準確定申告の純損失繰戻し還付 前年の青色申告を照合

オンラインの申請と紙資料の準備を示すイメージ

青色申告していた親が亡くなり、最後の年の事業が赤字になった。前年には所得税を納めているなら、死亡年の純損失を前年へ戻して還付を請求できる場合があります。子が事業を継ぐ際の青色申告とは、別に調べる手続きです。

死亡年の繰戻しには、故人の前年の青色申告と、期限内の準確定申告・同時の請求が関係します。事業赤字と純損失、損失額と還付税額を分けながら、何を申告担当へ渡すかを整理します。

この記事でわかること
  • 親の損失を子へ移す話と前年への繰戻しを分ける
  • 前年も青色で期限内の準確定と同時に請求する
  • 所得税本税の差額と現行請求書の欄を対応させる
目次

死亡年の赤字は故人の前年所得税への繰戻しを調べる

手続きの期限を確認するカレンダーと資料

所得税法141条は、年の中途に死亡した人の青色の準確定申告について、その年の純損失を前年へ繰り戻す還付請求を定めています。父の赤字を、子が引き継いだ事業の所得からそのまま控除する制度ではありません。対象は故人自身の所得税です。

例えば父が2026年中に死亡し、父の2025年分は青色申告、2026年の事業に損失があるとします。この死亡年の請求を、通常の事業者の繰戻しや、前年の確定申告をする前に亡くなった場合の手続きと混ぜないようにします。

帳簿上の赤字と請求できる純損失を分ける

事業の決算が赤字でも、他の所得との損益通算などを行うと、還付請求で使う純損失は別の金額になることがあります。売上が少なかった、通帳残高が減ったというだけで金額を置かず、税務上の所得区分と計算を確認します。

株式取引等の損失など、事業所得と同じようには通算できないものもあります。帳簿、青色決算書、他の所得の資料を合わせて申告担当へ渡し、通算後の金額を明細にしてください。

死亡年と前年の青色申告をそろえて期限内に請求する

提出書類を照合するための紙資料と筆記具

死亡年だけでなく、故人が前年分についても青色申告書を提出していることが条件です。さらに、死亡年の青色の準確定申告をその提出期限までに行い、原則としてその提出と同時に還付を請求します。

死亡年の確定損失申告等の期限は、相続の開始を知った日の翌日から4か月以内が原則です。通常の任意の還付申告について聞く5年という期間を、この繰戻し請求の提出時期へ当てはめないでください。

還付請求を準確定申告の後回しにしない

赤字なので納付がないと思って申告を見送り、後から請求書だけ出すという進め方は避けます。やむを得ない事情に関する個別の規定はありますが、誰でも期限を延ばせるという意味ではありません。前年の申告書が見つからない段階から、期限と不足資料を税務署や税理士へ相談しましょう。

前年所得から純損失を引き直した税額との差を求める

取引記録を保管するファイルと資料

還付額は、前年の課税所得について計算した所得税と、純損失を控除して計算し直した所得税との差額を基礎にします。純損失の全額が、そのまま税金として返ってくるわけではありません。実際には、請求できる額の上限等も確認します。

説明用の仮定計算で確認すること
父の2025年分の課税総所得500万円前年申告書の課税所得と所得税額を確認
2026年の通算後純損失200万円事業の生の赤字ではなく通算後の金額
前年の課税総所得を500万円から300万円へ再計算両方の税額の差を求める。還付200万円ではない
他の所得・税額控除等がある実際の税計算と請求上限を別途反映

現行の還付請求書には、復興特別所得税の還付の請求はできないと明記されています。この手続きによる所得税本税の還付と、他の税の扱いを混同しないでください。

すでに使った損失を重ねて請求しない

繰戻しで使った額と他の計算で使う額が重ならないよう、損失の明細を保存します。死亡前年に生じた損失を前々年へ戻す141条4項の枝もありますが、前年・前々年の青色など別の条件があるため、ここでの死亡年200万円の例とは分けて検討します。

前年申告書と死亡年決算から請求額の明細を作る

合意の内容を確認する契約書類

使う書類は「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」です。現行様式には、純損失が生じた年分、繰り戻す年分、請求事由、還付請求金額の計算、受取先などの欄があります。相続という請求事由と死亡に関係する年月日を、故人の申告へ対応させます。

そろえる資料請求書等へ渡す内容
前年の申告書と納税記録青色申告、課税所得、所得税額、税額控除等
死亡年の帳簿・決算と他所得資料死亡日までの所得、損益通算後の純損失
損失の使用状況の明細繰戻しに使う額、既に処理した額との重複
相続関係と提出・受領の資料準確定申告の提出者、還付を受ける手続き

請求額を計算するために使った明細等がある場合は、その資料も添付します。税務署は請求内容を調査して還付の可否や額を判断するため、提出日に自動で指定額が入金される制度ではありません。提出控えと、追加の照会への回答を残してください。

還付金と受取代理の手続きを別に扱う

相続人が代表して受け取る方法と、故人の還付請求権を相続税の財産として確認する作業は別です。子の口座へ入ったから子自身の事業収入になると決めず、誰のどの年分の税金が戻ったかを記録します。受領委任などが必要かも、準確定申告の提出関係と合わせて照会しましょう。

制度の基本は、準確定申告の期限と必要書類 申告が必要な場合と進め方も参照してください。

財産や申告について相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。

よくある質問

疑問点を調べるための本とメモ

亡くなった親の事業赤字を子の所得から引けますか

親の純損失を子自身の損失へそのまま移す制度ではありません。故人の死亡年の純損失を、条件を満たす場合に故人の前年の所得税へ繰り戻す還付請求を検討します。

純損失の繰戻し還付は準確定申告の後で請求できますか

原則として、期限内の青色準確定申告書の提出と同時に請求します。任意還付の5年という期間を当てはめず、期限と不足資料を早めに相談してください。

純損失が200万円なら税金も200万円戻りますか

戻る額は損失額そのものではありません。前年の所得税額と純損失を控除して再計算した税額との差を基礎に、請求上限等も確認します。この請求で復興特別所得税の還付はできません。

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