経営者が死亡したときの役員借入金 相続する債権と評価の確認方法

経営者が死亡したときの役員借入金 相続する債権と評価の確認方法

経営者が死亡したときの役員借入金 相続する債権と評価の確認方法のイメージ

会社の決算書に「役員借入金」が残っているとき、その貸主である経営者が亡くなれば、会社に返してもらう権利が相続財産になる場合があります。会社から見れば借金でも、経営者個人から見れば貸付金です。

返済を受けていないから価値がない、とすぐに除外はできません。誰が会社へ貸したか、死亡日の残額はいくらか、回収できる見込みがあるかを順に確かめます。

この記事でわかること
  • 会社の役員借入金と経営者個人の貸付債権は同じ取引の両面である
  • 赤字や債務超過だけで貸付金の相続税評価がゼロになるとは限らない
  • 債権の承継と会社の返済や債権放棄の税金を分けて検討する
目次

会社の役員借入金は亡くなった経営者の貸付債権になる

会社の役員借入金は亡くなった経営者の貸付債権になるに関する資料のイメージ

勘定科目だけでは本当の貸主まで分からない

役員借入金は会社側の負債を示す科目です。社長自身の入金、配偶者からの資金、経費の立替え等が一つの科目へまとめられていることもあるため、残高全部を亡くなった社長の債権と決める前に内訳を確認します。

会社の総勘定元帳、勘定科目内訳明細書、契約、送金記録から、貸主と会社の間の取引を調べます。役員貸付金という会社側の資産科目は、逆に会社から役員へ貸したお金なので混同しないでください。

会社の借入れが経営者個人の債務控除になるわけではない

父が会社へ1000万円を貸し付けたなら、通常、父には会社に対する1000万円の債権があり、会社には父へ返す1000万円の負債があります。父の相続で、この会社の負債を父個人の借金として引くことはできません。

父が銀行へ負っている別の借入れや個人保証は別に調べます。まず親の財産と負債を調べる資料に会社との取引も加えて一覧にします。

貸付金と自社株式は別の相続財産として調べる

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貸付金は死亡日時点の元本と利息を確認する

貸付金債権の評価は原則として、返済されるべき元本と、課税時期までに発生した所定の利息を基に検討します。決算日と死亡日が違う場合は、その間の追加貸付や返済も反映させます。

利息を付けない契約なら、利息がない事実を確認します。帳簿へ毎年同じ額が載っていることだけを理由に、長年の残高が正しいと決めず、実際の返済と突き合わせてください。

自社株評価への反映と貸付債権の計上は別

自社株式と貸付債権を両方取得する場合、会社側の負債は株価評価へ反映されることがあります。それとは別に、個人が持つ会社への債権を相続財産として計上します。

株式と債権を別に評価すること自体が、そのまま同じ価値の二重計上という意味ではありません。評価方式と会社の資産負債を確かめ、数字の対応関係を税理士へ示します。

回収が難しい貸付金をゼロ評価できるとは限らない

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赤字決算と客観的な回収不能は違う

会社が赤字でも、売上げや事業が続き、将来の返済が見込めるなら、ただちに債権価値がゼロになるわけではありません。会社の負債が資産を上回る債務超過も、それだけで全額を除外する根拠にはなりません。

財産評価基本通達には、破産等の事実や、回収が不可能又は著しく困難な金額の取扱いがあります。死亡時点の状況から、適用する事実と回収不能部分を具体的に検討する必要があります。

相続後に返済を免除しても死亡日の評価は当然には変わらない

子が相続後に会社へ「返さなくてよい」と伝えた事実と、父の死亡時に回収不能だったかは別の問題です。後日の債権放棄だけで、死亡日の相続税評価を自動的にゼロにできるとは考えないでください。

評価を検討する資料には、複数年の決算、資金繰り、銀行借入れ、返済履歴、清算や法的手続きの状況などがあります。回収できないという家族の認識だけでなく、裏付けが必要です。

株価が低いことから貸付金も低いとは決められない

たとえば会社の純資産が少なく、株式の相続税評価が低くなったとしても、会社が事業収入から貸付金を返せるかは別に検討します。株価の評価書だけでは、貸付債権の回収不能を説明する資料として足りないことがあります。

逆に、債権の一部に客観的な回収不能事由があるなら、全額の除外を目指すのではなく、その金額と理由を区別します。会社の過去から現在までの返済履歴を添えると、帳簿残高と回収見込みの違いを検討できます。

誰が債権を相続するかと会社の返済計画を決める

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経営を継ぐ人と債権を持つ人が同じとは限らない

会社の株式を長男が取得しても、貸付債権まで当然に長男だけへ移るわけではありません。金銭債権の性質や相続分、遺言・遺産分割の効力と会社に対する権利行使を、法律面から整理します。

後継者以外の家族が返済を求める場合、会社の資金繰りへ影響することもあります。税務評価だけ先に決めず、誰がどの権利を持ち、いつ返済を受けるかを検討してください。

会社の帳簿と家族側の資料を一致させる

債権の帰属を整理した後は、会社側の貸主名、残高、返済条件、家族の受取記録を対応させます。会社から返済を受けた金銭が、株式の配当や役員報酬と混ざらないよう明細を残します。

確認する資料何を確かめるか
総勘定元帳と科目内訳貸主と元本残額
貸付契約と振込控え返済期日や利息と実際の入出金
死亡日までの取引追加貸付や返済の反映
遺言と分割資料債権の承継と権利行使
資金繰り表返済の実現可能性

債権放棄や増資は相続税以外の負担も確認する

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債権放棄は会社側の債務免除益も検討する

相続税を減らしたいから貸付金を消す、という手順には注意が必要です。会社が債務の免除を受けると、法人税上の益金などの問題が生じる場合があります。株式価値やほかの株主への影響も検討します。

増資への振替えや返済も、契約と会社法上の手続き、課税関係を伴います。どれも金額を帳簿上で付け替えれば終わる作業ではありません。

個人の遺産と会社の資金計画を並べて相談する

まず死亡日残高を貸主別に確定し、株式と貸付債権の評価、承継先、会社が返せる金額を別の欄へ書き出します。親の相続税の計算は遺産全体から各人の相続税を求める流れへ接続して確認します。

その一覧を会社の顧問税理士へ示し、権利の帰属や返済を巡る対立があるなら弁護士にも確認してください。評価を下げる処理を先に決めず、債権が存在する事実から整理することが出発点です。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

会社が赤字なら役員借入金の相続税評価はゼロですか

赤字だけではゼロになりません。死亡時点の回収可能性と財産評価基本通達の条件を、客観的な資料で確認します。

役員借入金は亡くなった社長の借金ですか

会社が社長から借りたものであれば、社長側では会社へ返済を求める貸付債権です。会社から社長へ貸した役員貸付金とは逆です。

相続後に債権放棄すれば相続税も減りますか

当然には減りません。死亡日の評価とは別であり、会社側の債務免除益など別の課税も含めて検討します。

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