清算中の会社の株式評価 残余財産の見込額から求める

証券の資料を別の受取口座のフォルダーへ移すイメージ

父の会社が清算中に父が亡くなった場合、会社の帳簿純資産だけで株式価額を決めるとは限りません。清算後に株主が受け取る見込額と、分配までの期間を分ける評価が原則です。

会社全体の資産、相続した株式に対応する分配、すでに受け取った預金を区別しましょう。長期間分配がなく、見込みを算定しにくい会社の別の取扱いも確認します。

この記事でわかること
  • 死亡日に清算中かと株主に残る財産を読む
  • 各回の分配額を複利現価で現在の価額へ直す
  • 長期無分配の別の取扱いと二重計上を確かめる
目次

死亡日に清算中かを分配の状況と合わせて読む

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

財産評価基本通達189の6は、清算中の会社の株式について、清算の結果として分配を受ける見込みの金額を基礎とします。営業を休んでいるだけの会社と、解散して清算中の会社では評価の前提が違います。登記事項と清算の実際の進行を両方確認してください。

死亡前にすでに分配されたお金は、残っていれば故人の預金等として調べます。同じ分配を、これから株式に基づいて受け取る額へ再び入れないようにします。清算結了後に残る具体的な債権など、株式と異なる財産を取得した疑いがあれば、その内容も別に確認します。

会社全体の残金と故人の株式分を分ける

会社に預金や不動産があっても、それがすべて株主へ渡るとは限りません。清算人へ、資産の換価見込、債務・費用・税金、株主別の分配予定を尋ねます。会社全体の分配額ではなく、故人の保有株式に対応する見込額を計算に使うことが重要です。

分配ごとに複利現価率を掛けて合計する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

分配見込額には、課税時期から分配を受けると見込まれる日までの期間に応ずる基準年利率による複利現価率を掛けます。これは将来受け取るお金を、相続開始時点の価額へ直す計算です。分配が二回以上なら、それぞれの日までの期間で計算して合計します。

期間が1年未満のとき、又は1年未満の端数があるときは、切り上げて1年として扱います。次は、相続した株式に対応する見込分配だけを示した仮例です。係数0.98と0.96は説明用の仮定で、特定の月に公表された実際の係数ではありません。

各回の見込分配課税時期からの期間と扱い仮定係数による現在価額
1000万円6か月後なので1年1000万円×0.98=980万円
2000万円1年4か月後なので2年2000万円×0.96=1920万円
合計3000万円各回を別々に計算980万円+1920万円=2900万円

半年だから自分で0.5年の率を作る、合計額3000万円すべてに2年の率を掛ける、といった計算はしません。実際の申告では、課税時期に応じる基準年利率と複利現価率を、適切な期間の欄から選びます。

年金現価率や残存月数をそのまま使わない

使うのは、各回のまとまった分配に対応する複利現価率です。一定額を毎年受け取る場合の年金現価率と同じ欄ではありません。分配見込額に費用等がすでに反映されている場合は、同じ費用をもう一度引かないよう、清算人の見込表と評価の計算を対応させます。

未確定の残余財産は根拠と見込日を清算人へ照会する

取引記録を保管するファイルと資料

分配額がまだ決まっていないことと、株式の価額がないことは別です。清算貸借対照表、資産の処分予定、残る債務・費用、分配の時期、既に分配した明細を集め、課税時期に何を根拠として見込んだかを残します。

長期間分配せず見込みを算定できない会社は別に評価する

国税庁の質疑応答は、分配を行わず長期にわたり清算中のままで、分配見込額や分配までの期間の算定が困難と認められる会社について、相続税評価額による1株当たり純資産価額で評価するとしています。遠い将来の分配日を推測して、限りなく割り引くという扱いではありません。

一時的に資料が足りない場合と、この照会のように長期間分配がなく見込みの算定が困難な場合を分け、清算の経過を評価担当へ説明してください。解散から何年たてば全国一律にこの扱いになる、という年数を自己流で作らないことも大切です。

後日の実分配と申告時の見込みを保存する

後日の実分配が見込みと違った場合も、差額だけで当初申告を自動的に直すとは限りません。死亡時の評価根拠と、後から判明した事情を分けて税理士へ示し、更正等の要否を検討します。入金日と対象株式を記録すると、相続財産の預金との重複も確認しやすくなります。

制度の基本は、非上場株式の相続税評価 方法と必要資料も参照してください。

財産や申告について相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

清算中の会社株式は帳簿の純資産額で評価しますか

原則は清算による分配見込額を時期に応じた複利現価に直して評価します。ただし、長期無分配で見込額や期間の算定が困難な照会事実では、相続税評価額による純資産価額を用いる取扱いがあります。

分配まで6か月なら半年の現価率を使いますか

189の6では、1年未満の期間は切り上げて1年として扱います。実際には課税時期の基準年利率による複利現価率の、適切な期間の欄を確認します。

分配額が未定なら株式をゼロで申告できますか

未定というだけではゼロと決まりません。清算の見込額・時期と資料を確認し、長期無分配で算定困難な場合の別の取扱いも含めて評価担当へ相談します。

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