法人版事業承継税制の特例 期限と要件

自社株を子へ渡す税負担を検討するとき、法人版事業承継税制の特例は有力な選択肢になります。ただし、株式を渡した時点で税金が必ずなくなる制度ではなく、一定の条件のもとで納税を猶予し、その後の死亡等で免除を受ける仕組みです。
期限は二つあります。2026年10月15日の確認時点で、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、特例対象となる贈与や相続等の期限は2027年12月31日です。古い解説の期限と混同せず、会社と後継者の要件から準備します。
- 計画の提出と実際の承継に設けられた二つの期限
- 会社と後継者が確認する要件や申告と担保
- 承継後も続く届出と猶予税額を納める場合
特例は対象株式の税金を猶予し一定の場合に免除する

対象は、一定の非上場中小企業の株式等を後継者が贈与や相続等で取得する場合です。所定の認定と申告、担保提供等を経て、対象株式に対応する贈与税や相続税の納税が猶予されます。
全株式と100パーセントは家族全体の税金ゼロではない
特例では対象株数の制限が撤廃され、対象となる税額の猶予割合が100%になっています。しかし現預金や不動産など株式以外の遺産まで全て猶予されるわけではありません。
後継者の死亡等の免除要件に当たるまでは、猶予税額が残ります。株式売却や要件違反で納付が必要になることがあるため、将来の経営方針と一緒に検討します。
一般措置と期限や承継人数を分ける
一般措置には特例のような適用期限がありませんが、対象株数や相続税の猶予割合、後継者の人数等が異なります。特例を使えない場合も同じ効果が得られるという関係ではありません。
特例では複数の株主から最大3人の後継者への承継が可能です。ただし人数を増やせば自由な株式配分ができるわけではなく、各人の保有割合や代表権などの条件を確かめます。
計画提出は2027年9月末で承継期限は同年12月末になる

国税庁の2026年7月のパンフレットでは、特例承継計画の提出期限は2027年9月30日、対象の贈与や相続等は2027年12月31日までとされています。2026年3月末という以前の計画期限を現在の期限として使わないでください。
計画の確認だけでは納税猶予は始まらない
| 段階 | 主な確認先と内容 |
|---|---|
| 特例承継計画 | 認定支援機関の所見を付け都道府県へ提出し確認 |
| 実際の承継 | 会社と後継者等の要件を満たして株式を取得 |
| 円滑化法の認定 | 取得後の所定期限までに都道府県へ申請 |
| 税務申告 | 期限内申告と必要書類及び担保提供 |
計画を出すだけで贈与や相続の申告が不要になるわけではありません。計画、認定、税務申告を別々の工程として、誰がいつまでに担当するかを決めます。
認定申請の期限を税務申告と同じにしない
贈与の場合は原則として贈与を受けた年の翌年1月15日までに認定申請が必要です。贈与税の通常の申告期限である翌年3月15日を待ってから認定を相談するのでは間に合わないことがあります。
相続の場合も認定の申請期限と相続税申告期限を分けて管理します。既に贈与や死亡があった場合は、その日付を担当者へ最初に伝え、計画を提出できる時期も個別に確認してください。
会社と後継者と先代経営者を別々に確認する

会社には非上場の中小企業者等であることが求められ、一定の資産管理会社などは原則として対象外です。会社規模だけで決めず、保有資産や収入の内訳も確認します。
贈与時の後継者には代表権と株式保有等が必要になる
贈与で承継する後継者は、原則として18歳以上で、贈与時の代表権や所定の議決権等の条件を満たす必要があります。特例の役員就任要件は、現行では贈与の直前に役員であることとされ、一般措置の継続3年以上とは区別します。
先代経営者についても、贈与時には代表権を有しないこと等を確認します。名義上の株主だけを変更して親が代表を続ける計画では、要件を満たさないことがあります。
株主名簿と決算書から適用できる株式を調べる
用意する資料は、株主名簿、定款、登記事項証明書、決算書と税務申告書、後継者の経歴、雇用関係の資料等です。議決権の制限がある種類株式等は対象を別に確認します。
後継者の兄弟姉妹への分け方や遺留分も、税制の適用とは別の課題です。家族が承継に納得しているかと、税務要件を満たすかを並行して確認してください。
承継後は株式保有と届出を続ける必要がある

申告後も、対象株式の保有や所定の経営継続等の条件があります。継続届出書が出ていない場合には、猶予税額と利子税の納付につながるため、申告を終えた後の管理も必要です。
都道府県への報告と税務署への届出を管理する
税務署への継続届出は、原則として承継期間中は毎年、その期間経過後は3年ごとです。都道府県への報告もあるため、提出先と対象期間、添付資料を分けて一覧にします。
特例では雇用が平均8割を下回った場合の要件が弾力化されています。しかし、理由の報告等まで不要という意味ではありません。雇用を減らす予定があるなら、変更前に担当者へ確認します。
売却や廃業の可能性も含めて制度を選ぶ
対象株式を売却する、代表を交代する、資産管理会社に当たる状態になるなどの変化で、猶予の扱いが変わる場合があります。5年経過後なら全ての条件がなくなるという理解は避けてください。
会社を子が長く続ける計画と、近い将来に売却する計画では、適した方法が違います。適用時の税額、継続管理の費用、納付が必要になる場合の資金まで試算して判断します。
子が会社を継ぐ意思や家族の希望を共有する段階では、相続の話し合いの進め方も参考になります。税制の手続きとは別に、他の家族へ残す財産も話し合っておきます。
よくある質問

特例承継計画の提出期限はいつですか
2026年10月15日の確認時点では2027年9月30日です。対象となる贈与や相続等の期限である2027年12月31日とは別に管理します。
特例を使えば相続税が全て免除されますか
全てではありません。対象株式に対応する税額の納税猶予であり、その後の死亡等による免除には別の要件があります。株式以外の遺産も別に計算します。
株式を渡した後の手続きは不要ですか
不要にはなりません。株式保有等の要件に加え、都道府県への報告や税務署への継続届出などを管理する必要があります。