外国株の相続手続き 国内証券と海外口座で異なる資料と移管

外国株の相続は、米国株や中国株という銘柄の国だけでなく、故人がどの金融機関と契約していたかで手続きが変わります。国内の証券会社を通じた保有ならその会社へ、海外で直接開いた口座なら現地の機関へ照会します。
まず契約先を確かめ、死亡日の資産と手続権限を示す資料を束ねましょう。各商品の受取方法を比べる前に、どの機関へ何を尋ねるかを明確にすることが、翻訳や認証の取り直しを減らす要点です。
- 銘柄の国と契約先の国を分けて照会先を決める
- 海外提出の翻訳と認証は受入条件の回答後に取得する
- 死亡日の評価と売却や送金の記録と各国の税務を分ける
外国株をどの国のどの証券会社で保管していたか調べる

取引報告書や口座明細の発行元、契約会社名、口座番号、登録住所、残高の通貨を確認します。英語の明細だから海外口座とは限らず、日本の会社の外国株用明細である場合もあります。
国内の証券会社と、海外の金融機関で直接開いた口座の資料を分けます。勤務先の株式報酬による取得であれば、株式の付与通知と、既に取得して口座に入っている株式を混同せず、勤務先側への確認も残します。
ほふりの結果だけで外国株なしと決めない
ほふりの開示結果だけで、外国株や海外口座がないとは判断できません。国内株を併せて保有していたことで国内の証券会社が判明しても、外国株の銘柄・数量はその会社へ別に確認します。
| 確認したいこと | 集める手がかり |
|---|---|
| 契約先 | 口座明細の発行会社、国、相続窓口 |
| 故人の登録 | 氏名の表記、登録住所、生年月日、口座番号 |
| 資産 | 銘柄、数量、取引市場、通貨、外貨残高 |
| まだ確認できていないもの | 旧住所の口座、勤務先の株式報酬、過去の送金先 |
国内・海外それぞれに資料番号を付け、どの原本から分かった情報かを残します。送金記録に名前があるだけで現在も保有していると確定せず、契約先への正式照会へ進みます。
国内証券では外国株口座と残る外貨の扱いを聞く

国内の証券会社へは、外国株を含む死亡日残高の確認、相続人側で必要な外国株取引口座、残る外貨の処理、移管できない商品の有無をまとめて尋ねます。総合口座ができたことだけで、すべての受入設定が済むとは限りません。
個別会社では、外国株と一緒に外貨を移す場合と、外貨だけなら円に換える場合などがあります。銘柄・数量と外貨残高を別行にして回答をもらえば、株の移管が済んだ後に金銭だけ未確認になることを防げます。
同じティッカーでも市場と通貨を確認する
ティッカーが同じに見えても、市場や商品形態が違うことがあります。会社名、取引市場、通貨、株式か預託証券かなどを明細どおりに控え、家族の記憶だけで銘柄を置き換えないようにしてください。
問い合わせの結果は「必要口座」「公的資料」「換金・移管の方法」「手数料」「処理中の配当等」に分けて保存します。取扱会社を変えて移す希望がある場合も、相続と同時に可能かを先に確認します。
海外口座では現地の請求手順と翻訳資料を確認する

海外の金融機関には、まず相続担当窓口と必要書類の一覧を依頼します。故人の死亡を示す資料、請求する人の立場、遺言・分割等の資料のうち、何を、どの形式で提出すればよいかを確認します。
翻訳や公証、アポスティーユ等の認証は、国と機関によって要求が異なります。先にすべてを取得するのではなく、原本か写しか、翻訳者の条件、認証の種類、有効期間、返却方法を質問して回答を残してください。
名義変更と送金の手続きを分ける
現地の遺産管理や裁判手続きが必要になる場合もありますが、すべての海外口座に同じ手続きが必須とは限りません。口座の国・地域、故人の住所、契約条件、資産の種類と金額を、現地の専門家へ示して判断を受けます。
資産の名義を移す作業と、その後に現金を日本へ送る作業は別です。相続人の受入口座、売却・送金の制限、税務書類の要否を分けて確認し、現地の移転完了だけで日本の銀行へ即日着金すると見込まないようにします。
相続税と売却時の税務や現地税務を別に確認する

日本の相続税で国外財産も対象になるかは、故人と取得者の住所、国籍、過去の居住歴等によって変わります。「海外口座だから日本では申告しない」「国内の証券会社だから国内財産」と口座名だけで決めないでください。
相続税の財産所在地の判定では、株式は原則として発行法人の本店等の所在が基準です。国内口座で保有していることと、日本の相続税上の財産所在地は同じ判断ではありません。
死亡日評価と売却時の円換算記録を残す
死亡日時点の株式評価と円換算、相続後に売った金額と取得費、外貨を交換・送金した記録は分けて保存します。通常の相続株式は故人の取得費を引き継ぐ一方、NISAからの払出し等には別の扱いがあるため、死亡日の評価をそのまま全商品の取得費としないようにします。
米国法人の株式などは、日本の証券口座で持っていても米国側の遺産税や書類の確認が必要になる場合があります。口座所在地だけで現地税務の検討を終えず、国籍・居住地、財産内容、租税条約も含めて国際相続に対応する税理士等へ相談します。
まず国内・海外に分けた契約先一覧と、各社から届いた必要書類の回答をそろえましょう。取得が未了でも日本の税の期限が自動的に延びるわけではないため、未回答の資料を明示して税務の準備を並行します。
よくある質問

米国株なら米国の証券会社へ連絡しますか
銘柄の国だけで決まりません。国内証券会社で持っていればその会社へ、海外で直接開いた口座なら契約した現地機関へ照会します。
戸籍は先に英訳とアポスティーユを用意しますか
提出先が求める資料と認証の種類を先に確認します。国・機関で条件が違うため、原本・翻訳・認証の指定を回答として残してから取得します。
国内証券口座にある外国株なら現地税務は関係ありませんか
口座の所在地だけでは判断できません。発行会社の国、故人の国籍・居住地、条約等により現地側の申告や書類を確認する必要があります。