遺言書に使う印鑑は実印か 認印と本人押印の確認点

遺言の原本と照合用の資料を重ねて確認するイメージ

自筆証書遺言に押す印は、実印に限られません。認印を使うこともできます。ただし、印があれば誰が作った書面でもよいわけではなく、本人が自分の意思で作成したこと、本文や財産目録が法定の方式を満たすことが必要です。

2026年10月時点では、押印を求める現行の民法968条に沿って作成します。押印を任意にする改正が公布されたというニュースと、いま使える方式を分けて確認してください。

この記事でわかること
  • 実印か認印かだけでなく本人の作成と押印を確かめる
  • 自書でない財産目録は毎葉の署名と押印を点検する
  • 公布済みでも施行前の改正を現在の作成へ先取りしない
目次

自筆証書遺言の押印は実印に限られない

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

認印でもよいが本人の意思を残す

民法968条は、自筆証書遺言に署名し、印を押すことを定めていますが、実印だけを指定してはいません。実印を使っても、本文の自書、日付、氏名などの不足が補われるわけではありません。

印を選ぶときの確認
選択考え方
実印使えるが、登録印だけで遺言全体の有効性が保証されるわけではない
認印実印に限られない。誰の意思で押されたかが争点にならないよう本人が扱う
スタンプ式など印影の変化や本人のものかという疑問を避けるため、通常の印鑑を用意する方が無難

公正証書の本人確認と混同しない

公正証書遺言で公証人へ示す本人確認資料と、自筆証書遺言の方式は別です。公正証書の説明で印鑑登録証明書を見たからといって、手書きの遺言にも必ず同じ資料を添付するという意味ではありません。

本人が作成した書面へ本人の意思で押す

合意の内容を確認する契約書類

家族が代わりに押して完成させない

本人が選んだ印を使う場合でも、家族が保管中の紙へ無断で押したり、本人の死亡後に足したりしてはいけません。本人が作成した原本と、家族が整えた書類を混ぜないことが必要です。

本人が自分で印を扱えない場合、家族がどこまで補助すればよいかは個別の問題になります。印を押す動作だけを代行して済ませず、本人の意思と作成状況を確認できる方法を専門家へ相談します。

本人が押せないときは作成方法を見直す

手が動きにくいときは、押印だけでなく本文を自書できるかも確かめます。公正証書遺言など別の方式も含め、本人が意思を表せる間に準備します。家族による代筆の本文に本人の印だけを足しても、通常の自筆証書遺言の自書要件は満たせません。

本文と自書によらない財産目録の押印を点検する

取引記録を保管するファイルと資料

目録は毎葉の署名押印と両面を確認する

本文と別紙にした財産目録は、パソコンで作成した一覧や登記事項証明書・通帳の写しを利用できます。その代わり、自書によらない目録の毎葉に本人が署名し、印を押します。自書によらない記載が両面にある場合は、両面に必要です。

原本を点検する箇所
書面押印等の確認
遺言本文本人の自書による本文・日付・氏名と押印を確認する
片面だけに記載した非自書の目録各葉に署名押印する。法務省案内では表面・裏面のどちらでもよい
両面に非自書の記載がある目録両面に署名押印する
本文や目録の訂正箇所訂正の場所の指示、変更の付記・署名、変更箇所への押印という方式も確認する

本文と目録で同じ印を使わなければならないわけではありません。しかし、目録への署名押印を本文の印だけで代用することはできません。訂正も、印を押し直すだけで済ませないでください。

改正の公布と施行を分けて最終確認する

支払内容を確かめる領収書と計算道具

いま作成する日の法令と法務局の案内を使う

2026年6月に公布された改正には、自筆証書遺言の押印を任意にする見直しが含まれます。法務省は、この部分の施行日を公布から1年以内の政令で定める日と案内しています。公布と同日に全ての変更が使えるわけではありません。

2026年10月20日更新の法務局の作成案内でも、現在の方式として署名・押印が示されています。いま作る原本は現行方式で整え、後日作り直す場合は、その作成日の公式案内を読み直します。

関連する手順は、遺言書の書き方 自筆証書の記載例と無効を防ぐ確認点で確認できます。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

遺言書の印鑑は実印でないと無効ですか。

自筆証書遺言の印は実印に限られません。認印でも、本人の作成・押印や自書、日付、署名などの方式を確認する必要があります。

財産目録には本文と同じ印を押しますか。

同じ印であることまでは求められません。ただし、自書によらない目録の毎葉への本人の署名押印は必要で、両面に非自書の記載があれば両面に行います。

押印不要の改正が出たので、いまは印なしでよいですか。

2026年10月時点の作成は、押印を求める現行方式で確認します。公布された改正と施行日を分け、作成する日の法務省・法務局の案内を確かめてください。

まず本文と財産目録を別々に並べ、本人が自書した箇所と、署名押印を点検する箇所を確かめてください。本人が自分で作成できない事情があるなら、原本を家族が完成させる前に作成方法を相談します。

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