精算課税の土地建物が被災したら 価額減額の判定と申請

不動産の条件を整理する住まいと土地の資料

相続時精算課税で贈与された家が災害で傷んでも、親の相続時に必ず贈与時の価額をそのまま加算するとは限りません。一定の土地・建物には、承認を受けて被災価額を差し引く特例があります。

ただし、土地と建物では被害割合の分母が異なり、親の死亡を待っているうちに申請期限を過ぎることもあります。対象の確認、二つの計算、承認申請という順に整理します。

この記事でわかること
  • 旧贈与でも2024年以後の災害で対象になる場合がある
  • 土地と建物で異なる10%の分母を確認する
  • 原則3年の承認申請と保険金の異動届を管理する
目次

土地建物と贈与日と災害発生日を確認する

送金と受領を確かめる口座の資料

対象は、相続時精算課税の贈与で取得した土地又は建物です。土地の上に存する権利や、建物から独立した構築物は含みません。現金を贈与されて自分で家を買った場合も、家そのものを贈与された場合と同じには扱いません。

贈与日から災害発生日まで引き続き所有し、その災害が贈与日から特定贈与者の死亡に係る相続税申告期限までの間に起きていることなどが必要です。対象となる災害は2024年1月1日以後であり、贈与自体は2023年以前でも対象となる場合があります。

先に確認する条件資料で照合する内容
精算課税による取得贈与契約、選択届出、過去の申告
対象となる財産土地/建物の表示。権利や構築物と分ける
所有と災害の時期贈与日、所有の継続、災害発生日
他の災害措置同じ取得に係る贈与税について災害減免法の適用を受けないか

借地権や構築物を建物の行へ混ぜない

不動産一式という契約でも、土地、借地権、家屋、独立した設備等を分類します。単なる市場価格の下落を災害被害として差し引く制度でもありません。贈与時の評価明細と現在の資料を並べ、対象財産を特定してください。

土地と建物で10%判定の分母を分ける

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

被災価額は、被害を受けた部分の価額から、保険金や損害賠償金等で補填される額を引いて計算します。原状回復費用などの資料で被害部分を確認し、払った修繕代の総額を無条件に使わないでください。

その被災価額が、土地では贈与時の価額、建物では災害発生日の「想定価額」の10%以上となるかを、財産ごとに判定します。土地と建物の被害を合算して、どちらも使えるとするものではありません。

別々の財産の仮定被災価額と分母判定
建物は贈与時1,000万円、想定価額800万円被害150万円−保険50万円=100万円。100÷800=12.5%10%以上
土地は贈与時2,000万円、被害150万円、補填なし150÷2,000=7.5%10%未満

建物の想定価額と被害価額の計算を分ける

建物の想定価額は、贈与時の価額に、贈与時と災害発生日の残りの年数の比率を反映する所定の計算です。上の例では、公式の計算に沿った未経過年数が贈与時10年、災害時8年になると仮定し、1,000万円×8年÷10年=800万円としています。

残りの年数は、単に住宅の査定で聞いた寿命を使うのではなく、構造や新築日等から現行様式の想定使用可能期間と年数計算を確認します。800万円は被害割合の分母であり、被害額そのものではありません。被災価額には財産ごとの上限があり、共有なら持分割合も反映します。

被災価額を加算価額から差し引く仕組みを確かめる

税額の計算を確かめる資料と計算機

この特例は、被災後の通常の時価へ全て評価し直す仕組みではありません。原則として贈与時の価額から、承認の対象となる被災価額を差し引きます。特定贈与者の死亡に係る相続税の計算の特例であり、その財産の贈与税申告で被災価額を差し引く制度ではありません。

前章の建物を、2023年以前の精算課税贈与で取得したと仮定します。贈与時1,000万円、被災価額100万円なら、特例による価額の計算は1,000万円−100万円=900万円です。判定用の想定価額800万円へ置き換える計算ではありません。

2024年以後の贈与では、精算課税の基礎控除等との関係も別に確認します。上の例の900万円を、贈与年や控除の条件を調べず、どの家族にもそのまま当てはめないでください。

保険金が後で増えたときも放置しない

承認後でも、追加の保険金などで被災価額に異動が生じる場合は、遅滞なく異動届等を提出します。変更後の割合が10%未満となる場合は、この特例の適用はありません。申請時の見込みと後日の確定額を並べて管理します。

災害発生日から原則3年の承認申請を管理する

取引記録を保管するファイルと資料

原則として、災害発生日から3年を経過する日までに、受贈者の贈与税の納税地を管轄する税務署へ承認申請書を出し、承認を受ける必要があります。親の相続税申告期限と同じだと考えて、親が亡くなるまで申請を待たないでください。

現行の案内には、承認申請書、記載要領、建物の被害部分の計算書、付表等が掲載されています。被害写真や罹災証明、復旧費用、保険通知、贈与時の価額、所有継続の資料を、申請内容へ対応させて準備します。証明書一枚で被災価額の全てが確定するとは限りません。

承認額と相続税申告の加算欄をつなぐ

提出控えと承認通知、追加照会への回答、保険金等の異動をまとめ、親の相続税申告を担当する人へ渡します。承認手続きと、相続税の申告や後日の更正等は別の作業です。受贈者自身の死亡など事情が変わった場合も、原則3年という説明だけで処理せず、現行の記載要領と税務署で対応を確認してください。

相続の資料をそろえる際は、相続時精算課税とは 2500万円の控除と選択の判断基準も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。

ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

2023年以前の精算課税贈与でも対象になりますか

2024年1月1日以後の災害による被害で、土地建物や継続所有等の要件を満たす場合、2023年以前の贈与も対象に含まれます。

土地と建物の被害を合算して10%を判定しますか

それぞれの財産ごとに判定します。土地は贈与時価額、建物は災害発生日の想定価額を分母に、保険金等を除いた被災価額との割合を確認します。

承認後に保険金が増えたら何もしなくてよいですか

被災価額に異動が生じる場合は、遅滞なく異動届等を提出します。異動後の被災割合が10%未満になると、この特例は適用されません。

相続対策について問い合わせる
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