死亡後の高額介護サービス費 相続人の申請と振込先

親が亡くなった後に高額介護サービス費の通知が届いた場合も、対象となる利用分は相続人が申請できることがあります。本人の口座が凍結されているなら、前と同じ口座へ自動で振り込まれると思わず、市区町村へ連絡してください。
最初に給付名と利用月を確かめ、介護保険の対象となる自己負担と、食費などの対象外費用を分けます。ここでは月ごとの高額介護サービス費を中心に、相続人による申請と受取口座の準備を説明します。
- 対象となる介護の自己負担を月別に整理する
- 相続人の受領申立と口座変更を確認する
- 申請期限と支給後の調整に備えて控えを残す
通知の給付名と介護を利用した月を確かめる

高額介護サービス費は、同じ月の介護サービスの利用者負担が一定の上限を超えた場合に、その超えた額が払い戻される制度です。本人が亡くなったという理由だけで、死亡前の対象利用分についての申請ができなくなるわけではありません。
通知が遅れて届いたときは、通知の作成日より、どの月のどのサービスに対する支給かを確認します。口座の入金記録と突き合わせ、すでに受け取った分を重ねて申請しないようにします。
| 通知や書類の名称 | 分けて確認する内容 |
|---|---|
| 高額介護・高額介護予防サービス費 | 月ごとの対象自己負担と上限 |
| 高額医療・高額介護合算の給付 | 医療と介護を一定期間で合算する別の制度 |
| 介護保険料の還付 | 納め過ぎた保険料の精算 |
| 施設の食費・居住費等の請求 | 高額介護の対象負担に含むかを費目別に確認 |
同じ市の介護保険課から届いても、これらを一つの申請で済むと決めないでください。封筒だけでなく通知書を保管し、給付名と利用月を窓口へ伝えます。
領収書の自己負担を上限額と比較する

比較するのは、介護保険サービスの1〜3割の利用者負担等です。施設へ払った総額をそのまま使いません。食費、居住費・滞在費、日常生活費、支給限度額を超えた利用分や、福祉用具購入・住宅改修の自己負担等は、対象から外れる費用として確認します。
上限は所得や世帯の区分等で違い、個人の上限と世帯の上限が関係する場合もあります。同じ世帯に介護サービスを利用する人が複数いれば、その合算の確認も必要です。
食費や居住費を除いた額で計算の見込みを出す
説明のため、一人世帯で月の上限が44,400円に該当し、その月の対象負担が60,000円だったと仮定します。食費15,000円と居住費30,000円を別に払っていても、それを足した105,000円から上限を引く計算にはしません。
| 仮定の金額 | 計算での扱い |
|---|---|
| 介護保険の対象自己負担60,000円 | 上限との比較に用いる |
| 食費15,000円・居住費30,000円 | この計算には加えない |
| 上限44,400円に該当する仮定 | 60,000−44,400=15,600円が支給見込み |
実際の支給額は所得区分、他の世帯員の利用、給付制限等を市区町村が確認して決めます。44,400円がすべての人の上限という意味ではないので、通知や担当窓口で対象月の区分を確かめてください。
相続人の申請と凍結された口座を同時に変更する

本人が以前に申請し、その後は自動振込になっていた場合も、死亡後の手続きは別に確認します。松山市では、申請者が本人から相続人へ変わる場合等は改めて申請が必要とされ、口座凍結後は法定相続人が申請するまで振込ができないと案内しています。
同市の申請方法は、本人の口座、本人以外の口座、相続人による申請を区分しています。相続人が申請する場合は、「被保険者」「申請者」「口座振込依頼」「相続人による受領申立」の各欄を記入します。故人が生前に家族へ口座振込を委任する欄だけで、死後の申請が済むとは考えないでください。
戸籍の省略条件と相続関係は市の案内に合わせる
松山市は、続柄を示す戸籍謄本・抄本の全ページの写し等を案内し、住民票上同じ世帯の相続人には戸籍を不要としています。遺言書等で相続権を示す場合の案内もあります。これは同市の取扱いで、ほかの自治体へそのまま適用するものではありません。
複数の相続人の中から誰が受領するか、代表者の申立てや受領委任が必要かは、実際の相続関係と所管の様式で確かめます。相続放棄を検討中・手続き済みなら、受け取る前にその事情も窓口や法律専門家へ伝えてください。
時効と追加支給の連絡先を控える

高額介護サービス費の時効は、死亡日から一律に数えるものではありません。松山市は、該当月の利用料支払日から2年を経過すると申請できなくなると案内しています。対象月と支払日を領収書で確認し、古い利用分は早めに問い合わせます。
同じ案内にある高額総合事業サービス費の5年と、高額介護サービス費の2年を混同しないことも必要です。郵送で出すときは、受付日が受理日となるなどの条件も所管へ確認してください。
支給後に介護給付費が変われば、追加支給や返還の調整が生じる場合があります。申請控え、領収書、支給決定通知、入金をまとめ、相続人の連絡先と送付先が届く状態を保ちます。通知の送付先を変える届出と、給付金の振込口座を変える届出も別に確認します。
ほかの届出は、死亡後の役所手続き一覧と照合すると、保険料の精算や証明書返却の漏れを整理できます。
給付の通知と相続書類の整理に迷う方は、相続サポートの相談窓口をご利用ください。
よくある質問

死亡した本人の口座が凍結されても受け取れますか
相続人の申請と受取口座の手続きによって受け取れる場合があります。必要な受領申立や続柄資料は、保険者の市区町村へ確認してください。
施設の食費や居住費も高額介護サービス費に含まれますか
通常、この制度で比較する介護保険の自己負担には含めません。施設への総支払額ではなく、領収書の対象費用を分けて確認します。
一度申請していれば死亡後も再申請は不要ですか
不要とは限りません。申請者が本人から相続人に変わる場合や口座変更では、再申請等を求める自治体があります。