小規模宅地等の特例で複数の土地を選ぶとき 面積と併用の考え方

小規模宅地等の特例で複数の土地を選ぶとき 面積と併用の考え方のイラスト

自宅と賃貸アパートなど土地が複数ある場合、小規模宅地等の特例は「評価額が高い土地から使う」とだけ考えると選択を誤ります。利用区分ごとの減額率と面積上限、土地を取得する人の要件を合わせて比べる必要があります。

特に貸付事業用宅地等を含める場合は、居住用や他の事業用との併用に面積換算があります。土地ごとの評価と取得者を表にし、同じ分割案でどの選択ができるかを試算します。

目次

複数の土地は区分と単位面積当たりの減額を先に比べる

家と財産を確認する資料

最初に、候補の土地を特定居住用、特定事業用、特定同族会社事業用、貸付事業用などへ区分します。同じ「事業の土地」でも貸付用とそれ以外では限度面積や減額率が違います。

居住用と事業用や貸付用を分類する

土地ごとに面積、特例適用前の評価額、相続直前の利用、取得予定者、相続後の利用を記録します。高い土地でも適用要件を満たさなければ選べません。駐車場などでは構築物の有無や事業の実態も確認し、名称だけで対象にしないでください。

複数の自宅等を自由に選べるわけではない

亡くなった人の居住用宅地が複数ある場合は、原則として主として居住していた一つの宅地に限るという制限があります。自宅、別荘、セカンドハウスをすべて居住用の候補として自由に入れ替えられるわけではありません。

貸付用がない場合とある場合で併用の式が変わる

税額を確かめる計算機と資料

貸付事業用を選ばない場合、特定居住用は330平方メートルまで、特定事業用等は400平方メートルまでで、両方を選ぶと合計730平方メートルまでとなる組合せがあります。

貸付用を含めるときは面積を換算する

貸付事業用も選ぶ場合は、原則として「特定事業用等の面積×200/400+特定居住用の面積×200/330+貸付事業用の面積≦200平方メートル」で判定します。居住用330と貸付用200を、そのまま両方すべて選べるわけではありません。

換算面積と価額の減額を分けて計算する

この式は面積上限の判定であり、評価額の減額を求める式ではありません。減額額は、選択した土地の価額へ区分ごとの80%や50%を反映して別に計算します。面積の換算と税額の計算を一度に進めず、段階を分けて確認します。

面積を入れ替えたときの減額を同じ表で試算する

相続財産の配分を考える資料

仮に、すべて要件を満たす自宅330平方メートルの評価が3000万円、貸付地200平方メートルの評価が8000万円とします。各土地が均一の単価だと仮定した、選択方法を見るための例です。

面積当たり評価と減額率で候補を比べる

自宅全部なら減額は2400万円、貸付地全部なら4000万円です。どちらも換算面積200平方メートルを使うため、この例では土地評価の減額だけを見ると貸付地全部の方が大きくなります。80%減の区分を必ず優先する、という判断が成り立たないことが分かります。

一部面積を選ぶ案も作る

実際には土地の一部面積を選ぶ組合せも比べます。地形や評価単位が異なる場合は、単価を機械的に平均してよいとは限りません。また、家族の相続税の総額や取得者別の税額まで同じ差になるとは限らないため、土地評価の比較と納税額の試算を分けます。

最終的な納税額は、相続税の計算の流れに沿って家族全体から確認します。土地評価だけの比較表を、各人の税額差と読み替えないでください。

同じ換算面積を使う仮定例土地評価の減額
居住用330㎡・評価3000万円3000万円×80%=2400万円
貸付用200㎡・評価8000万円8000万円×50%=4000万円
比較の範囲各要件を満たし単価一定とする仮定。土地評価の減額であり家族の納税額差ではない

分割案ごとに取得者の要件と選択の同意を確かめる

家族関係を確認する戸籍と資料

特例の減額だけを最大にしても、取得者が期限前に売却して保有要件を満たさなくなる、事業を続けられない、といった問題があれば実行できません。家族の予定と一緒に分割案を比べます。

売却する予定と申告期限までの保有を確認する

居住用を取る人が住み続けるか、貸付事業を誰が引き継ぐか、納税資金をどう確保するかを確認します。配偶者の取得や次の相続への影響など、土地の減額以外の条件もあります。税額だけを理由に無理な共有や名義配分を決めないでください。

特例を使う候補者間の選択同意を確認する

対象となり得る宅地等を取得した相続人等が複数いる場合、選択について所定の全員の同意が必要です。特例を実際に使う人だけでよいと決めつけず、国税庁の申告案内に沿って同意の対象と書類を確認します。

選んだ土地と使わない土地を同じ資料で残す

提出書類を照合するファイル

申告用には、選んだ土地だけでなく、選ばなかった候補とその理由も残しておきます。後で数字を確かめるとき、別の案との比較や適用要件の確認をやり直しやすくなります。

評価資料と適用要件の証拠を対応させる

土地の登記と評価資料、用途、取得者、居住・事業の継続、保有の証拠を対応させます。計算明細の様式は申告する年分の現行資料を使います。特例で納税額がなくなる場合も、適用には必要な相続税申告を行います。

未分割の場合も期限内の申告を進める

原則として申告期限までの分割が必要です。未分割でも10か月の申告・納付期限が自動的に延びるわけではなく、後に適用を検討する手続きには別の条件があります。まず土地別の評価と取得者の要件表を作り、候補を選べる状態にしてください。

よくある質問

疑問を調べる本と資料

自宅と賃貸地にそれぞれ上限いっぱい使えますか

貸付事業用を含む併用では面積換算による制限があります。居住用330平方メートルと貸付用200平方メートルを無条件に両方使えるわけではありません。

80%減の土地から選ぶ方が有利ですか

必ずではありません。単位面積当たりの評価、換算で使う上限、取得者の要件や税額への影響を合わせて比べます。

分割が終わらなければ相続税の期限も延びますか

原則として延びません。期限内に申告・納付し、後の特例適用に必要な見込書等の手続きと条件を別に確認してください。

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