相続した不動産の名義変更費用 登録免許税と司法書士報酬

相続した実家の名義変更にかかる費用は、登録免許税、戸籍などの取得実費、司法書士へ頼む場合の報酬に分かれます。広告にある申請報酬だけを見て、支払総額だと判断しないことが大切です。
登録免許税は、原則として不動産の固定資産評価額を基に計算します。実家の売却査定額や、固定資産税の納税額をそのまま使うわけではありません。
まずは土地と建物の数、評価額、家族の相続関係を確認しましょう。自分で進める場合と依頼する場合を、同じ作業範囲で比較すると、必要な予算が分かりやすくなります。
- 登録免許税と書類実費や専門家報酬の内訳
- 評価額を使う計算と土地の免税措置
- 追加費用を確認する見積もりと依頼範囲の比べ方
名義変更費用は税金と実費と依頼料に分かれる

名義変更の総額は、不動産の価額と数、手続きの複雑さ、依頼する業務で変わります。相続一件なら全国一律何万円、という料金ではありません。
| 費用 | 主に金額を決めるもの | 自分で申請する場合 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 不動産の評価額と登記の種類や免税 | 原則として必要 |
| 書類等の実費 | 戸籍や登記資料の通数と取得方法 | 必要な取得分は負担 |
| 司法書士の報酬 | 調査や協議書作成と申請の依頼範囲 | 依頼しない業務の報酬は不要 |
報酬と実費を同じ欄にまとめない
「相続登記6万円」と表示されていても、その中に登録免許税が含まれるとは限りません。消費税込みか、戸籍の取得や協議書作成を含むかでも比較結果は変わります。
請求書や見積書を見たら、国へ納める税金、役所等の手数料、専門家へ払う報酬を分けます。家族へ費用を説明する際も、この三つを別々に示すと理由が伝わります。
相続税の申告費用は別の手続き
実家の名義を変える相続登記と、遺産全体にかかる相続税の申告は別です。税理士の申告報酬まで登記の見積もりに含まれているとは限りません。
相続税の確認が必要なら、父が亡くなったときの相続税も別に整理します。司法書士と税理士の作業を分け、二重に依頼していないかも確認してください。
登録免許税は固定資産の評価額を基に計算する

相続による土地や建物の所有権移転の登録免許税は、原則として不動産の価額の0.4%です。価額は、市区町村の固定資産課税台帳に登録された価格がある場合、原則その価格を使います。
固定資産税の課税標準額と評価額を取り違えない
固定資産税の明細には、価格や評価額の欄のほか、税額計算用に特例等を反映した課税標準額の欄があります。住宅用地として低くなった課税標準を、登記の価額へそのまま転記しないようにします。
登記に使う評価額は、原則として申請する年度のものを確認します。亡くなった年の評価額を使い続けるわけではありません。課税台帳に価格がない不動産は、管轄の登記所へ扱いを確認します。
土地と建物の仮定例で税額を確かめる
例として、相続登記をする土地の評価額が1500万円、建物が500万円で、全体を一人が相続し、免税に該当しないとします。価額の合計2000万円に0.4%を掛けると、登録免許税は8万円です。
この8万円は税金の例で、戸籍や司法書士報酬を含む総額ではありません。共有持分のみの取得や、別の法務局への申請がある場合などは、実際の対象と申請の単位で計算します。課税標準と税額の端数処理も確認してください。
低額の土地と未登記の数次相続には免税がある
現行の案内では、2027年3月31日まで、課税標準となる価額が100万円以下の土地の相続移転等に、免税措置があります。建物にも当然に同じ免税を使えるわけではありません。
相続で土地を取得した人が登記前に亡くなった場合、その亡くなった人を名義人とするための一定の登記にも免税措置があります。その後の相続人への移転まで全て免税になる制度とは区別します。
戸籍や不動産資料の取得費を見込む

登記には、相続関係と不動産の情報を確認できる資料が必要です。手数料が一通数百円でも、転籍が多い、相続人が多い、相続が何代も続いている場合には通数が増えます。
戸籍と住所の資料は必要範囲を確認して集める
戸籍全部事項証明書等は一般に一通450円、除籍や改製原戸籍謄本は一通750円です。住民票や戸籍の附票、評価証明等は自治体と必要な証明の内容で手数料を確認します。
たとえば戸籍2通と除籍等4通なら、その部分だけで3900円という仮定計算になります。家族一人分と相続一件分は同じではなく、銀行の手続きにも原本を使うなら返却の取扱いも調べます。
登記資料は取得方法によって料金が変わる
登記事項証明書、登記情報、公図などは用途が異なります。窓口やオンライン、郵送等で手数料が違うものもあるため、古い一律料金をそのまま予算に使わないでください。
不動産の所在や持分を確認する資料と、申請に添付する資料は分けます。実家の住所しか分からない場合は、登記上の地番や家屋番号を確かめてから取得すると、別の土地の証明を請求する誤りを減らせます。
郵送費や原本返却のための費用、現地確認の交通費も実費です。依頼時には、それらが概算なのか実額精算なのかも見積もりで確かめます。
司法書士報酬は業務範囲と案件の複雑さで変わる

