大家が死亡して家賃の支払先が不明 供託と準備する資料

送金と受領を確かめる口座の資料

大家が亡くなり、いつもの家賃振込が戻ってきた場合も、家賃を払う義務が消えるわけではありません。管理会社や相続人からの案内を確認し、誰に支払えばよいかを調べます。

自分に過失がないのに支払相手が分からない場合などは、弁済供託を検討します。ここでは借主の立場で、供託できる原因と、契約・対象月の資料を申請情報へ対応させる方法を説明します。

この記事でわかること
  • 貸主死亡と家賃の支払先不明を区別する
  • 供託できる原因を契約と連絡経過から確かめる
  • 対象月・金額・納付と通知の記録を残す
目次

死亡の連絡と家賃を受け取る権限を照合する

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

まず、賃貸借契約書で物件、賃料、支払期限、支払方法を確かめます。従来の管理会社がある場合は、貸主死亡後も家賃を受領する権限があるか、どの通知に従って払うかを確認してください。

新しい口座の案内が届いたときも、口座名義だけで受領権限があると判断しません。以前からの連絡先で管理会社等に確認し、通知者、受領する根拠、対象となる月を確かめます。

起きていること先に確かめる点
旧口座への振込が戻った口座の状態と、権限のある新たな受領先
貸主が死亡し相続人が分からない判明している連絡先と、支払相手が分からない経過
複数の人から別々に家賃を請求された相続関係や各請求の根拠、争いの内容

二人から請求されたという事情だけで、直ちに債権者不確知と決まるわけではありません。相続人全員が分かっていて取り分だけが争われている場合など、支払相手を判断できる場面とは分けて、法律専門家や供託所へ相談します。

過失なく支払相手が分からない場合は弁済供託を相談する

相談に持参する書類と封筒

弁済供託は、債務の目的である金銭等を供託所へ供託し、法律上の条件のもとで債務を消滅させる手続きです。相続の話し合いが終わるまで、法務局に気軽に家賃を預かってもらう制度ではありません。

民法494条は、弁済を提供しても受領を拒まれた場合、受領できない場合、過失なく債権者を確知できない場合等を定めています。貸主死亡後、相続人が誰か事実上分からない場合は、法務省が債権者不確知の例として案内しています。

調査した事実と不明な点を分けて伝える

契約書、死亡を知った経緯、管理会社への照会、新口座等の通知、振込が戻った記録をそろえます。「不安だから」だけでなく、誰が債権者か分からない理由を説明するためです。無過失に当たるかは、個別の事案で判断されます。

相続人が事実上不明の場合に、借主が必ず戸籍をすべて取り寄せ、相続放棄の有無まで調べ終えなければ供託できないとするものではありません。一方、手元にある権限の資料や既知の相続人を無視してよいという意味でもありません。現在分かる事実を示し、今回の原因を確かめてください。

契約の対象月と支払条件を供託の申請情報へ写す

合意の内容を確認する契約書類

法務省の現行入力例には、賃貸人が死亡し相続人が不明の場合の供託が掲載されています。物件、賃料の単位、支払日・場所、供託する賃料の対象月、供託の原因となる事実等を入力する構成です。

例えば、月額8万円、毎月末日払いの契約で、貸主死亡後の10月分を支払う相手が分からないと仮定します。8万円という金額だけでなく、どの契約の何月分で、なぜ相手を確知できないかを資料へ対応させます。この例は説明用で、供託の可否を保証するものではありません。

申請情報照合するもの
賃借の目的物契約書の物件表示と実際に借りている範囲
月額・支払日・支払場所契約と変更合意、従来の支払記録
供託する対象月と金額該当月の家賃、既払や未払の記録
被供託者と供託の原因死亡した貸主の情報、相続人等について判明した事実
契約の締結日等契約書と直近の合意更新の記録

法務省は、相続人が事実上不明の場合の被供託者を「何某の相続人」とする例を示しています。ただし、誰かの氏名が判明している場合や別の争いがある場合も、同じ表示でよいと決めず、具体的な事情に合う書き方を確認します。

供託所と法令欄を契約日から確認する

供託は、債務の履行地を管轄する供託所で行います。近い法務局ならどこでもよいとは限りません。オンラインで申請する場合も、申請先を選ぶ必要があります。

掲載された入力例は、原因となる賃貸借契約の締結日又は直近の合意更新日について、2020年3月31日以前か、4月1日以降かを分けています。現在の条文番号だけを旧契約の法令欄へ機械的に写さず、契約と更新の記録を示して適用を確かめます。

納付完了と通知を記録し次の月も確認する

取引記録を保管するファイルと資料

供託書を作っただけ、又は自分の口座に家賃を取り置いただけでは、供託したことにはなりません。供託所の案内に従って申請と納付を行い、供託書正本等の控え、納付した記録、供託番号と対象月を対応させます。

民法495条は、供託後の債権者への通知も定めています。相手が不明な場合を含め、供託通知の扱いや発送の方法を窓口へ確認してください。通知をしたつもりで、宛先や相手を推測して書かないようにします。

翌月以降の家賃も自動的に供託されるわけではありません。各月の支払期限と状況を確認し、相続人や清算人等の受領先が判明した後の支払方法を整理します。支払った月と供託した月を同じ一覧に残すと、二重払いの確認にも役立ちます。

ほかの相続手続きは、死亡後の役所手続き一覧も参考にしてください。家賃の支払先について争いがある場合は、契約と届いた通知を示して相談することが大切です。

契約や相続関係の資料を整理したい方は、相続サポートの相談窓口をご利用ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

大家が亡くなったら家賃を払わなくてよいですか

家賃の支払義務がなくなるわけではありません。管理会社や相続人の受領権限を確認し、過失なく相手が分からない場合等は弁済供託を相談します。

支払先が不安ならいつでも家賃を供託できますか

いつでもできるものではありません。受領拒否・受領不能・過失のない債権者不確知等、法定の原因に当たるかを具体的な事実から確認します。

家賃を一度供託すれば翌月以後も自動で済みますか

自動ではありません。対象月と金額を管理し、次の月の支払い、供託の必要性、受領先が判明した後の方法をそれぞれ確認してください。

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