外貨預金を相続するとき 通貨のまま受け取る方法と税務の確認

外貨預金を相続するとき 通貨のまま受け取る方法と税務の確認のイラスト

親の国内銀行に外貨預金がある場合、外貨のまま引き継げるか、円に換えて払い戻すかは、銀行と商品によって手続きが異なります。解約を依頼する前に、受取方法、為替手数料、送金費用を確認してください。

税務では、死亡日時点の相続税評価と、その後に円へ換えた場合等の所得税を分けます。ここでは国内に住んでいた親の外貨預金を、国内に住む子が相続する場合を中心に扱います。

目次

外貨預金は相続する通貨と手続き方法を銀行で確認する

金融口座と送金を確認する資料

外貨預金は、米ドルやユーロ等の通貨で銀行に預けているお金です。外貨建て生命保険、外国株式、外貨建て投資信託とは、相続や税金の扱いが違います。

銀行へ通貨のまま承継できるか聞く

銀行によって、同じ通貨の相続人口座への承継、外貨送金、円転による払戻し等の対応が異なります。外貨定期預金なら満期前解約の扱いや利息も確認します。

相続人側の受入口座を確認する

外貨のまま受け取れる場合でも、相続人の口座開設、受入通貨、送金元と送金先の条件が関係します。普段使う円預金口座へ、そのまま外貨が入るとは考えないでください。

例えばソニー銀行は、相続人に同社の口座がある場合、外貨普通預金を外貨のまま引き継げると案内しています。外貨定期預金は外貨普通預金へ振り替えたうえでの引継ぎです。未成年者などの制限や新たに口座を開く条件もあるため、利用できる方法を同社へ確認します。これは一つの銀行の取扱いで、ほかの銀行へそのまま当てはめるものではありません。

為替手数料と送金費用を含めて受取りを選ぶ

費用の支払いを確認する領収書と資料

受取方法は、将来の為替見通しだけで決めず、手続き費用と円で必要な資金を含めて比較します。相続税は原則として円で納付するため、全額を外貨で残す場合は円の納税資金も確認します。

方法確認すること
同じ銀行で外貨承継口座開設、商品継続、定期預金の条件
円転して払戻し適用為替相場、為替手数料、換金する時点
別の銀行へ外貨送金送金・受取・中継手数料、受入可否

相続手数料と為替のコストを分ける

銀行の相続手続きでかかる費用と、通貨を交換する際の手数料等は別です。残高証明の外貨額だけで、最後に受け取る円の額を予想しないようにします。

相続税は死亡日時点の円換算額で評価する

税額や評価額を確認する計算資料

外貨預金の相続税評価では、原則として、取引金融機関が公表する死亡日時点の最終の対顧客直物電信買相場(TTB)等で円換算します。評価通達4-3は、外貨預金等のように取引金融機関が特定されている場合には、その金融機関の相場を用いるとしています。

死亡日に相場がなければ、その前で最も近い日の相場等を確認します。為替予約等により相場が確定している場合は別の定めがあるため、契約資料も税理士等へ示してください。

外貨残高と既経過利子の資料を取る

定期預金等は、死亡日現在で解約したと仮定した税引後の既経過利子も確認します。普通預金等では、既経過利子が少額なら預入高で評価できる取扱いがあります。元本の残高証明と利子資料を銀行に相談してください。

実際の払戻日の円換算額とは違う

説明の例として、元本1万米ドル、死亡日のTTBを150円とすれば、元本部分の評価は150万円です。後日140円で円転して140万円を受け取ったとしても、それだけで相続税評価を140万円へ変更するものではありません。利子や手数料等はこの例から省いています。

後日の為替差益は親の取得経緯を引き継いで確認する

日付と期限を確認するカレンダー

後日の為替差益は、相続税評価とは異なる考え方で確認します。国内居住者だった親から外貨預金を引き継ぐ場合、所得計算上は原則として親の取得経緯等を引き継ぐため、死亡日の評価額を新しい購入価額とするわけではありません。

死亡日から円高でも利益が出る例がある

同じ1万米ドルを、親が1米ドル100円、計100万円で取得したと仮定します。死亡日の評価が150万円でも、子が140万円で円転した場合、死亡日からは10万円下がった一方、親の取得額からは40万円増えています。所得計算では、この取得額の引継ぎを確認します。

これは基準の違いを示す単純例であり、税額計算ではありません。利子の再投資、複数回の購入、手数料等があれば計算は変わります。

外貨を動かしただけか別資産へ替えたかも分ける

同一通貨の外貨預金を別口座へ移すことと、円転や別資産の購入は同じではありません。円に換えていないから所得税の検討が一切不要、とも考えないでください。非居住者だった親からの承継などは、ここでの例と分けて個別に確認します。

残高証明と取得時資料をセットで保管する

記録を保管するファイルと書類

相続税の評価に使う資料と、後日の所得税の確認に必要な資料を、別々に保管します。死亡日の残高証明だけでは、親がどの額で外貨を取得したかまでは分からないことがあります。

取得時の取引履歴を早めに探す

通貨ごとの預入れ、円からの購入額、利子、払出しや送金、為替予約等の履歴を確認します。資料が見つからないときに取得額を死亡日評価額と決めたり、為替益をゼロとしたりせず、銀行に記録の取得範囲を相談します。

まず、口座のある銀行へ外貨承継の可否と必要書類を尋ね、死亡日残高・利子・適用相場の資料と、親の購入履歴を依頼してください。受取方法を選ぶ前にこの二つの資料を確保することが、税と手取りを考える出発点になります。

よくある質問

手続きの疑問を確認する本と資料

外貨預金は必ず円に換えて相続しますか

必ずではありません。銀行や商品によって外貨承継や送金等の対応が違うため、解約前に受取方法を確認します。

死亡日より円高で換金すれば為替差益はありませんか

そうとは限りません。国内居住の親の外貨預金を引き継ぐ例では、所得計算上の取得額等を原則引き継ぐため、死亡日との差だけでは判断できません。

相続税の評価額は換金した日のレートですか

原則として死亡日時点の銀行の最終TTB等で評価します。実際の換金日の受取額と、相続税評価額は区別してください。

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