共有物分割をしない合意 5年の期限と登記を確かめる

相続した家を当面は売らず、兄弟で共有を続けたい場合、「分割を請求しない期間」を合意する方法があります。ただし、普通の共有物についての合意と、まだ分割していない遺産についての合意では、期限の読み方が違います。
合意書では、対象の不動産、始期と終期、更新、利用や費用の負担を分けて書きます。5年という数字だけを覚えて、相続税や登記まで待てると考えないことが大切です。
- 通常の共有物の5年上限と更新の起点
- 未分割遺産にかかる相続開始から10年の制限
- 合意の内容と登記や日常管理の整理
分割済みの共有不動産か未分割の遺産かを先に分ける

共有物については、各共有者がいつでも分割を請求できるのが原則ですが、民法256条は、5年を超えない期間内は分割しない契約を認めています。すでに分割協議を終え、兄弟が持分で取得した家の共有を続ける場合などに、この規定を確認します。
一方、遺産分割そのものをまだ済ませず、共同相続人が遺産の全部又は一部を分割しないと合意する場合は、908条2項・3項を確認します。こちらには5年以内という条件に加え、期間の終わりが相続開始から10年を超えられない制限があります。
| 実際の状態 | 読む規定 | 確認する二つの日 |
|---|---|---|
| 協議で各人の持分取得が決まった通常の共有 | 256条 | 契約と更新の時点、各終期 |
| 共同相続人間で遺産が未分割 | 908条2項・3項 | 相続開始日、契約又は更新による終期 |
| 被相続人が遺言で分割を禁止した | 908条1項 | 相続開始日、遺言で定めた期間 |
法定相続分による登記をしただけで、遺産分割も成立したとは限りません。協議書、遺言、登記の原因を並べ、どの合意をしようとしているのかを法律専門家へ示してください。
5年の終期は最初の契約と更新の時点から別に計算する

通常の共有物に関する256条の契約は更新できますが、更新後の期間は「更新の時から5年」を超えられません。最初の契約の終期へ、いつでもさらに5年を足せるという意味ではありません。
| 通常の共有物の説明用例 | 合意したい期間 | 点検する内容 |
|---|---|---|
| 2026年11月に契約 | 2031年10月末まで分割しない | 契約時から5年を超えないか |
| 2030年11月に前倒しで更新 | 2035年10月末までとする | 更新時からの5年を確認 |
| 同じ更新で2036年10月末までとする案 | 元の終期へ5年を足した案 | 更新時から5年を超える部分に注意 |
これは期限の読み方を示す仮定で、個別の契約書にそのまま使える日付ではありません。始期・終期と更新の成立日を明記し、更新前の取り決めをいつから置き換えるかも定めます。
未分割遺産は更新しても相続から10年の範囲にとどめる
たとえば2026年6月に相続が始まり、2027年に未分割遺産について5年間の合意をする場合、後に更新しても、終期を相続開始から10年の先へ伸ばすことはできません。更新時から5年だけを見るのではなく、相続開始日からの限界も同時に照合します。
相続人が合意したという理由で、この908条の制限を通常共有の契約と同じ更新計算へ置き換えないでください。禁止期間が終わったことだけで、不動産の所有者や具体的な分割方法が自動で決まるわけでもありません。
合意書では分割禁止と利用と費用負担を分ける

合意は対象となる共有者全員で内容を確かめます。管理事項の過半数決定と同じものとして、一部の多数の賛成だけで他の人の分割請求を止めないでください。
| 合意書で分ける内容 | 具体的に決めること |
|---|---|
| 対象 | 所在地、地番・家屋番号、持分等で不動産を特定 |
| 禁止する期間 | 始期、終期、更新を協議する時期 |
| 使用 | 誰が住むか、貸すか、利用の条件 |
| 支出 | 固定資産税、修繕、管理費等の負担と精算 |
| 将来の見直し | 資金不足、転居、死亡等が起きた場合の協議窓口 |
分割しない合意だけでは、家に住む人の使用料や、修繕費の立替精算まで全部決まりません。「分割はしないが、費用を誰も払わない」という状態を避けるため、管理と費用の条項を別に整えます。
また、分割請求を一定期間しないことと、各人の持分を一切譲渡できなくすることは別です。持分が第三者へ移った場合の扱いを含め、合意の効力や必要な登記を確認してください。売却や担保設定を全て防げる契約だと考えないようにします。
分割禁止の登記と相続の期限を別に管理する

不動産登記法59条は、共有物分割禁止の定めを登記事項に含めています。合意の内容を登記へ反映する場合は、対象不動産と期間、原因を示す書面を確認し、司法書士へ申請方法や第三者との関係を相談します。更新したら、従来の登記をそのままでよいかも確認してください。
分割禁止を合意しても、相続税の申告・納付や、法律上必要な相続登記の期限が、その期間だけ当然に延びるわけではありません。合意の終期、相続税関係、登記関係は別の予定表へ記録します。未分割のまま相続税申告をする場合の特例や後の手続きも、税理士へ別途相談してください。
合意の狙いが、住んでいる家族の転居を待つことなら、その予定と費用を具体化します。単に5年を繰り返す前提にせず、終期が近づいたときに、買い取り、売却、利用継続などをどう話し合うかまで決めておくと、次の判断につなげやすくなります。
関連する基本事項は、親の財産の調べ方 預貯金や不動産の照会先と必要書類も参考にしてください。
契約や手元の資料をもとに相談する場合は、相続サポートの相談窓口をご覧ください。
よくある質問

共有物を分割しない約束は何年間できますか
通常の共有物では一回の契約は5年以内で、更新する場合も更新時から5年以内です。未分割の遺産についての合意には、相続開始から10年の終期制限もあります。
共有持分の過半数が賛成すれば分割禁止を決められますか
分割しない合意を管理事項の過半数決定と同じに扱わず、共有者全員で内容を確認します。対象と期間を明らかにして合意書を整えます。
分割禁止の間は相続税申告や相続登記も待てますか
当然には待てません。分割しない合意と税・登記の法定期限は別です。未分割の場合に必要な申告や登記等を、担当専門家へ分けて確認します。