遺言執行者の選任を申し立てるには 家庭裁判所の書類と候補者の準備

遺言執行者の指定がない、指定された人が亡くなったなどの場合は、家庭裁判所へ選任を申し立てることを検討します。最初に確認するのは、誰もいない理由と、遺言のうち何を実行する必要があるかです。
遺言者の最後の住所地、申立人の利害関係、候補者の資料をそろえ、裁判所の書式に対応させます。申立てをした時点と選任後に執行を始める時点も分けて準備しましょう。
- 執行者がいない理由と必要な執行を資料で示す
- 最後の住所地の家裁へ申立人と候補者の資料をそろえる
- 印紙代と裁判所別の郵便料を分けて確認する
執行者がいない理由と必要な執行を確認する

遺言書の執行者指定と、その後の事情を確認します。指定がないのか、指定者が死亡したのか、就職を承諾しなかったのかで、説明する経過が変わります。
例えば、預金を長女へ遺贈する遺言が残り、指定された執行者が先に亡くなっていたとします。遺言と指定者の死亡を示す資料を用意し、未実行の手続きと選任が必要な理由を整理します。
遺言がある全ての相続で必ず選任申立てが必要、という意味ではありません。内容と執行者の権限、登記や金融機関の手続きを確認して、何の実行に必要かを弁護士等へ相談します。
申立人と管轄と候補者を決める

申立人は相続人、受遺者、遺言者の債権者等の利害関係人です。相続人全員が一緒に申立人になることが必須という手続きではなく、申立人自身がどのような利害関係を持つかを示します。
申立先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。申立人の自宅や不動産所在地から選ぶのではなく、最後の住所を証する資料と裁判所の管轄案内を確認してください。
候補者を立てる場合は、就任の意思と連絡先、必要な住民票等を準備します。未成年者と破産者は執行者になれません。候補を挙げても裁判所がそのまま選任するとは限らず、適切な人物かは裁判所が判断します。
遺言と相続資料を申立書の事情へ対応させる

| 資料の役割 | 標準的な資料と確認点 |
|---|---|
| 遺言者の死亡 | 死亡記載のある戸籍等 |
| 遺言の内容 | 遺言書の写し又は検認調書謄本の写し等 |
| 候補者の住所 | 住民票又は戸籍附票 |
| 申立人の利害関係 | 親族の戸籍や受遺者等の関係を示す資料 |
| 選任が必要な事情 | 指定者死亡・不就任等の経過と実行すべき事項 |
裁判所の申立書へ、誰のどの遺言の執行者を選任してほしいか、なぜ必要かを対応させます。財産の一覧だけを添え、遺言と候補者や申立人の関係を説明しない状態を避けます。
自宅保管の自筆証書等では検認の手続きを確認します。公正証書や法務局保管に関する情報証明書は検認不要であり、形式に応じた遺言の資料を用意してください。
同じ家庭裁判所に検認記録が保存されている場合、死亡戸籍や遺言写し等を省けることがあります。裁判所の案内は検認から5年間の保存を示しているため、事件番号と時期を伝えて確認します。
手数料と郵便料や追加資料を準備する

現在の裁判所の案内では、執行対象となる遺言書1通につき収入印紙800円分と、連絡用の郵便料が必要です。相続財産の額に800円を掛けるものでも、郵便料込みの総額800円でもありません。
郵便料は申立先の裁判所ごとに確認します。古い切手の額をそのまま使わず、保管金の電子納付又は郵便切手等、案内された方法を選びます。
取得できない戸籍等は、申立て後に追加提出できる場合があります。ただし不足資料を黙って省くのではなく、入手状況を裁判所へ伝え、追加照会にも対応できる連絡先を記載します。
審判後は証明と就任連絡を手続き先へ渡す

申立書を提出しただけで、候補者が執行者として銀行や登記を進められるわけではありません。審判後に必要な証明書類を受け取り、各提出先が求める形を確認します。
選任審判書と確定証明書を分けて確認する
審判書謄本は、裁判所が誰を遺言執行者に選んだかを示す書類です。審判が確定したことを証明する確定証明書とは、役割が異なります。
遺言執行者を選任する審判は、選ばれた人への告知によって効力が生じます。選任の申立てが却下された審判への不服申立てとは、手続きの扱いが違います。
銀行や法務局へは、今回の選任審判について求める書類を確認します。確定証明書の提出を案内された場合は、審判をした家庭裁判所にも事件の種類と提出先を伝え、必要な証明を確かめてください。
職務を始めると、相続人への遺言内容の通知や相続財産目録の作成・交付等が必要です。選任の資料と、通知の宛先・遺言の写しを別の束にして準備しておくと、開始後の作業につながります。
報酬について裁判所へ求める手続きや、専門家へ支払う費用も、選任の印紙代とは別です。担当する仕事、申立て、報酬の確認を混ぜずに記録してください。
よくある質問

相続人全員で申し立てる必要がありますか
利害関係人が申立てを行う手続きです。申立人の資格と必要な資料を確認し、裁判所の照会等に対応します。
どこの家庭裁判所へ出しますか
遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申立人の住所や不動産の所在地だけで選ばないようにします。
費用は800円だけですか
執行対象の遺言書1通につき印紙800円分に加え、連絡用の郵便料等が必要です。郵便料は申立先の現行案内で確認します。