相続税の納税資金を借りるには 借入れと延納の比較や審査の準備

相続税の納税資金を借りるには 借入れと延納の比較や審査の準備

相続税の納税資金を借りるには 借入れと延納の比較や審査の準備のイメージ

相続税の納税資金が足りないときは、金融機関から借りて期限内に納める方法があります。ただし、借入れの審査を申し込んだだけで相続税の納付期限が延びるわけではありません。

まず不足額を確定し、不動産売却、延納、借入れを同じ期間と費用で比べます。金利の低さだけでなく、融資実行日、担保、毎月の返済、売却後に繰上返済できるかまでが判断材料です。

この記事でわかること
  • 借入れの申込みと税金の納付期限延長は別である
  • 不足額は相続税額から期限までに使える資金を差し引いて求める
  • 借入れと延納は金利や利子税だけでなく担保と返済条件を比較する
目次

借入れは相続税を期限内に納める資金調達の一つ

借入れは相続税を期限内に納める資金調達の一つに関する資料のイメージ

税金を納める相手と返済する相手が変わる

借入れで納税する場合、税務署へは原則どおり金銭で納付し、その後は金融機関へ元本と利息を返します。税務署に認めてもらう延納とは別の資金調達です。

借りたお金は自由に使えるわけではなく、金融機関の商品の資金使途や審査条件に従います。「相続税用ローン」という名称の有無だけでなく、今回の納税に利用できる融資かを確認してください。

融資の結果を待つ間も法定期限を管理する

相続税の申告・納付は通常10か月以内です。審査、担保評価、契約から資金実行までに日数がかかるため、申告税額が完全に確定するまで相談を待つと選択肢が狭まります。

土地が多く現金が不足する家庭は、土地の相続税が払えないときの対処法で売却や延納等の入口も確認し、現金化できる時期を並べます。

借りる金額は使える預金と納付額の差から決める

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遺産の評価額と納付に使える現金を分ける

相続した土地が5000万円でも、期限までに買主が決まって代金を受け取れるとは限りません。また、預金があっても遺産分割や銀行の払戻しが未了なら、その全額を直ちに使えるとは限りません。

相続税の見込額、期限までに払戻しできる預金、自分が出せる資金、先に必要な生活費や相続関係費用を整理し、不足する部分を求めます。

売却後に返す借入れか長期返済かを決める

例として、納付見込み800万円、使える現金300万円なら、当面の不足額は500万円です。ただし、近い時期に不動産売却の手取りを受け取るなら、短期で返す計画と長期返済では選ぶ融資が変わります。

売却代金全体ではなく、譲渡税、仲介手数料、抵当権の処理費用等を除いた手取りで返済できるかを確認してください。相続した家を売るときの税金も資金計画に関わります。

相続後の借入れで今回の課税遺産が減るわけではない

納税のために子が新しく借りるお金は、父が死亡時に残した債務ではありません。借りた額を今回の遺産から差し引いて、相続税をもう一度減らせる制度ではない点も確認します。

相続税の債務控除は、原則として亡くなった人の死亡時に存在し、確実と認められる債務等が対象です。借入れは納付資金を用意する方法であり、税額を減らす方法とは区別してください。

借入れと延納は利息以外の条件も比べる

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延納は誰でも自由に選べる分割払いではない

相続税の延納は、税額10万円超で金銭納付が困難であることなどの条件があり、困難な金額を限度に申請します。担保や申請期限の要件があり、利子税もかかります。

延納税額100万円以下かつ延納期間3年以下の場合の担保不要の扱いがあります。どちらか一方だけを満たせばよいものではありません。

比較する点金融機関の借入れ税務署への延納
可否収入や担保等の融資審査法定要件と納付困難額の審査
費用金利と保証料や契約等の費用利子税と担保設定等の費用
支払先金融機関等税務署
返済又は納付期間契約条件による財産構成と対象税額等による
期限までの準備融資実行を間に合わせる納期限までに所定の申請

同じ返済日程で総負担を比較する

借入れは、固定・変動金利、保証料、事務手数料、抵当権設定費用、繰上返済手数料を確認します。延納の利子税も適用年や財産区分等で変わるので、古い固定率を当てはめません。

当初500万円を5年借りる場合と、売却後1年で返す場合では、借りる額が同じでも支払利息が変わります。各案の見積書と返済表を同じ返済予定で作って比較してください。

金利2%の同じ借入額でも返済方法で総利息が変わる

計算方法を示すため、500万円を固定年2%で借り、毎年末に元金100万円ずつ返す5年返済を仮定します。手数料等は除き、各年初残高に年利を掛ける単純な条件なら、利息は10万円、8万円、6万円、4万円、2万円で合計30万円です。

500万円×2%×5年=50万円とする計算は、元金が5年間ずっと500万円残る場合のもので、この返済例とは合いません。実際の月払い、日割り、元利均等等では金額が変わるため、最終判断には金融機関の返済予定表を使います。

この2%は説明用の仮定で、現在利用できる商品の金利を示すものではありません。保証料等を含める商品と別途必要な商品もあるので、表示金利の比較だけで決めないようにします。

融資審査に必要な資料を期限から逆算してそろえる

融資審査に必要な資料を期限から逆算してそろえるに関する資料のイメージ

遺産資料と本人の返済能力を示す資料が必要

一般に、本人確認、収入を示す資料、相続関係、財産一覧、納税額を示す申告書等、不動産登記や担保資料などが検討材料になります。必要なものは金融機関や商品で異なるので、先に一覧を取り寄せます。

まだ申告書が完成していないなら、税理士が作った試算や財産資料で相談できるかを確認します。審査に必要な確定額と、事前相談に使える見込額を分けてください。

自宅や共有不動産を担保にする影響も調べる

担保にする不動産に他の抵当権がある場合や、家族との共有である場合は、担保設定の条件が変わります。家族の同意や権利関係の確認に時間がかかることもあります。

返済が難しくなると住まい等を失うリスクもあるため、借りられる上限をそのまま借りる金額にしません。毎月の収入と生活費から返済可能額を確認します。

親族から借りるときは返済の実態を記録する

親族から借りるときは返済の実態を記録するに関する資料のイメージ

返済する約束だけでなく実際の返済能力も必要

親族から借りる場合は、貸主、金額、利息、返済期限、返済方法を契約へ明記します。ただし、契約書があるだけで必ず貸借と認められるわけではなく、返済能力と実際の返済状況も関わります。

返す予定のない「出世払い」「あるとき払い」のような形は、実質的な贈与として扱われる場合があります。無利息の利益についても贈与税の確認が必要になることがあります。

他の相続人による税金の肩代わりと区別する

母が子の相続税を代わりに負担するなら、その資金移転が貸付けか贈与かを確認します。家族の税金を一括で払う便宜と、最終的な負担者が誰かは別です。

納税額と資金の不足を一枚にし、銀行の借入条件と税務署の延納条件を期限前に取り寄せてください。どちらを選んでも、返済後に自分へ残る生活資金が確保できる計画が必要です。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

ローン審査中なら相続税の納期限は延びますか

延びません。融資実行を納期限へ間に合わせるか、要件を満たす延納等を期限内に申請する必要があります。

借入れと延納は金利だけで比べればよいですか

金利だけでは決められません。担保、保証料等、返済期間、融資実行時期、繰上返済条件を含む総負担で比べます。

母に相続税を払ってもらえば贈与税はかかりませんか

当然に非課税にはなりません。贈与か真の貸付けかを確認し、貸付けなら契約と返済能力や実際の返済を記録します。

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