除等を適用して贈与税額があるかを確認します。
精算課税についても、2024年以後の基礎控除後に課税価格があるか等の条件があります。2,500万円の特別控除で税額が出ないから申告も不要、と判断しないでください。贈与税申告書と選択届出書は別の書面なので、提出済みかも分けて確認します。
年の途中の死亡と翌年期限前の死亡を年分別に並べる

次は別々の家族の説明用の例です。いずれも本人に申告義務があり、死亡までに対象年分の申告をしていなかったものとします。死亡日と、相続人が相続開始を知った日は同じと仮定しています。
| 例 | 贈与と死亡の順序 | 集計する年分 |
|---|---|---|
| 年内に受贈者が死亡 | 2026年1月以後に贈与を受け、7月10日に死亡 | 2026年1月1日から死亡日までの贈与 |
| 翌年の期限前に死亡 | 2025年に贈与を受け、未提出のまま2026年2月10日に死亡 | 未申告の2025年分 |
最初の例では、年末まで生きていなかったから申告しない、とはなりません。二つ目では、申告をする人が変わっても、2025年の贈与を2026年の贈与へ書き換えることはありません。
申告済みの税と期限後の未申告を同じ扱いにしない
死亡する前に既に申告した場合は、その申告の内容と未納税の有無を確認します。また、本来の申告期限を過ぎてから未申告のまま亡くなった場合も、期限前の死亡と同じだとして新しい10か月だけを設定しないでください。
申告済み、期限前未提出、期限後未提出のどれかを税務署や税理士へ伝え、納税義務の承継、期限後申告、内容の訂正をそれぞれ判断します。
相続開始を知った日の翌日から10か月を管理する

28条2項で27条2項を準用する場合の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。所得税の準確定申告の4か月と取り違えないようにしてください。
| 前章の例 | 同日に相続開始を知った仮定での期限 | 別に確認すること |
|---|---|---|
| 2026年7月10日の死亡 | 2027年5月10日 | 2026年分の贈与と税額 |
| 2026年2月10日の死亡 | 2026年12月10日 | 2025年分の贈与と未提出の状態 |
休日等による一般の期限の延長や、相続開始を知った日が異なる場合は、実際の日付で確認します。複数の相続人がいるなら、誰がいつ知り、どの年分を提出するかを共有してください。
納付期限と提出先も死亡者の申告へ対応させる
提出先は、死亡した受贈者の納税地を管轄する税務署です。相続人が自分で受けた贈与の申告書へ混ぜず、死亡者について相続人として申告する書面を確認します。提出と納付の予定、既に支払った額も同じ年分へ対応させます。
相続税、本人の所得税、贈与税の期限を一枚にまとめても、税目の欄は分けます。すべてを「死亡後の確定申告」とだけ書くと、期限や提出先を誤りやすくなります。
契約と送金と相続人の資料を一組で引き継ぐ

引継ぎでは、贈与契約、送金履歴、贈与された財産の評価資料、本人の申告控えを集めます。一人の親からの贈与だけでなく、受贈者が同じ年に誰から何を受け取ったかを確認し、制度ごとの集計へつなげます。
| 資料 | 相続人が確かめること |
|---|---|
| 契約書と通帳 | 贈与した人、取得日、金額と実際の受領 |
| 過去の申告書と選択届出書 | どの年分・どの贈与者について提出済みか |
| 死亡と相続関係の書類 | 死亡者と申告する相続人等の関係 |
| 期限の記録 | 死亡日、相続開始を知った日、未提出年分、納付済み額 |
精算課税の権利義務承継を別に確認する
特定贈与者より先に精算課税の適用者が亡くなると、原則としてその相続人等が、精算課税に伴う納税の権利義務を承継します。ただし、その相続人の中に特定贈与者本人がいる場合、本人はその権利義務を承継しません。今回の贈与税申告を終えた後にも、将来の精算に関わる資料を残す必要があります。
選択届出書を出す前の死亡や、限定承認などがある場合も、一般の申告期限だけでは結論が出ません。特例を新たに当然使えるとせず、過去の選択状況と相続関係を示して手続きを確認してください。
相続の資料をそろえる際は、贈与税の申告方法 eTaxと書面の手順や必要書類と期限も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。
ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

贈与を受けた人が年内に亡くなれば贈与税はかかりませんか
年の途中に死亡しても、死亡日までの贈与について申告義務が生じる場合があります。相続税法28条2項の要件に該当すると、相続人等が申告します。
死亡した受贈者の贈与税も4か月以内ですか
所得税の準確定申告とは異なります。相続税法28条2項で27条2項を準用する場合、相続開始を知った日の翌日から10か月以内の申告となります。
死亡前に申告を済ませていた場合も同じ期限ですか
申告済みの税と、期限前に未提出のまま死亡した場合は区別します。未納税の承継や期限後の対応を含め、残る手続きを確認します。