無道路地の相続税評価 接道の判定と通路開設費の控除を解説

無道路地の相続税評価 接道の判定と通路開設費の控除を解説

無道路地の相続税評価 接道の判定と通路開設費の控除を解説のイメージ

道路へ直接出られない土地や、接道に必要な幅を満たさない土地は、相続税で無道路地として評価を検討することがあります。評価額から40パーセントを一律に引けるのではなく、通路に相当する価額を計算し、その控除に上限を設ける仕組みです。

他人の土地を通っている場合には、通行のための権利を設定しているかも結論を左右します。土地の形だけでなく、接道と権利の両方を確かめる必要があります。

この記事でわかること
  • 無道路地は道路に接しない宅地と接道義務を満たさない宅地が対象
  • 通路部分の路線価による価額を計算し基礎価額の40パーセントを上限に控除する
  • 他人の土地に通行権を設定している場合などは対象を慎重に判定する
目次

無道路地に当たるかは接道と通行権を確認する

無道路地に当たるかは接道と通行権を確認するに関する資料のイメージ

接道義務と現実の出入りを分ける

国税庁は無道路地を、道路に接しない宅地だけでなく、建築基準法などの接道義務を満たさない宅地も含むものとしています。人が歩ける通り道があるから直ちに無道路地ではない、と決められるわけではありません。

反対に、他人の土地に囲まれていても、その土地に通行の用に供する権利を設定している場合は無道路地評価の対象とならないとされています。通行地役権や契約書の有無を確認し、現在の通行が単なる了解なのか、どのような権利によるものなのかを整理します。

建築確認上の道路の種類、接している幅、敷地として使える範囲は自治体で確認します。登記簿だけでは接道要件を読み切れないため、建築担当窓口の資料と現地の状況を合わせて判断します。

無道路地と再建築不可を同じ言葉にしない

建物を建て直せるかは、接道以外の法令上の制約や許可等も関係する問題です。再建築不可と表示される物件なら、どの理由で建築が難しいのかを確認し、それが無道路地評価の要件とどう対応するかを見ます。

一方、現在家が建っていることだけでは、相続開始時に必要な接道条件を満たしている証明にはなりません。過去の建築時と法令や道路の扱いが異なる場合もあるので、現在の資料で確認します。

相続税の減額を検討するためにも、売却や活用のためにも、自治体の回答を記録しておくことが役立ちます。建築の可否について自分で結論を出して申告書へ転記しないようにします。

評価の基礎額は実際に利用する路線から求める

評価の基礎額は実際に利用する路線から求めるに関する資料のイメージ

使っている道の路線価を基礎にする

無道路地の基礎となる価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき、不整形地の評価または地積規模の大きな宅地の評価により計算します。近くにある路線のうち、低いものを自由に選べるわけではありません。

国税庁の設例では、前面の宅地と対象地を合わせて計算し、前面宅地の価額を差し引いて対象地の基礎を求める手順が示されています。対象地の位置、通路、全体の奥行きなどがこの計算に関わります。

基礎額を求める段階で既に不整形地などの補正を検討するので、最後に同じ補正をもう一度加えないようにします。どの段階で何を反映したかが分かる計算表を残すことが大切です。

評価を相談する際に使う資料
項目確認内容判断のポイント
登記事項証明書名義と権利相続する範囲を確認
公図と測量図位置と寸法現況と違う箇所を確認
路線価図や倍率表評価方式と地区相続した年の資料を使用
自治体の資料道路や区域の指定適用する規定の前提を確認
現況写真と契約利用状況と権利相続開始時の状態を記録

通路開設費の控除には40パーセントの上限がある

通路開設費の控除には40パーセントの上限があるに関する資料のイメージ

通路部分の価額は工事見積額と異なる

控除する通路部分の価額は、接道義務を満たすために最小限度必要な通路を想定し、その面積に実際に利用する路線の路線価を乗じて求めます。この部分には奥行価格補正などの画地調整を行いません。

