リバースモーゲージ契約者が亡くなったら 返済と配偶者の居住を確認

リバースモーゲージを利用していた親が亡くなったら、まず金融機関へ連絡し、契約名と債務者、残高を確認します。一般的な住宅ローンの団体信用生命保険と同じように、死亡で借入金が消えるとは考えないでください。
配偶者が住み続けたい場合も、返済や契約を引き継げる条件は商品ごとに異なります。ここでは住宅金融支援機構のリ・バース60の現行案内と銀行独自商品の違いを確かめながら、契約書と返済資金を整理する順番を説明します。
- 死亡後に確かめる契約と配偶者の居住条件
- 自己資金や売却で返済するときの比較方法
- ノンリコースの範囲と金融機関へ示す資料
商品名と債務者と返済方式を契約書で確かめる

リバースモーゲージは、自宅等を担保に借り入れ、生前は利息のみを支払い、死亡後に元金を一括返済する仕組みなどを持つ商品です。利息の扱いや返済事由は一律ではないため、銀行の名前だけでなく商品名と契約書を確認します。
父の契約書をR01、金融機関から取り寄せる残高や精算見込額をR02として、次の欄を埋めてください。借入枠の金額と実際に借りている残高は異なります。極度額が2000万円でも、返す元金が必ず2000万円という意味ではありません。
| 確認欄 | 読む場所と確認内容 |
|---|---|
| 商品名 | リ・バース60を利用した住宅ローンか、銀行独自の商品か |
| 債務者 | 父一人か、父母の連帯債務か |
| 返済方式 | リコースかノンリコースか、適用条件は何か |
| 死亡時の取扱い | 連絡先、一括返済、配偶者の居住に関する条項 |
| 精算残高 | 元金、利息、延滞損害金等と計算の基準日 |
父が契約者だったという家族の記憶だけで、母の署名の意味を判断しないでください。連帯債務者、保証人、担保提供者は違う立場です。署名欄が複数あるときは、各人がどの立場で関与したかを窓口へ尋ねます。
配偶者が連帯債務者かどうかで死亡後の相談を分ける

リ・バース60の現行案内では、夫婦二人で借り入れて一人が亡くなった場合と、一人で借り入れた人が亡くなった場合とで手続きが分かれています。母が家に住んでいることだけで、父の契約が自動的に母へ切り替わるわけではありません。
| 契約と家族の状況 | 窓口へ伝えること |
|---|---|
| 父母が連帯債務者で父が死亡 | 残る母の契約上の立場と、今後の手続き |
| 父単独で借り、連帯債務者ではない母が居住 | 居住継続の希望と、物件処分を留保する条件 |
| 父単独で、居住する配偶者がいない | 相続人の連絡先と一括返済の方法 |
| 銀行独自の商品を利用 | その商品の死亡時条項と、新契約や債務引受の可否 |
特に、リ・バース60で一人で借りていた人が亡くなり、連帯債務者ではない配偶者が対象住宅に住み、引き続き居住を希望する場合、機構は最長3年間、住宅の処分を留保する取扱いを案内しています。ただし、亡くなった日以降は延滞損害金が発生するとされています。無利息で3年間借入れを続けられる制度という説明にはなりません。
この最長3年の取扱いを、全ての銀行商品や同居する子にも当てはめないでください。例えば東京スター銀行の独自商品では、配偶者が商品を利用したい場合も改めて審査し、融資できない場合や新たな登記費用等が生じる場合があると案内しています。自分の契約について、申出方法と条件の回答を受ける必要があります。
手元資金と任意売却と物件処分による返済を比べる

