成年後見人の死後事務許可申立書 趣旨と理由と添付を読み分ける

支払内容を確かめる領収書と計算道具

成年被後見人が亡くなった後、成年後見人として火葬の契約や本人名義の預金払戻しを行うには、家庭裁判所の許可を求める場面があります。申立書に必要なのは、支払いたい総額だけでなく、どの行為を、なぜ元の成年後見人が行う必要があるのかという説明です。

ここでは裁判所が掲載する令和7年7月版の申立書を使い、趣旨欄、別紙の事情説明、添付書類を対応させます。成年後見人の死後事務全般の一覧ではなく、許可を求める書類を準備する人に向けた読み方です。

この記事でわかること
  • 支払いと払戻しを区別した申立ての趣旨の選び方
  • 必要性と相続人の意思を事情説明書へ書く考え方
  • 許可対象に応じた添付資料と提出後の記録
目次

許可を求める行為を支払いと契約と払戻しに分ける

送金と受領を確かめる口座の資料

民法873条の2は、必要があり、相続人の意思に反することが明らかでないときに、相続人が相続財産を管理できるようになるまで、元の成年後見人が一定の行為をすることを認めています。死亡前と同じ包括的な代理権が続くわけではありません。

弁済期が来た相続債務の弁済と、そのために故人名義の預金を払い戻す行為は別です。支払う債務が明らかでも、払戻しに必要な許可の検討を省けることにはなりません。

検討する行為申立書を準備する際の区別
期限が来た入院費18万円を支払う弁済期が来た債務の弁済かを確かめる
その資金を故人名義預金から引き出す払戻しという行為の許可を検討する
火葬等16万円の契約を結ぶ火葬・埋葬に関する契約として対象を特定
通夜・告別式を含む葬儀一式40万円火葬契約と同じ許可対象としてまとめない

金額は説明のための仮定です。火葬を含む見積書でも、葬儀全体と火葬に関する費用が混ざっていれば、内訳を取り寄せます。許可される金額や結果を、この例が示すものではありません。

この申立ては成年後見人についての手続きで、保佐人・補助人・任意後見人等へそのまま広げません。また、元成年後見人が相続人として行為をする場合について、裁判所はこの許可が不要と案内しています。相続人としての権限や他の相続人との関係まで無条件になる意味ではないため、自分がどの立場で行うかを先に示します。

申立ての趣旨には行為と口座と金額を対応させる

税額の計算を確かめる資料と計算機

掲載申立書の1頁目は、太枠の中へ記入する方式です。基本事件番号、申立人、亡くなった本人の住所・氏名を、従来の後見事件の資料と死亡を示す書類へ合わせます。下部の「裁判所使用欄」は申立人が許可結果を書き込む場所ではありません。

様式の実際の欄読み方と準備する情報
申立ての趣旨の火葬等の選択締結したい契約の対象を見積・契約案と対応させる
預貯金払戻しの選択資金が必要な理由と払戻す行為を示す
金融機関名・支店名・口座種別・口座番号通帳等と一文字ずつ照合する
払戻金額必要な支出と手元資金を比べた金額の根拠を用意する
申立ての理由別添の申立事情説明書へ続く

たとえば入院費の支払資金が足りず払戻しを求めるなら、請求書と期日、手元資金、対象口座の残高を並べます。残高全部を引き出せば楽だからという理由で、必要な払戻金額の説明を省かないようにします。

火葬契約と払戻しの両方が必要なら、それぞれ何を許可してほしいのかが分かるようにします。寄託や供給契約の解約など別の行為では、掲載記載例と提出先の案内を参照し、対象を曖昧にした包括的な依頼文にしないでください。

事情説明書で必要性と相続人の状況を具体的に書く

家族関係を整理する戸籍と図の資料

2頁目は申立事情説明書です。最初の欄は「申立ての理由・必要性等」で、その裏付けとなる資料があれば添付するよう示されています。何をしたいかの繰り返しではなく、相続人へ引き継ぐ前にその行為が必要な事情を説明します。

入院費なら、請求元、請求内容、支払期限、利用できる資金、相続人が現在対応できない事情を分けて書きます。連絡した日と返答も記録すると、必要性と相続人の状況を読み合わせやすくなります。窓口の回答や相続人の返答を推測で作ってはいけません。

事情説明書で問われること裏付けとして用意する資料の例
元成年後見人が行う必要性支払請求書、見積書、期日、手元資金の記録
相続人の意思実際の連絡経過、返答、連絡が取れない事情
払戻しの対象と金額通帳の写し、残高、支払予定と不足額
本人の死亡死亡診断書等の写し又は死亡記載のある戸籍等

相続人の意思の欄には、存在が明らかでない、所在不明、疎遠で確認できない、反対している人はいない、その他という選択肢があります。「電話したが出なかった」だけで「相続人はいない」とせず、分かっている事実に合う選択と補足説明にします。

従来の家庭裁判所へ提出し許可後も使途を残す

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

提出先は、本人について成年後見を開始した審判をした家庭裁判所です。全国の案内では申立手数料800円で、一つの申立書で二つ以上の許可を求める場合も800円とされています。連絡用郵便切手は提出先へ確認します。

死亡を示す資料、必要な行為を裏付ける資料に加え、事件や内容によって追加の提出を求められることがあります。既に後見事件で提出した資料は、変更がなければ再提出不要となるものもあるため、過去の提出控えと照合してください。

許可申立書を出したことと、許可を得たことは別です。急いでいる場合は理由と希望日を窓口へ伝え、許可の内容と実行できる時点を確認します。緊急時の別の法的根拠が問題となる場合も、通常の許可手続きと混ぜず個別に相談します。

実行後は、審判書、契約書、払戻しと支払の明細、領収書、残額をつなげて保管します。許可を得た行為を終えたことだけで、相続人への財産引渡しや後見の終了報告まで自動的に完了するわけではありません。

関連する基本事項は、親の相続準備 元気なうちに確認する書類と進め方も参考にしてください。

契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

医療費の支払いに許可が要らなければ預金も自由に払戻せますか

支払いと払戻しは別です。弁済期が来た債務の弁済であっても、本人名義の預貯金の払戻しについては、死後事務の許可を検討します。

火葬の許可で葬儀一式も頼めますか

火葬・埋葬の契約と通夜・告別式等の葬儀契約は同じ対象ではありません。見積の内訳を分け、何の契約の許可を求めるかを明確にします。

許可申立書は故人の最後の住所地の家裁へ出しますか

この手続きは、本人について成年後見を開始した審判をした家庭裁判所へ申し立てます。従来の事件番号と担当窓口を確認してください。

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