相続放棄申述書の書き方 知った日と財産欄を記録から埋める

相続放棄申述書は、戸籍に記載された故人と自分の情報、相続の開始を知った日、放棄する理由、わかっている財産の状況を記入します。記入例の死亡日をそのまま「知った日」に写すのではなく、自分の経過を確認することが先です。
借金が多いときだけでなく、ほかの事情で放棄する場合にも使う書類です。ここでは成人が自分の申述書を準備する場合を中心に、記録から欄を埋め、提出後の確認に答えられる状態まで整理します。
- 申述先と期限を確認し、死亡日と知った日を分ける
- 戸籍・住民票・財産の資料を記入欄に対応させる
- 不明をゼロにせず、提出後の照会用に控えを残す
申述書を埋める前に裁判所と期限を決める

提出先は故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所
自分が今住んでいる場所とは限りません。故人の住民票除票や戸籍附票で最後の住所を確認し、裁判所の管轄一覧で提出先を調べます。相続人が複数いても、放棄する人ごとに申述書を作ります。
家族が書類を届けることと申述の代理は違う
本人の意思で完成させた申述書を、家族が窓口へ持参したり郵送したりすることと、本人に代わって申述などの手続きを行うことは別です。持参を頼みたい場合は、受け付ける裁判所へ、誰が何を届けるのかと必要な確認資料を事前に尋ねてください。
家族に書類を渡しただけで、放棄するかの判断や、家裁からの照会への回答まで家族へ任せられるわけではありません。任意の手続代理人は原則として弁護士で、弁護士以外には家裁の許可が必要な場合があります。未成年者等の法定代理では、利益相反による特別代理人の要否も別に確認します。
司法書士へ申述書の作成を依頼する場合も、本人に代わる手続代理まで含むものとは考えず、書類作成と提出後の対応を誰が担当するかを依頼時に確認しましょう。
出典:家事事件手続法22条 手続代理人の資格(2026年11月1日確認)
出典:裁判所 相続の放棄の申述 申述人(2026年11月1日確認)
相続開始を知った日と死亡日を分ける
申述の期間は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから原則3か月です。通常は死亡を知った時点が関わりますが、後順位の相続人になった場合などは、具体的な経過を確認します。請求書が届いた日を、誰でも新たな起算日にできるわけではありません。
死亡を知った連絡、先順位の放棄を知らされた日、債務の通知が届いた日を、封筒やメールとともに時系列にします。調査しても承認か放棄かを判断する資料がそろわない場合は、期間伸長の申立てを期限前に検討してください。
表面は戸籍と住民票を見ながら正確に書く

申述人と被相続人を取り違えない
申述人は放棄する本人、被相続人は亡くなった人です。氏名や本籍は戸籍、住所は住民票等を見ながら、略字や思い込みで埋めないようにします。申述書に印刷された欄や注意書きは、提出先から案内された最新書式で確認してください。
| 主な欄 | 記入前に見るもの | 確認する点 |
|---|---|---|
| 裁判所名 | 故人の最後の住所・管轄一覧 | 自分の住所地で決めない |
| 申述人 | 本人の戸籍・住所資料 | 氏名、本籍、生年月日、続柄 |
| 被相続人 | 故人の戸籍・住民票除票等 | 死亡日、本籍、最後の住所 |
| 申述の趣旨 | 裁判所の書式 | 印刷された趣旨と記入の指示 |
| 申述の理由・財産 | 連絡記録・請求書・財産資料 | 知った日と、確認できた事実 |
費用と添付書類は記入の準備と並行して確認する
裁判所の案内では、収入印紙は申述人一人につき800円です。ほかに連絡用の郵便切手が必要で、金額や組合せは提出先により異なります。戸籍等の必要範囲は故人との続柄で変わるため、共通書類だけで足りるとは考えないでください。
裏面は理由と財産の状況を事実に沿って書く

放棄する理由は事実に沿って選ぶ
裁判所の書式には、債務超過などの理由の選択肢があります。自分の事情に合うものを選び、必要なら補足します。借金を把握していないのに債務超過と断定するなど、受理されやすそうな理由へ事実を合わせないことが大切です。
わからない財産を「なし」としない
預金、土地・家屋、負債等は、資料で判明している範囲と未確認の範囲を分けます。不動産の存在自体が不明なのか、あることはわかるが面積・評価が不明なのかでも説明が違います。欄に収まらない場合の別紙の付け方は家裁へ確認します。
たとえば借金の通知が届いたものの残額を照会中なら、通知の金額と照会中の事実を記録します。自分で数字を丸めて確定額のように書くより、何がわかっているかを説明できることが重要です。
提出後の照会と追加資料に答える準備を残す

申述書を提出した時点と受理を分けて管理する
家裁は、書面で質問したり、直接事情を尋ねたり、追加資料を求めたりすることがあります。提出前に申述書一式の控えを取り、どの事実と資料で記入したかを残してください。質問への回答も、提出した内容とのつながりを確認して事実どおりに答えます。
申述書を出せば直ちに受理済みになるわけではありません。また、受理された後でも、放棄の民事上の有効性が争われる場合があります。故人の預金を使った、債務を返したなどの行為があれば、隠さず弁護士へ経過を伝えて判断を求めます。
最初の作業は、戸籍等の本人情報と、死亡・相続・債務を知った経過の二つの束を作ることです。期限が迫っているなら、全ての欄を自己判断で埋めきるより先に、家裁や専門家へ連絡してください。
関連する手続きは、相続放棄の必要書類 続柄別の戸籍一覧と申述書の準備でも確認できます。
よくある質問

相続開始を知った日は必ず死亡日を書きますか
必ず同じ日ではありません。自己のために相続が始まったことを知った経過を確認し、死亡日と区別して事実どおりに記載します。
財産が調べられない欄はゼロでよいですか
不明と、財産がないことは違います。判明している部分と調査中の部分を整理し、記入や別紙の方法を家裁へ確認してください。
申述書を出せば相続放棄は完了ですか
提出と受理は別です。家裁からの照会や追加資料の連絡に対応し、受理の通知等を確認して保管します。