立木の相続税評価 樹種と林齢で調べる木の価額

立木の模型と樹種や林齢を確認する評価資料

親の山林を相続したら、土地の価額だけでなく、そこにある立木の価額も別に確認します。山林の固定資産税評価額へ倍率を掛けた数字が、そのまま土地と木の両方の評価額になるわけではありません。

立木は、樹種、林齢、面積、搬出条件などで使う資料が変わります。杉・ひのきの標準価額と、その他の樹種、相続で使える85%の範囲を分けて、評価担当へ渡す情報を整理しましょう。

この記事でわかること
  • 山林の土地と立木を別々の財産として評価する
  • 樹種と林齢と地域に合う標準価額を使う
  • 立木85%評価の取得条件と対象範囲を確かめる
目次

山林の土地と立木の所有者と評価単位を分ける

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

最初に、土地と立木を誰が所有していたかを確認します。同じ場所にあっても、立木の売買、分収契約などにより、土地と立木の権利が分かれている場合があります。登記、契約、森林関係の資料を並べ、親の財産として評価する範囲を確かめます。

財産評価基本通達111は、森林の立木を、樹種と樹齢が同じ一団地ごとに評価するとしています。一筆の山林という区切りだけで、杉とひのき、若い木と成熟した木を一つの単価へまとめるものではありません。

分ける対象確認する資料の例一つにまとめない理由
林地土地登記、固定資産税評価資料、当年の倍率表土地の評価と立木の標準価額は別
森林の立木森林簿・図面、現況、伐採や施業の履歴樹種と林齢が同じ一団地ごとに区分
別の人の権利等立木の売買や分収などの契約土地所有者が木の価額を全部取得するとは限らない

樹種と林齢を森林簿だけで確定しない

森林簿は大切な手掛かりですが、所有権そのものや現況と必ず一致する証明ではありません。過去の伐採や植林、面積の変更がないか、森林組合などの資料や現地の情報と照合します。資料が違う部分を、家族の記憶だけで都合よく確定しないようにします。

杉とひのきは年分と林業地帯の標準価額へ対応させる

税額の計算を確かめる資料と計算機

森林の主要樹種である杉・ひのきは、国税局長が定める標準価額に、地味級、立木度、地利級の割合と森林地積を掛ける方法を使います。標準価額は1ヘクタール当たりの金額で、課税時期の年分、地域・林業地帯、樹種、樹齢を対応させて選びます。

たとえば国税庁の令和8年分・東京都の表では、標準伐期の杉65年は1ヘクタール33万円、ひのき70年は81万円です。この数字を別の県や別の林齢へ流用しません。年分を変えるだけでも価額が変わるため、前年の申告資料を使う場合は当年表と照合します。

地味級は生育条件、立木度は森林の状態、地利級は搬出の便否等を反映します。印象で「山奥だから一律半額」とせず、材積、林種、小出し距離、小運搬距離などを判定表へ対応させます。樹齢15年以上で立木材積が明らかな場合は、通達120による地味級・立木度の一体判定も確認します。

面積の平方メートルをヘクタールへ直す

1ヘクタールは1万平方メートルです。以下は、地域の実額ではなく計算方法を示す別の仮定で、標準価額40万円、地味級1.0、立木度1.0、地利級0.8、対象の森林面積1万5,000平方メートルとします。各割合は、資料で確認できたという前提です。

40万円×1.0×1.0×0.8×1.5ヘクタール=48万円となります。1万5,000という平方メートルの数字をそのまま掛けないこと、林地全体とその樹種の団地面積を区別することが重要です。区分できる不利用地があれば、その範囲も評価担当へ示します。

その他の樹種と伐採制限は別の資料で評価する

取引記録を保管するファイルと資料

杉・ひのき以外の森林立木は、原則として売買実例価額や精通者の意見価格等を参酌します。ただし、その地域の実情に応じ、樹齢別の標準価額が定められている樹種は、主要樹種に準じた方法です。「雑木」と呼んでいることだけで一律に評価ゼロとはできません。

売買や意見価格を照会するときも、所在地、対象の樹種と材積、立木のままの取引か、伐採・搬出等の費用の前提を示します。市場で売る丸太の価格を、山に立っている状態の木へそのまま掛けると、価格の意味が変わってしまいます。

保安林など伐採制限がある場合は、通達123の控除を確認します。皆伐か択伐か、制限の内容や割合によって取扱いが違うので、保安林という名称だけから全て80%減額とはしません。制限を示す行政資料をそろえて判定します。

庭園の木は森林の標準価額表へ入れない

庭園にある木や竹は、通達125により庭園設備と一括して評価する取扱いです。庭に杉があるから森林の杉の標準価額を使う、という判断ではありません。果樹や竹も別の規定を確認し、森林の立木の表へすべて押し込まないようにします。

85%を掛けられる取得と立木の範囲を確認する

合意の内容を確認する契約書類

相続税法26条は、相続又は一定の遺贈によって取得した立木について、取得時の時価の85%を価額とする取扱いを定めています。包括遺贈と、被相続人から相続人への遺贈が対象に含まれます。贈与や、それ以外の特定遺贈へ一律に広げるものではありません。

この85%は立木についての取扱いで、林地を含む山林全体へ掛ける率ではありません。先ほどの48万円が、ほかの控除を要しない立木の時価相当額で、対象となる相続で取得したという仮定なら、48万円×85%=40万8,000円です。

別々に確認する財産説明用の仮定課税価格へつなぐ額
立木時価相当額48万円、85%の対象となる相続40万8,000円
林地別の評価根拠による100万円100万円に立木の85%を掛けない
この二つだけの合計他の特例等はない前提140万8,000円

森林経営計画などに関連する別の特例は、計画や承継・継続等の条件を個別に調べます。木を相続しただけで、さらに全件5%を減らしてよいという計算ではありません。

樹種の表と取得原因を申告明細へ対応させる

国税庁の評価明細書も、林地の固定資産税評価額と倍率、樹種・樹齢、森林面積、1ヘクタール当たり標準価額、距離や各割合を別欄にしています。土地と木の所有者、取得原因、採用した年分の表、面積の換算、85%の根拠を一組の資料として渡します。

山林を所有したことの届出や、森林の管理を引き継ぐ手続きは、この税評価とは別です。まず財産の範囲と評価入力を固め、不足する現況や制限の資料から照会を進めてください。

相続の資料をそろえる際は、不動産の相続税評価額はどう調べる 土地と建物の計算方法や必要資料も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。

ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

山林の固定資産税評価額に立木も含まれますか

林地と立木は相続税で別に評価します。土地の評価資料だけで終えず、立木の所有者、樹種、林齢、面積等を確認します。

松や雑木にも杉の標準価額を使いますか

原則として売買実例や精通者の意見価格等を参酌します。ただし国税局長が標準価額を定める樹種はその取扱いを確認し、古い表を流用しません。

土地も立木と同じく85%で評価できますか

立木の85%評価を土地へ広げるものではありません。また、立木についても相続又は包括遺贈・相続人への遺贈という対象条件を確認します。

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