通路を舗装する工事費や、隣地の所有者が売却を求める金額を、そのまま控除する制度ではありません。接道に必要な幅や道路までの距離を図面で確かめ、税務上の式へ当てはめます。

例として、補正後の基礎価額が2,000万円、通路部分の価額が500万円なら控除上限は800万円なので500万円を引き、評価額は1,500万円です。通路部分の価額が1,000万円なら上限の800万円を引き、1,200万円になります。いずれも仕組みを示す仮定例です。

上限に達するかを別に検算する

基礎価額と通路部分の価額を求めたら、基礎価額の40パーセントと比較します。低いほうを控除する仕組みなので、通路が長く価額が大きくなっても、限度なく評価額が下がるわけではありません。

この計算の前提となる基礎価額に既に形状の補正が含まれている場合、上限を路線価と面積だけの未補正額から求めないようにします。式のどの数字を使っているかを明記して検算します。

通路部分は、土地の所有者が将来売ってくれる価格でも、実際に工事をする費用でもありません。買い取り交渉の見積書と税務上の計算を別の表にすると、数字の混同を防げます。

旗竿地や通行権がある土地と区別する

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旗竿地の狭い通路に同じ控除を加えない

旗竿地は、道路につながる細い部分も自分の土地である形状を指します。必要な接道幅を満たす旗竿地なら、通常は形状などの評価を検討するのであり、形が似ているという理由だけで無道路地の控除を加えません。

通路に見える部分が共同の私道である場合は、その所有持分と利用関係も確認します。通路自体の評価と、奥の土地に無道路地の扱いを適用できるかは別々の問題です。

相続後の分割によって意図的に接道しない土地を作る場合にも注意が必要です。親族間で著しく不合理な分割をした土地については、分割前を一つの画地として評価する取扱いがあります。

通行の権利がある場合に確認すること

通行地役権などの設定があるなら、登記事項証明書や契約書で対象範囲と内容を確認します。日常の通行が許されているだけなのか、法律上の権利があるのかを、本人の呼び方だけで決めないようにします。

土地を売る場合に買主も通れるか、建築や工事車両の通行を認めるかといった問題は、権利や契約の内容によって異なります。相続税の無道路地判定とあわせ、今後の利用に必要な事項として整理します。

口約束しかない場合や隣人と争いがある場合には、税務の相談だけで終わらせず、権利関係を扱う弁護士などへ確認します。評価計算に使う事実を確定させるための作業です。

評価に必要な図面と権利関係をそろえる

評価に必要な図面と権利関係をそろえるに関する資料のイメージ

評価の相談には地番と通行の資料を持参する

登記事項証明書、公図、地積測量図、道路図、建築確認資料を用意します。通行に関する覚書や契約、裁判の記録、隣地の承諾書があれば、一緒に確認します。

図面には実際に利用している道と通路を記入し、最小限必要な通路の幅と長さが分かるようにします。相続開始後に新しい通行契約を結んだ場合は、相続時点の権利関係と混ぜず、日付を明確にします。

最初に確かめるべきことは、接道義務を満たすかと、他人の土地を通る権利の内容です。その二つが不明なまま控除額だけ計算せず、自治体と権利関係の資料から判断を進めてください。

土地をすぐに売れず納税資金が不足しそうなら、土地の相続税が払えないときの対処法も確認し、評価の相談と資金の準備を並行して進めてください。

よくある質問

よくある質問に関する資料のイメージ

無道路地なら40パーセント減額できますか

40パーセントは控除の上限です。最小限の通路に相当する価額を求め、その範囲で控除します。

道路へ出るための工事代を引けますか

工事費の実額をそのまま引く仕組みではありません。通路部分の地積に路線価を乗じる所定の計算を用います。

他人の土地を通る権利がある場合はどうなりますか

国税庁は通行の用に供する権利を設定している場合を対象外としています。権利の内容を資料で確認します。

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