相続税の税理士費用は控除できるか 登記や分割費用と比べる

相続税の申告のために相続人が税理士へ依頼した費用は、原則として相続税の債務控除には使えません。遺産の預金から払っていても、それだけで亡くなった人の債務になるわけではありません。
一方、亡くなった人の生前の業務に関する未払報酬などは、死亡時に存在する確実な債務かを確認する余地があります。支払先が税理士かどうかより、誰の何の業務で、いつ生じた費用かを分けます。
- 相続税申告の税理士報酬を控除できない理由
- 登記・遺産分割の費用と故人の未払債務の区分
- 葬式費用を別に確認し請求明細を整理する方法
相続税申告の税理士費用は故人の債務と分ける

債務控除の出発点は、亡くなったときに現に存在した故人の債務で、確実と認められるものかどうかです。相続税申告の依頼で生じる税理士報酬は、相続人自身が申告義務を果たすための費用であり、この条件とは異なります。
死亡日に存在する確実な債務かを確かめる
「親の相続のために必要だった」「親の預金で支払った」という事情は、費用の発生原因を変えません。死亡前に相続税申告の相談を始めていた場合も、契約名や請求日だけで故人の債務と判断せず、委任内容と実際の業務を確認します。
登記や遺産分割の報酬も業務内容で分類する

相続後の名義変更や家族の遺産分割のために相続人が依頼した司法書士・弁護士等の報酬も、通常は故人の債務ではありません。遺産から精算する家族の合意があっても、相続税で差し引けるとは限りません。
一枚の請求書でも内訳を確認する
| 費用の内容 | 相続税の主な扱い | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 相続税申告の税理士報酬 | 原則として債務控除不可 | 委任契約・業務明細 |
| 相続登記や遺産分割の報酬 | 通常は故人の債務ではない | 登記・協議等の依頼内容 |
| 故人の生前業務に対する未払報酬 | 死亡時に存在する確実な債務か判定 | 生前の契約・業務履行・未払額 |
| 故人に課される所得税等 | 税法の条件により債務控除を確認 | 準確定申告等の税額資料 |
故人の事業の税務顧問料と、相続人の相続税申告料が同じ税理士から請求される場合は、内訳を分けてもらいます。申告書を作る費用と、故人本人に課される税金も同じではありません。
葬式費用は別の控除条件で判定する

葬式費用は、死亡時に存在する債務とは別に、一定の範囲で相続税の計算上差し引ける費用です。この扱いがあるからといって、相続後に必要となった支出のすべてへ広げることはできません。
墓や香典返しは葬式費用に含まれない
火葬、埋葬、葬儀に伴う読経料等と、墓地・墓石の購入、香典返し、法要等を区分します。一つの葬儀の請求書の中でも、対象外の項目があれば分けて集計します。
控除できるのは課税価格から費用を差し引くという意味であり、費用の全額が相続税額から戻るわけではありません。申告費用、葬式費用、納める税金を同じ「相続の経費」という欄にまとめないようにします。
請求書は業務内容と最終負担者で整理する

請求先、支払日、業務内容、依頼者、死亡時の未払額、最後に負担する人を一覧にします。立替払いがある場合は精算の記録も添え、同じ債務や費用を相続人間で二重に計上しないようにします。
支払日と故人の債務発生時を取り違えない
死亡後に支払ったから全部対象外というわけでも、死亡前に契約したから全部対象というわけでもありません。故人が生前に受けた役務への未払金か、相続人のための後の手続費用かを、契約と業務実績で確認します。
所得税の必要経費や、将来不動産を売るときの取得費となるかは、相続税の債務控除とは別の問題です。本稿の「控除できない」という結論を、他の税目へ一律に広げないでください。まず税理士へ請求書の業務内訳を示すところから始めます。
関連する確認:相続税の債務控除の対象一覧 借入金や未払金を差し引く条件。
よくある質問

遺産の預金から税理士費用を払えば控除できますか
支払元が遺産でも、相続税申告のための税理士報酬は原則として債務控除できません。故人の債務かどうかは費用の発生原因で確認します。
亡くなる前の顧問料が未払いならどうなりますか
故人の生前の業務に関し、死亡時に現に存在する確実な債務かを確認します。相続税申告の報酬と混ざっている場合は内訳を分けます。
登記費用や弁護士報酬も控除できませんか
相続後に相続人が依頼した登記や遺産分割等の報酬は、通常は故人の債務ではありません。故人自身の未払業務がある場合は、内容を分けて判定します。