返済方法は自宅の売却だけとは限りません。家族の自己資金等で必要額を一括返済できれば、自宅を処分せずに済む場合があります。一方、住み続けたい希望があっても返済資金が足りなければ、売却や別の借入れの可否を検討する必要があります。
ここでは残元金1000万円という架空例で考えます。利息等は別に精算する前提で、売却額1200万円、売却費用100万円なら、差額は100万円です。これは税金や利息、損害金等を引く前の仮計算で、そのまま家族の受取額ではありません。
| 返済案 | この例で比べる金額 | 確認を残すこと |
|---|---|---|
| 家族の自己資金で一括返済 | 準備可能な1000万円とR02の精算額 | 資金の所有者、家族間の合意、生活費への影響 |
| 1200万円で任意売却 | 1200−100−1000=100万円 | 査定と成約の違い、他の費用と税 |
| 新たな借入れを利用 | 新借入額と精算額、今後の返済 | 利用条件、金融機関の審査、諸費用 |
| 担保物件の処分で返済 | 実際の処分価格と返済額 | 金融機関や機構等の手続き、居住への影響 |
リ・バース60にも、相続人が新たな借入れを利用して返す方法の案内があります。ただし、年齢や資金使途等の条件と審査があり、親の契約をそのまま無審査で引き継ぐ仕組みではありません。審査前の見込みだけで、売却や返済の期限を放置しないようにします。
ノンリコースの対象を残債不足と他の負担に分ける

ノンリコース型は、担保住宅の売却等によっても返済しきれない残債について、相続人に追加の返済を求めない取扱いを持つ方式です。リコース型では不足額の返済が必要となるため、契約の方式をR01で確認してください。
単純化して、対象となる返済額1000万円に対して処分代金が800万円なら、不足は200万円です。この不足を追加返済する必要があるかが方式による比較点になります。実際には処分費用や利息等が関わるため、最終額は金融機関の明細で確認します。
| 区分 | 同じものとして扱わない負担 |
|---|---|
| 担保売却後の対象残債 | ノンリコース条項の適用範囲を確認 |
| 父の別の借入金 | リバースモーゲージの条項だけでは処理されない |
| 家族自身の債務や保証 | 父の相続だけを基準に判断しない |
| 固定資産税や売却関連の支出 | 支払者、対象期間、精算方法を別に確認 |
ノンリコース型だから相続財産や他の借金を調べなくてよい、という結論にはなりません。相続放棄を考える場合も、相続全体の財産、債務、自分自身の保証等を整理して相談します。家を売った代金を先に使うなど、財産を処分する前に判断してください。
死亡の連絡と精算見込日を金融機関と記録する

調査が終わるまで死亡の連絡を待たず、商品名、死亡日、相続人の連絡先、居住する家族を伝えます。そのうえで、必要書類、現在の請求、返済案の相談先を聞き、回答日と担当部署を記録します。
機構は返済手続きについて、終了まで6か月から1年程度を目安として案内しています。これは個別の事情によって変わる目安であり、全ての商品に共通する法定期限や、その間に損害金が生じないという保証ではありません。契約に基づく日程を金融機関と具体的に確かめます。
| 資料 | 相談に持参する内容 |
|---|---|
| R01 契約書 | 商品、債務者、方式、死亡時条項 |
| R02 残高・精算資料 | 金額の内訳、基準日、次の支払予定 |
| R03 査定や資金資料 | 売却見込額、費用、自己資金の用意 |
| R04 居住条件の回答 | 誰が住むか、留保や新契約の条件、未回答事項 |
相続税の申告が関係する場合は、借入金の扱いも別に調べます。相続税の債務控除の対象一覧 借入金や未払金を差し引く条件も参考にしてください。
資料の確認や手続きの進め方に迷う場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

契約者が亡くなると必ず自宅を売却しますか
自己資金等で一括返済できる場合など、売却以外の方法もあります。契約の条件と精算額、配偶者の居住希望を金融機関へ伝えて確認します。
配偶者は3年間そのまま住めますか
最長3年の処分留保は、リ・バース60の所定の配偶者居住の場合の取扱いです。死亡日以降の延滞損害金もあり、全商品共通ではありません。
ノンリコース型なら親の借金を全て返さずに済みますか
対象となる担保売却後の不足額についての取扱いです。別の借金や家族自身の保証、税や費用は分けて調べる必要があります。