贈与税の外国税額控除 海外の親に課税された税も確かめる

海外の親から財産をもらい、現地でも贈与税に当たる税が課されると、日本と外国の両方で負担が生じることがあります。日本の贈与税には、国外財産に対する外国税額控除という調整があります。
外国では財産を渡した親が納税する方式でも、それだけで控除対象外とはいえません。対象財産と税の種類をそろえたうえで、控除できる上限まで計算する順番を確認しましょう。
- 贈与財産に課された外国税の種類を確認する
- 贈与者に課税された場合も対象を判定する
- 国外財産割合による限度額と日本の期限を確認する
外国の贈与財産と税の種類を対応させる

まず、日本で贈与税の対象となる財産を確定します。受け取る人と渡す人の住所、国籍、過去の居住等で課税範囲が異なるため、海外にあるから日本の税はかからない、と先に結論を出さないでください。
相続税法21条の8は、国外財産を贈与で取得し、その財産について所在地の法令による贈与税相当の税が課された場合の控除を定めています。所得に対する税、登記や取得の税などを、外国で払ったという理由だけで一括して引く制度ではありません。
国外財産の所在と日本での課税対象を先に確認する
銀行送金が海外から来たことと、贈与された財産が国外にあることも同義ではありません。贈与の対象が外国不動産なのか預金なのか、どの時点で取得したかを契約と資料で確認します。
| 照合する項目 | 用意する資料 |
|---|---|
| 贈与の対象と取得日 | 贈与契約、登記、口座等の権利資料 |
| 日本での課税範囲 | 双方の住所・国籍・居住経過が分かる情報 |
| 外国税の性質 | 税目、課税根拠、対象財産を示す通知 |
| 日本円の評価額 | 日本の贈与税上の評価と換算の根拠 |
贈与者課税方式でも控除対象になり得る

国税庁は、国内居住者が外国に住む父から現地不動産を贈与され、現地では贈与者の父に課税された例について、外国税額控除を認める取扱いを示しています。着目するのは、受贈者本人が納税義務者かだけでなく、その贈与財産に対する贈与税相当の課税です。
したがって、父名義の納税通知だから直ちに除外することも、父が払った税だから無条件に全額控除することも適切ではありません。どの財産にどの税が課されたかを、日本で受けた贈与と結び付けます。
外国税の確定額と換算の根拠を残す
課税通知、計算明細、確定額と通貨、納付状況をまとめます。日本円換算についても、税の金額と財産評価の資料を区別して申告担当へ示し、都合のよい日の為替を選ばないようにします。外国語の資料は、必要な翻訳の範囲も先に確認してください。
日本の贈与税のうち国外財産に対応する限度額と比べる

控除する金額には上限があります。外国の贈与税相当額と、「日本の控除前贈与税額×対象国外財産の価額÷その年の贈与税の課税価格へ算入した財産の価額」を比較し、小さい方を控除します。
次は、贈与年の1月1日に18歳以上の子が父から、外国不動産1,200万円と国内現金800万円をもらう例です。両方とも日本で暦年課税の対象となり、他の贈与や特例はなく、直系尊属からの特例税率を使えるものと仮定します。
| 計算の段階 | 説明用の金額 |
|---|---|
| 贈与税の対象財産合計 | 1,200万円+800万円=2,000万円 |
| 基礎控除後 | 2,000万円−110万円=1,890万円 |
| 外国税控除前の日本の贈与税 | 1,890万円×45%−265万円=585.5万円 |
| 国外財産が占める割合 | 1,200万円÷2,000万円=60% |
| 控除限度額 | 585.5万円×60%=351.3万円 |
| 外国税相当額を400万円と仮定 | 小さい方の351.3万円を控除し、残額234.2万円 |
割合の分母は、この例では財産合計2,000万円です。基礎控除後の1,890万円を分母にすると、国外財産に対応する割合が変わってしまいます。外国税が限度額を上回る部分まで日本の贈与税を減らすことはできません。
相続税の第8表や所得税の三年繰越を混用しない
似た名称の制度でも、税目によって計算と申告書は異なります。相続税の外国税額控除の表や、所得税の外国税額控除の繰越を、この贈与税の計算へそのまま当てはめないでください。
同じ贈与年の申告明細と外国税資料をそろえる

申告準備では、財産名、贈与日、日本での評価額、外国税の税目と額、控除限度額を一組にします。外国の申告が終わったから日本も申告済み、とはなりません。日本の贈与税の期限と、外国側の確定・納付の予定を別々に管理します。
外国税がまだ確定していない場合も、日本の申告を無断で遅らせたり、見込みの外国税を自分の判断で控除したりしないでください。現時点でそろう証明と不足書類を示し、期限内申告や後日の訂正等の具体的な対応を税務署又は国際贈与に詳しい税理士へ確認します。
贈与契約と外国課税証明を同じ財産名へ合わせる
国名と納付額だけの一覧では、税がどの財産の取得に対して課されたか分からないことがあります。契約の物件表示と課税通知の対象が一致するか、父に課税された場合は父の通知と子の取得がつながるかまで確認すると、追加照会に備えられます。
この控除は二重課税を調整する仕組みで、日本の課税範囲や外国の税務そのものを不要にするものではありません。両国の担当者へ同じ贈与の資料を渡し、別々の前提で計算が進まないようにしましょう。
相続の資料をそろえる際は、贈与税の申告方法 eTaxと書面の手順や必要書類と期限も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。
ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

外国で贈与者の父に課税された税は控除できませんか
受贈者に課税されたことだけが要件ではありません。国税庁は、国外の贈与財産について贈与者に課された贈与税相当税額も、所定の限度内で控除できるとしています。
外国で払った税は全て控除できますか
国外財産に対する贈与税相当の税かを確認し、日本の贈与税のうちその財産に対応する限度額と比べます。外国税全額を無条件に引くものではありません。
所得税の外国税額控除と同じ様式や繰越を使えますか
税目と根拠が異なります。所得税の様式や繰越をそのまま贈与税へ当てはめず、贈与税の申告資料と手続きを確認します。