著作権の相続税評価 三年分の印税と収入見込みを照合する

取引記録を保管するファイルと資料

親の本や音楽から印税が続いている場合、相続税では、死亡時の著作権そのものの価値を調べます。入金済みの預金や、すでに発生した未収印税だけを確認して終わるわけではありません。

計算の基本は、前年以前3年間の印税収入の平均額に0.5と評価倍率を掛ける方法です。どの3年を使い、誰に今後の収入期間を確認するかを、明細と一緒に整理しましょう。

この記事でわかること
  • 著作権と死亡時の未収印税を別の欄にする
  • 前年以前三年間の印税収入から年平均を作る
  • 将来の収入期間と公式倍率の根拠を対応させる
目次

著作権の評価と未収印税の残高を別々にする

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

最初に、故人が経済的な権利を持っていた作品と利用契約を確認します。会社へ譲渡済みの著作権、本人に残る著作権、すでに支払われた印税を、契約先と明細で分けます。ここでは、故人が保有していた著作権の税評価を扱います。

著作権の評価は将来の収入を見込む権利の価額であり、死亡前に確定した未収印税の債権残高とは別です。支払明細の対象期間、支払条件、死亡日、入金日を確認し、同じ金額を権利と未収金へ重ねないようにします。

著作者ごとか作品ごとか評価の単位を決める

財産評価基本通達148は、原則として著作者の別に一括して計算します。個々の著作物の著作権を評価する場合は、その作品ごとに同じ算式を使います。出版社ごとに資料が分かれていることと、必ず出版社ごとに別の権利を評価することは同じではありません。

一括する範囲と、作品単位で計算する範囲を先にそろえると、複数の出版社からの収入を漏らしたり、一つの作品を二度数えたりする誤りを防げます。

死亡年を含めず前年以前三年の収入を並べる

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

2026年に相続が始まった場合、平均に使うのは2023年、2024年、2025年の印税収入です。死亡日から遡った36か月でも、死亡年を含めた3年でもありません。

対象年の仮定確認した印税収入主な確認資料
2023年120万円各契約先の支払明細と所得の記録
2024年90万円同じ評価範囲の支払明細
2025年60万円追加契約や終了した契約の有無
3年間の合計と平均270万円÷3=90万円三年とも同じ範囲で集計できたか

この例では年平均90万円です。まだ契約先の明細がそろっていない年を、収入ゼロとして平均を下げるのは避けてください。前年の確定申告書と突き合わせ、差がある場合はその内訳を確認します。

源泉徴収後の振込額だけで平均を作らない

通帳の手取額は、印税収入から源泉徴収税額等が差し引かれた結果かもしれません。支払通知で収入額と税控除額を分け、同じ基準で3年分を集計します。原稿料や講演料など、名前の似た別の報酬まで、契約を読まず全て印税に含めないようにします。

印税が続く期間の見込みから評価倍率を選ぶ

合意の内容を確認する契約書類

評価倍率は、作品に精通する人の意見等を基に見込んだ印税収入期間に対応する、基準年利率による複利年金現価率です。将来、毎年同程度の印税を受けるという計算を、現在の価値に換算するための率と考えると分かりやすくなります。

著作権の保護期間と、実際に印税が続くと見込む期間は別です。一般的な死後70年という説明だけから、全ての作品へ70年分の倍率を掛けることはできません。出版社等へ、販売状況、増刷、電子版、二次利用、契約の終了条件を具体的に尋ねます。

絶版や再版の見込みを回答資料として残す

絶版という表示だけでも評価額は決まりません。紙の本が終わっても電子版や利用許諾が続く場合があり、反対に権利が残っていても収益の見込みが乏しい場合もあります。誰がどの資料から何年と見込んだかを、回答日とともに残してください。

過去に印税を受けていない作品についても、単に平均ゼロだから全て無価値とは決めず、権利の内容と市場価値、利用予定を示して評価方法を相談します。将来の新刊の希望を、確実な収入として作ることも避けます。

平均額と見込期間と未収額を申告資料へつなぐ

支払内容を確かめる領収書と計算道具

先ほどの年平均90万円について、相続は2026年9月、合理的な資料で印税収入期間を3年と見込めたと仮定します。令和8年9月分の複利表では、3年の複利年金現価率は2.884です。

90万円×0.5×2.884=129万7,800円が、この条件での著作権の評価額となります。倍率は、相続の月と見込期間に対応するものを使います。特許権等で使う「複利現価率」の欄とは違うため、似た名前の隣の欄を転記しないでください。

さらに、死亡時に20万円の未収印税が別に確定しているという仮定なら、その債権の根拠と金額を別行で確認します。129万7,800円を将来の実際の入金額の合計とみなしたり、その金額を受け取るまで所得税はかからないと判断したりするものではありません。死亡後の印税の所得税は別制度で確認します。

印税の受取先変更と税評価の進捗を分ける

管理団体や出版社への相続届が終わっても、3年平均と将来期間の根拠がそろったとは限りません。作品と権利の一覧、3年の明細、見込みの回答、採用した複利表、未収額を申告担当へ渡し、税評価と受取先変更を別々に追います。

相続の資料をそろえる際は、相続税申告に必要な書類 財産別の一覧と集め方や不足時の対応も参考に、今回の判断と全体の申告準備をつなげてください。

ご家族の資料や未確認の点を整理して相談する際は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

著作権は死亡前の三十六か月の印税で評価しますか

原則として、課税時期が属する年の前年以前三年間の印税収入の年平均を使います。死亡年を含む直前三十六か月とは区別します。

著作権の保護期間をそのまま評価倍率に使いますか

そのままではありません。著作物に精通した者の意見等から印税収入が見込まれる期間を推算し、対応する基準年利率による複利年金現価率を使います。

死亡前に発生した未収印税は著作権と同じものですか

死亡時に確定している未収債権と、将来の収入を生む著作権は区別します。同じ収入を二重に含めないよう、契約と支払通知で対象期間を照合します。

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