株式の贈与契約書に印紙は必要か 記載内容と名義変更の確認

株式だけを無償で贈与する契約書は、原則として収入印紙が不要です。贈与する株の価額が大きいから、契約書の印紙税も高くなるという仕組みではありません。
ただし、文書に株式以外の不動産の譲渡や金銭貸借なども盛り込む場合は、別の課税事項がないかを確認します。印紙の要否と、贈与を成立・実行させる手続き、贈与税の申告は分けて考える必要があります。
- 株式のみの贈与契約書は原則印紙不要だが文書全体の内容で判断する
- 契約書には会社名や株式数と贈る側・受け取る側の合意を残す
- 印紙不要でも証券の移管や名義手続きと贈与税の確認は必要になる
株式だけの贈与契約書は原則として収入印紙が不要

印紙税がかかるのは、法律で定められた課税文書に当たるものです。国税庁の一覧にある不動産等の譲渡契約書などと違い、株式のみの贈与に関する契約書は、原則としてその対象に含まれません。
理由は「贈与だから無償」という点だけではありません。不動産の贈与契約書は、対価がない場合も不動産譲渡に関する課税文書となるため、株式と同じ扱いにしないようにします。
| 文書に書かれた内容 | 印紙税の考え方 |
|---|---|
| 株式だけの無償の贈与 | 原則として課税文書に該当せず、収入印紙は不要 |
| 株式と不動産の贈与を一つの文書に記載 | 不動産の譲渡などの課税事項を含むかを確認する |
| 贈与のほかに貸付け・債務引受け等を記載 | 株式贈与という表題だけで判断せず、個々の内容を確認する |
ここでいう契約書と、会社が発行する株券そのものの課税は別の話です。また、表題を「覚書」や「確認書」に変えても、内容による印紙税の判断が変わるわけではありません。複数の取引を一枚にまとめた場合は、その全文を税務署等へ示して確認します。
会社名と株式数を特定し贈与を受ける意思を記録する

株式の贈与では、「親から子へ財産を渡す」という記載だけでは対象が分かりません。どの会社の、どの種類の株式を、何株渡すのかを、保有明細や株主名簿などと合わせて特定します。
| 契約書で確認する項目 | 記載内容を確かめる資料 |
|---|---|
| 贈る人と受け取る人 | 氏名・住所と、双方が内容を理解して合意していること |
| 対象となる株式 | 発行会社名、銘柄コード、株式の種類、株式数など |
| 無償で渡す合意 | 贈る意思と受け取る意思が対応しているか |
| 実行日と手続きの分担 | いつ、どの口座間で移管するか、会社の承認などが必要か |
| 作成日と合意の記録 | 署名等と、各当事者が保管する控え |
例えば、親が同じ会社の株式を複数の口座に持っている場合は、契約書の株数と、実際に移管する口座・株数が対応するようにします。配当を受け取る権利や実行時期が問題になる場合も、日付だけを形式的に書いて済ませないようにします。
受け取る人が契約内容を理解できない状態や、未成年者が当事者となる場合には、誰がどの立場で合意できるかという別の確認が必要です。家族が本人の署名を代わりに書き、後から契約書を整える方法では解決しません。
上場株は証券会社へ非上場株は発行会社へ手順を確認する

契約書を作成しても、証券口座や会社側の記録が自動的に書き換わるわけではありません。上場株式と非上場株式では、契約を実行する窓口と必要な確認が異なります。
上場株式は証券会社の異名義移管の条件を確認する
証券会社には、贈る人の口座から受け取る人の口座へ移す手続きがあります。対象銘柄、双方の口座の種類、移管できる株数、所定書類などを確認してから、契約書の実行日や手順を決めます。
同じ証券会社の口座であるか、別の会社へ移すかによって手続きが変わることもあります。契約書の写しだけで必ず移管できるとは考えず、贈与目的の移管であることを証券会社に伝えてください。
非上場株式は譲渡制限と株主名簿を確認する
発行会社の定款や株式の内容によっては、譲渡の承認が必要です。株券を発行する会社かどうか、株主名簿の書換えに何を提出するかも、発行会社へ確認します。契約書に押印した日だけをもとに、すべての権利移転が完了したと決めないことが大切です。
保管するのは契約書だけでなく、移管の完了通知、会社の承認書類、名簿書換えの記録などです。後から「契約した株数と実際の保有が違う」とならないよう、双方の記録を照合します。
印紙税がかからなくても贈与税の評価と申告を確認する

収入印紙が不要という結論は、その贈与に贈与税がかからないという意味ではありません。贈与税は、受け取った財産の価額、ほかの贈与、適用する課税方式などをもとに別に確認します。
上場株式には国税庁が示す評価方法があり、契約書に自由に書いた額をそのまま使うものではありません。取引相場のない株式も、会社の状況や取得する株主の立場などに応じて評価方法が異なります。
| 残しておく記録 | 確かめられること |
|---|---|
| 贈与契約書 | 当事者の合意、対象株式、実行条件 |
| 移管・名簿書換え等の記録 | 実際に行った手続きと株数 |
| 評価の資料 | 財産を取得した時点と税務上の評価額 |
| その年のほかの贈与の記録 | 今回の株式だけで申告要否を判断していないか |
非上場株式の評価資料については、非上場株式の相続税評価と必要資料も参考になります。贈与の時期に応じた適用を税理士等へ確認し、印紙の確認だけで贈与の準備を終えないようにしてください。
よくある質問

株式の価額が高額でも贈与契約書の印紙は不要ですか
株式だけの無償贈与に関する契約書であれば、原則として株式の価額にかかわらず収入印紙は不要です。不動産の譲渡など別の課税事項を含む文書は、全文の内容で確認します。
印紙が不要なら贈与税の申告も不要ですか
別の判断です。印紙税の対象でなくても、受け取った財産の評価額やほかの贈与、課税方式によって贈与税の申告が必要になることがあります。
契約書に署名すれば株式の名義も変更されますか
署名だけで証券口座や株主名簿の記録が自動で変わるわけではありません。上場株式は証券会社、非上場株式は発行会社へ、移管や譲渡承認、名簿書換えなどの手順を確認します。
契約書を書く前に、贈与する会社名・種類・株数を保有資料と照合し、証券会社や発行会社へ実行の手順を聞いてください。契約、実際の移管、税務評価を対応させて残すことが、後の確認に役立ちます。
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