農地を相続したときの農業委員会への届出 書き方と添付資料

農地を相続したら、法務局への相続登記とは別に、その農地がある市町村の農業委員会へ届出が必要です。「農地法3条の3の届出書」などの名称で案内され、地番や取得した権利、現在の耕作状況などを記入します。
ここでは農林水産省の様式例に沿って、手元の資料のどこを各欄へ転記するかを整理します。提出先によって様式や添付資料が違うため、所在地の現行案内と合わせて準備してください。
- 届出先と相続登記とは別の提出時期
- 地番や取得原因を資料から記入する方法
- 未分割時の届出と分割後の追加確認
農地のある市町村の現行様式と提出資料を確認する

届出先は相続人の住所地ではなく、農地の所在地の農業委員会です。別々の市町村に田畑があれば、提出先もそれぞれ確認します。必要な用紙は「相続等の権利取得の届出」「農地法3条の3」などから探せます。
様式だけでなく、必要書類、部数、郵送や窓口の扱い、代理提出時の委任状も確認します。草津市のようにオンライン届出を案内する自治体もあり、全国で紙提出のみと決まっているわけではありません。
期限まで登記の完了を待たず相談する
法律上は権利取得を知った時点から遅滞なく届け出る扱いで、運用上おおむね10か月以内と案内されます。10か月までは何もしなくてよいという意味ではありません。遺産分割が長引くときも、所在地へ早めに状況を伝えます。
相続登記と届出はそれぞれ必要なため、登記が終わるまで窓口への相談を延ばさないでください。和光市は相続登記を済ませてからの提出を案内しつつ、相続未登記なら遺産分割協議書の写しを添える扱いも示しています。登記や協議の進捗を伝えて、今提出できる資料を確かめます。
地番と面積と取得した権利を根拠資料から記入する

農林水産省の様式例は、取得者、土地、取得日、取得事由、権利の内容、あっせん希望の順に記入する構成です。住所の番地と土地の地番は一致するとは限らないため、所在地番は登記資料などと照合します。
| 様式例の欄 | 記入の根拠と確認点 |
|---|---|
| 1 取得者の氏名等 | 取得する人の氏名と住所 所有権なら国籍等も記入 |
| 2 土地の所在等 | 地番 面積 登記簿の地目と現況の地目を区別 |
| 3 取得した日 | 相続又は遺産分割など 取得の事由に対応する日 |
| 4 取得した事由 | 相続 遺産分割など該当する内容 |
| 5 権利の種類と内容 | 所有権等と耕作状況 貸付けや共有者の情報 |
| 6 あっせんの希望 | 売却や貸付けの相談を希望するか |
相続開始日と分割の成立日を混同しない
単純な相続の取得日と、その後の遺産分割による取得日を同じ出来事として記入しないようにします。「誰が」「何により」「いつ取得したか」を、戸籍や協議書と対にして確認してください。書き方が不明なら、日付を推測せず提出先へ尋ねます。
国籍等と耕作状況の欄も現行様式に沿って記入する
様式例では所有権を取得した場合に国籍等を記載し、日本国籍なら「日本」とします。中長期在留者の在留資格や特別永住者の記載も要領に示されています。古い用紙を使って欄を落とさないよう注意しましょう。
所有権の内容欄には現在の耕作状況や使用収益権の設定・見込みなどを記入します。登記名義と現在の所有者が違う場合は、土地欄の備考に登記名義人を記載する扱いです。「父名義だから取得者も父」とせず、二つの欄を分けます。
未分割の共有と分割後の取得で届出を整理する

相続人が複数いる場合は、相続が始まって共有として取得した段階と、遺産分割で取得した段階が届出の対象となります。例えば兄弟2人の未分割共有を届け出た後、協議で兄1人が取得すれば、その分割による取得についても届け出る整理です。
ただし、最初に届け出ようとした時点ですでに遺産分割による取得が済んでいれば、先の共有取得の届出を省略できる扱いがあります。何度でも必ず2回提出する制度と考えず、協議日と前回の提出状況を窓口へ伝えます。
代表者一人の届出で全員分が済むと決めない
連名の届出も可能ですが、一人が自分の名だけ書けば他の取得者の届出も当然に済むわけではありません。連名で届ける人の氏名・住所、用紙の行数、委任して提出する範囲を確認します。
様式例では、届出者以外にも共有者がいる場合、その人数を記載します。人数が分からない場合はその旨を記載する扱いです。分からない名前や人数を推測して埋めず、確認できた資料と不明な点を分けて相談しましょう。
貸付けの希望と添付書類を確認し控えを残す

自分で耕作できない場合は、売却や賃貸のあっせんを希望するかも確認します。届出書の希望欄は、直ちに借り手が決まる申込みではありません。今の耕作者、貸付契約、今後の希望を伝えると、その後の利用相談につながります。
添付資料は提出先の一覧でそろえます。相続や分割が分かる資料に加え、位置図や公図、本人確認資料などを求めるかは自治体によります。和光市の例は届出書2部、案内図、公図などを示していますが、この部数を全国共通にしないでください。
提出前に書類一式を複写又は保存し、提出日、提出方法、担当窓口、追加資料の依頼を記録します。郵送する場合は返送が必要な控えの有無や封筒、受理をどう確認するかまで先に尋ねておくと安心です。
受理証明の有無と名義変更の進捗を分ける
和光市は受理通知書の交付時期も案内していますが、書面の名称や発行方法は提出先へ確認します。届出が受理されても、法務局の相続登記や土地改良区・既存借主への連絡が自動で済むわけではありません。
農地一覧に「農業委員会への届出」「相続登記」「契約先等への名義連絡」の列を分け、各手続きの控えと日付を記入すれば、届出の後に何が残っているか確認できます。
よくある質問

相続登記をすれば農業委員会への届出も済みますか
済みません。法務局の登記と農地所在地の農業委員会への届出は別です。登記や遺産分割が未完了の場合も早めに相談し、その段階で提出できる資料を確認してください。
遺産分割が決まるまで届出を待てますか
共有として取得した段階も届出の対象です。分割後の取得も対象になりますが、最初の届出時点ですでに分割が済んでいる場合は共有取得の届出を省略できる扱いがあります。状況を窓口へ伝えます。
届出書と添付資料は全国同じですか
全国一律ではありません。農林水産省の様式例はありますが、所在地の農業委員会で現行様式、添付資料、部数、オンラインや郵送の可否、控えの受取り方を確認します。