司法書士の報酬に全国一律の公定額はありません。安い高いだけで比較せず、どの作業をどこまで引き受けてもらえるかを見ます。
公表料金は含まれる作業と一緒に読む
今回確認した公表例では、柴崎事務所は一管轄一申請の標準例を基本報酬6万6000円税込みとし、戸籍収集10通までや協議書作成等を含む案内です。会沢事務所の表は所有権移転8万8000円からと、協議書作成などの項目を分けています。
これらは各事務所の公表例で、全国相場を調査した統計ではありません。一方の申請報酬と、他方の作業一式の料金を、そのまま同じものとして比較しないようにします。
追加される条件を具体的に質問する
不動産の数、法務局の管轄数、相続人の人数、数次相続、戸籍の取得通数などで加算される場合があります。申請書作成以外に、相続人調査、協議書、一覧図、完了後の書類郵送を含むかも確認します。
依頼前に「実家の土地一筆と建物一棟、相続人は母と子2人、父名義のまま」といった状況を伝えます。取得資料が足りず追加相続が判明した場合の変更見積もりも尋ねておくと、後の負担を理解しやすくなります。
自分で進める範囲と負担を比べる

自分で申請すれば、依頼しない業務の司法書士報酬はかかりません。ただし、免税がない場合の登録免許税や書類取得費は、本人申請でも必要です。
節約できる額と必要な時間を比べる
先ほどの評価額2000万円の例なら、自分で申請しても原則8万円の登録免許税は残ります。差が生まれるのは、主に専門家へ任せる作業の報酬です。
その代わり、戸籍の確認、相続関係の確定、協議書と申請書の作成、補正への対応を自分で進めます。平日に連絡を取れるか、遠方の資料取得があるかも、費用と一緒に判断してください。
複雑な相続を費用だけで抱え込まない
名義が祖父のまま、相続人に外国籍や所在不明の人がいる、遺言の内容が曖昧、といった場合は確認が増えます。書類を一枚直せば済むと考えず、途中からでも専門家へ資料を示します。
法務局の登記手続案内は、申請手続きの説明を受ける窓口です。家族の争いを解決したり、どの分割案が最善か判断したりする代行サービスではないため、相談したい内容を分けて使いましょう。
登記後の支出も含めて予算を用意する

予算を立てる際は、登記費用だけでなく、取得後の管理と税金を別欄に置きます。名義変更を終えた後も、実家を持ち続ける負担は続きます。
登記後に届く税金と管理費を確認する
相続による通常の取得では不動産取得税は非課税の扱いですが、固定資産税などの継続負担は別です。相続以外の遺贈などは取得者や取得原因によって扱いが変わるため、同じにしないようにします。
空き家なら保険、庭の管理、修繕、交通費なども必要です。税金を計算する価額と、実際の売却査定や解体見積もりは別の資料として用意します。
取得者と費用の支払い方を家族で共有する
母が実家を取得するなら、登記費用を誰が支払い、あとで精算するかを決めて記録します。預金の分け方まで含めた案を考えるときは、母が全部相続する場合の生活資金と二次相続も判断材料になります。
まずは不動産一覧と申請年度の評価額、家族関係を用意し、税金の概算と同じ業務範囲の見積もりを並べてください。総額の内訳が分かれば、自分で進める範囲と依頼する範囲を具体的に選べます。
よくある質問

相続登記を自分ですれば費用は無料ですか
無料ではありません。司法書士へ依頼しない分の報酬は省けますが、免税に該当しなければ登録免許税や必要書類の取得実費はかかります。
登録免許税は実家の売却価格で計算しますか
原則として固定資産課税台帳の価格等を基に計算します。売却査定額や住宅用地特例後の課税標準額と取り違えないようにしてください。
評価額100万円以下なら建物も登録免許税が免除されますか
土地の少額免税措置を、建物にもそのまま適用はできません。対象となる土地と登記、適用期限を分けて確認します。