貸宅地の相続税評価 底地の計算方法と契約別の注意点

親が土地を第三者へ貸し、その借主が建物を持っていた場合、相続税では貸宅地として評価することがあります。
地主側の権利は底地とも呼ばれ、普通借地権の目的となる土地では、自用地価額から借地権相当額を差し引くのが基本です。
ただし、地代をもらっている土地すべてが同じ計算になるわけではありません。
土地と建物の所有者、契約の種類、権利金や地代の内容を確認してから、適用する評価方法を選びます。
- 貸宅地と貸家建付地や無償使用の土地の違い
- 普通借地権の底地評価と借地権割合の使い方
- 定期借地や相当の地代など別扱いを確認する資料
貸宅地は借主が建物を所有する土地で貸家建付地とは異なる

土地と建物を誰が所有しているかを確認する
父が土地だけを所有し、借主が自分の建物を建てているなら、土地の貸付けとして契約内容を確認します。
一方、父が建物も所有して入居者へ部屋を貸していた場合は、土地は貸家建付地等の評価を検討します。
土地だけを貸す契約か、建物を貸す契約かで、土地の権利を制限する内容が異なります。契約書の題名だけでなく、登記と実際の利用を照合してください。
無償で貸している土地を一律に貸宅地にしない
子に無償で土地を使わせていた使用貸借などは、借地権がある貸宅地と同じ減額になるとは限りません。
固定資産税程度の支払いがある場合も、それだけで通常の賃貸借と判断せず、実態を確認します。
普通借地権の目的となる貸宅地は自用地価額から借地権相当額を引く

相続開始年の借地権割合を確認する
普通借地権の目的となる貸宅地の基本式は、自用地としての価額から、その価額に借地権割合を掛けた金額を差し引く方法です。
自用地価額は路線価方式や倍率方式等で、その土地の形状や利用を踏まえて求めます。
仮に自用地価額4000万円、借地権割合60%で、この基本式を使う土地なら、4000万円−4000万円×60%=1600万円です。
借主の権利相当額2400万円と、地主側の土地評価額1600万円を取り違えないでください。
取引慣行がない地域には貸宅地側の取扱いがある
国税庁は、借地権の取引慣行がないと認められる地域の貸宅地について、借地権割合を20%として計算する扱いを示しています。
路線価図に割合がないから、減額なしと即断しないようにします。
借地権割合は相続開始年に対応する路線価図・評価倍率表等で確認します。現在の売出価格や固定資産税の額から、独自に割合を決めるものではありません。
定期借地権や相当の地代などは別の評価を確認する

契約期間や権利金と地代を資料で確かめる
定期借地権等の目的となる土地は、権利の価額や残存期間等に応じた方法を確認します。普通借地権の割合を、そのまま使って計算を終えないでください。
また、権利金に代えて相当の地代を支払う場合などには、別の通達による取扱いがあります。
相当の地代は単に「近所の相場程度の地代」という日常的な意味ではなく、税務上の条件に基づく概念です。
土地の無償返還届出などを確認する
法人へ土地を貸している場合等は、土地の無償返還に関する届出や、借地権を設定した経緯を確認します。
届出の有無や当事者の関係で取扱いが変わり、法人向けの説明を個人間の貸付けへ一律に広げられません。
親が保存していた契約書だけでなく、更新契約、権利金の領収書、地代改定の記録、税務署への届出控えを集めます。
地代の現在額一つから評価方法を推定しないことが大切です。
複数の借主がいる土地は貸付けごとの評価単位を確認する

登記の筆数と利用の単位が一致するとは限らない
宅地の評価は、原則として利用の単位である一画地ごとに判断します。
貸宅地で貸付先が複数なら、同一人へ貸し付けている部分ごとに一画地とする基準があります。
貸付部分と自己使用部分を図面で区分する
一筆の土地に複数の借主がいる、親が使う部分もあるときは、契約と実際の使用範囲を図面に示します。
登記面積を借主の人数で等分するのではなく、貸している範囲を確認してください。
評価額と売却価格を分けて納税資金を考える

借地権割合から実際の底地売値は決まらない
相続税評価額は申告のための価額であり、底地をその金額で売れることを保証しません。
売却価格は地代、契約条件、借主との関係、買主の需要などにも左右されます。
納税資金が不足する場合は、借主への売却等を検討することがありますが、契約と必要期間を確かめます。
土地の相続税が払えない場合の選択肢も、申告期限に向けた資金計画の参考になります。
契約書と地代記録や図面を税理士へ渡す
財産一覧には「土地」だけでなく、貸付先と契約の種類を書き添えます。
相続税申告で集める土地の資料に、契約・届出・入金記録を加えて確認を依頼してください。
よくある質問

底地は路線価の何割で評価しますか
普通借地権の目的となる貸宅地では、自用地価額から借地権相当額を差し引くのが基本です。定期借地や地代の条件等による別扱いを先に確認します。
親が子に無料で貸した土地も減額できますか
使用貸借の土地を通常の貸宅地と同じように減額できるとは限りません。地代や権利金、契約内容と利用の実態を確認します。
相続税評価額と同じ値段で底地を売れますか
同じとは限りません。申告上の評価と市場での売却価格は目的が異なり、契約条件や地代、需要等で価格が変わります。