相続登記後に転居したら 所有者の住所変更登記と期限

不動産登記のオンライン申請と紙資料を示すイメージ

実家の相続登記を済ませた後に、自分が転勤で引っ越した。住民票は新しい住所になっていても、不動産の登記住所まで直ちに変わるわけではありません。相続登記の完了とは別に、その後の住所変更への対応を確かめます。

確認するのは、現在の所有者である自分の転居日と、登記簿に残る住所です。自分で変更登記を申請する方法と、検索用情報を用いたスマート変更登記を分け、売却を急ぐかどうかに合わせて準備しましょう。

この記事でわかること
  • 相続した本人の転居日と登記上の住所を並べる
  • 自分で申請する方法とスマート変更登記を分ける
  • 住所のつながりと登記完了を資料で確認する
目次

故人の住所ではなく現在の所有者の転居を確認する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

相続登記で所有者になった人が、その後に住所を移した場合は、その人の住所変更登記を考えます。故人の古い登記住所と最後の住所を、相続登記のためにつなぐ作業とは別です。

例えば、相続登記の際はA市に住み、2026年8月にB市へ引っ越したとします。物件は父の実家のままでも、登記上の自分の住所と住民票上の住所が異なる状態になります。物件の所在地が変わる手続きではありません。

まず登記事項証明書の甲区で、所有者の氏名・住所と対象物件を確認します。相続した土地が二筆と建物一棟なら、それぞれの記録を見ましょう。相続登記の書類を保管していることと、その後の住所変更が反映済みであることを分けて扱います。

変更日から2年と施行前の変更を分ける

取引記録を保管するファイルと資料

2026年4月1日から、所有権の登記名義人は、住所や氏名などの変更日から2年以内に変更登記を申請する義務があります。それより前に生じた変更も対象で、その場合は2028年3月31日までという経過措置を確認します。

本人の転居時期期限を確認する基準
2026年8月に転居した例住所変更の日から2年以内。実際の移転日を証明書で確認する
2025年12月に転居し未変更の例施行前の変更として2028年3月31日までを確認する
検索用情報の申出済みで職権登記が未処理義務違反の正当な理由に関する現行案内と、登記の処理状況を分ける

正当な理由なく義務に違反すると、5万円以下の過料の対象になり得ます。ただし、期限を過ぎた日に自動で過料が確定する仕組みではありません。法務局からの催告などの手続きと、自分が対応すべき申請を確認してください。

法務省は、検索用情報を申し出ているものの、職権による変更登記が処理されていない場合などを正当な理由の例に挙げています。これを、登記住所が既に変わったという意味に読み替えないことが大切です。

売却を急ぐ場合は自分の変更申請を準備する

合意の内容を確認する契約書類

検索用情報の申出は、法務局が住基ネットで情報を確認し、本人の了解を得て住所等を変えるための準備です。申出だけで、その場で変更登記が完了するわけではありません。

2026年9月30日付の法務省Q&Aでは、個人のスマート変更登記の実施開始は2026年12月中旬以降です。2026年度の対象は、2026年3月31日までに検索用情報の登録が完了した人で、2026年4月1日以降の登録は2027年度以降の対象と案内されています。

個別に前倒ししてもらうことはできないため、売却などで急ぐ場合は自分で変更登記を申請します。申請書の原因日と変更後の住所を、住民票や戸籍の附票に対応させましょう。何度も転居している場合は、登記住所から現在までのつながりを確認できる資料が必要です。

確認する情報対応させる資料
登記上の氏名・住所と物件登記事項証明書、不動産番号や家屋番号
住所移転の日と現在の住所住民票又は戸籍の附票などの住所の経緯が分かるもの
途中の住所がつながらない部分取得できた資料と不足する期間を示し、管轄登記所へ相談
代理人に依頼する範囲委任状と平日日中の連絡先

これは申請準備の整理です。佐賀地方法務局のチェックリストには、登記原因の日付、変更後の事項、不動産の表示、住所の経緯を証する書類などが示されています。省略できる情報や追加資料は、実際に申請する登記所で確認してください。

意思確認への回答と登記完了を分ける

法務局から意思確認通知が来た場合は、希望する旨の回答と、その後の登記完了を分けて確認します。希望を回答した後も処理に一定の期間を要し、手続き中は対象物件の証明書を取得できなくなる期間があります。希望回答後の手続きは途中で中断・中止できないとの案内もあるため、予定する売買と重なる場合は早めに確認しましょう。

登記完了後の住所と対象物件を照合する

支払内容を確かめる領収書と計算道具

完了したら、変更後の住所と対象物件を確認します。スマート変更登記では、法務局が住基ネットを照会した時点の住所が用いられるため、直近でB市からC市へ再び転居した場合などは、最新のC市ではなくB市が記録されることもあります。

また、検索用情報の対象は、申し出た不動産です。相続した実家の手続きで、以前から持つ別の土地もすべて対象になったと考えず、登録された不動産番号等を照合します。

海外居住中は住基ネットで変更を確認できないため、スマート変更登記の対象になりません。海外で検索用情報を申し出た後に帰国した場合は、改めて申出が必要となる扱いもあります。海外転居がある人は、自分の申出時と現在の住所を示して確認してください。

相続関係の証明資料を整理するときは、法定相続情報一覧図の作り方も参考にしてください。

登記や手元の資料について相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

相続登記後に住民票を移せば登記住所も自動で変わりますか

住民票の届出だけでは直ちに変わりません。自分での変更申請又は検索用情報を用いたスマート変更登記の対象と処理状況を確認します。

2026年4月より前の転居も住所変更登記が必要ですか

施行前の住所変更も対象で、2028年3月31日までという経過措置があります。既に申出をしている場合の扱いも現行案内で確認してください。

検索用情報を申し出たら急ぐ売却にも対応できますか

個別の前倒しはできません。登記住所の変更を急ぐ場合は、自分で変更登記を申請する必要があります。申出の完了と変更登記の完了を区別します。

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